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医薬品小売事業者の倒産が10年で最多 経営者の62%が60代以上で後継問題も

 大手信用調査機関の帝国データバンクによれば、調剤薬局やドラッグストアなど医薬品小売事業者の2024年の倒産件数は11月の時点で34件となり、ここ10年で最多となりました。

 2024年通期での倒産件数は37件前後になると見込まれています。
調剤薬局は訪問服薬指導などで介護事業者との関係が密です。

 その倒産は、サービス品質の低下などで介護現場へも少なからず影響を及ぼすと考えられます。

 今回は帝国データバンクの調査結果をもとに、医薬品小売事業者の経営の現状や課題について詳しく見ていきましょう。

 帝国データバンクによれば、医薬品小売事業者の倒産件数は、2015年は33件でしたが、その後減少傾向が続き2019年は17件にまで減りました。しかし2020年からは増加に転じ、2021年には31件となります。

 これについては、新型コロナウイルス感染症の拡大下で、高齢者などを中心にした医療機関の「受診控え」が多かったこと、人と人との接触機会が減少したことから季節性インフルエンザなど他の感染症の患者が減ったことなどで、薬のニーズが減少したのが原因と考えられます。

 その後は再び減少に転じ、2023年の倒産件数は17件でしたが、2024年は一気に倍増する形となりました。

 倒産件数増加の理由について、帝国データバンクでは以下のように分析しています。

①競争の激化

 厚生労働省によると、全国の薬局数は2023年度末で6万2828ヶ所。
この10年間で5757ヶ所増えています。高齢化に伴って薬を必要とする人の数も増加していますが、やはり競争の激化は否めません。

 2024年に倒産した34件の内訳をみてみると、調剤薬局が28件と全体の85%を占めています。
この背景には処方箋を受け付けるドラッグストアの増加が大きいと考えられます。

 生鮮食料品も販売するなど、ちょっとしたスーパーマーケット並みの品揃えで日常使いが可能、かつ駅前や商店街やショッピングモールの中など便利な場所にあり、加えて比較的遅い時間まで営業しているドラッグストアが処方箋を受け付ければ、そちらを使うのは消費者の流れとしては自然と言えます。

②医療機関の倒産・閉鎖

 2024年の病院・診療所・歯科医院の倒産件数は11月までで57件。
過去最多だった2009年の52件を上回っています。医療機関が閉鎖されれば、そこの近くで営業をしていた調剤薬局の経営も立ち行かなくなります。

 また、医療機関は、個人クリニックであれば医師の高齢化等による引退で閉鎖の可能性もあります。逆に経営が上手くいっている医療機関は拡張移転も考えられます。

 こうした点を考えても、いわゆる「門前薬局」とよばれる特定の医療機関に依存するビジネスモデルの調剤薬局は経営上のリスクが高いといえます。

 また、帝国データバンクでは医薬品小売事業者については倒産以外のリスクも指摘しています。

 同社が全国約3900名の医薬品小売事業者を対象に、経営者年齢の分布を調査したところ、60歳以上が全体の62.2%を占めており、経営者の高齢化が深刻になっています。

 もちろん、これらの中には後継者がいるところもあるでしょうし、企業の売却という選択をするところもあるでしょう。

 しかし、「今後、経営者の高齢化がさらに進めば、倒産に加えて休廃業や解散などの件数も増えてくることが考えられる」と同社では分析しています。

 このように、調剤薬局を中心とした医薬品小売事業者の経営環境は厳しく、淘汰される店舗が増えていくことが予想されています。

 介護事業者としては、訪問服薬指導などのサービス提供が途切れないよう、付き合いのある調剤薬局の経営状態などについてしっかりと分析していくなどの対応が求められるのではないでしょうか。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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