今年は「大阪・関西万博」開催 介護業界への影響は?
2025年を迎えました。
今年、日本で予定されている大きなニュースと言えば、何と言っても4月から10月まで大阪で開催される「大阪・関西万博」ではないでしょうか。
この万博に関しては「前売りチケットが全然捌けていない」「会場の設営工事が間に合うのか」など、ネガティブなニュースも少なくありません。
しかし、イベント自体の成否はともかく、その開催が大阪を含めた関西に様々な影響を与えることは間違いないでしょう。
今回は「万博開催が大阪の介護業界に与える影響」について予想してみましょう。
まずは「人手不足の深刻化」です。
万博開催期間中は、国内外から多くの観光客の来阪が予想されます。
ホテル・飲食・物販店・交通機関の利用者増加が考えられるため、期間中はアルバイトや派遣スタッフを増員するなどの対応をとるケースが増えるものと思われます。
加えて警備などの人材も必要でしょう。
その分、介護業界の人手不足は深刻化することが予想されます。
特に、いわゆる「隙間バイトアプリ」などを使って短期間就労する人たちが他業界に流れる可能性が考えられます。
万博開催期間中だけでも時給の引き上げを行うなどして、人材を確保する必要性が生じるかもしれません。
交通機関への影響も考えられます。
直接自家用車で万博会場に乗りつける人は少ないでしょうが、市内のホテルなどまでは車で行く人は多いでしょう。
これに加えてタクシーや観光バスの増加が見込まれますし、市内各所から会場まで行くシャトルバスなども多く走ります。
こうした車両による交通量の増加に加え、大阪に不慣れな人が運転する車による事故などが原因での交通渋滞が懸念されます。
しかも、実際に万博が始まってからでないと、「いつ・どこで・どの程度の渋滞が発生するか」はわかりません。
開会して間もなくは「車で通勤するスタッフが渋滞に巻き込まれ始業時間に間に合わない」「デイサービスなどの送迎にいつもより時間がかかる」「車を利用する訪問介護・看護などの移動時間が読めない」「病院の送迎にタクシーを使いたいが、なかなかつかまらない」などの影響が出ることも考えられます。
万博による交通への影響がある程度読めるようになるまでは、様々な面においてスケジュールに余裕を持たせる必要があるでしょう。
スタッフに早出・残業をしてもらわなくてはいけないケースが増えることも考えられます。
また、期間中はコインパーキングが値上げすることも予想されます。
利用者宅の訪問やケアマネジャー・病院などへの営業などで利用している場合は、コスト増も計算に入れる必要があります。
物流にも影響が出て、配送に時間がかかることも考えられます。
これまでよりも余裕をもって備品の発注などを行う必要があるでしょう。
このように、万博の開催は介護業界にありがたくない影響を及ぼすことが考えられます。
しかし、一方でメリットもあります。
大阪で万博が開催されるのは、1990年の国際花と緑の博覧会(花博)以来ですが、日本で「万博」と言えば、何と言っても1970年に開催された日本初・アジア初の開催となった日本万国博覧会でしょう。
当時30歳だった人は今年85歳です。
老人ホームやデイサービス利用者の中心世代になっていますから、当時の世相やニュースをテーマにしたクイズや、当時流行した歌の合唱など、万博をテーマにしたレクリエーションを企画すれば皆喜んで参加するでしょう。
また利用者の中には、企画や運営などで万博に関わった人もいるかもしれません。
そうした思い出話を通じて、利用者を深く知ることができます。
結果的に介護を含めたサービス品質の向上につながるのではないでしょうか。
介護の三ツ星コンシェルジュ


