高齢者の病気・疾患

介護職がしっておくべき蜂窩織炎の基礎知識

介護職を長く続けているなら、一度は「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。

実際に、蜂窩織炎を発症した利用者のケアにあたった経験がある方も少なくないはずです。

僕も長年介護職として勤務する中で、蜂窩織炎に罹患する利用者に何度か出会ってきました。そのたびに、早期発見と適切な対応の重要性を実感しています。

そこで今回は、介護職として押さえておきたい蜂窩織炎の基礎知識を整理しました。

この機会にしっかりと理解し、利用者が安心・安全な生活を送れるようサポートする力を高めていきましょう。

蜂窩織炎とは?

蜂窩織炎(ほうかしきえん)とは、皮膚の皮下組織が細菌に感染し、赤みや腫れ、痛み、熱感などを引き起こす病気です。
多くは、小さな傷やささくれから細菌が侵入することで発症します。
 

特に高齢者や糖尿病などで免疫力が低下している方はかかりやすく、放置すると症状が悪化し、全身状態にも影響を及ぼす可能性があります。

主な特徴は、患部の皮膚が赤くなり、触れると熱をもち、押すと痛むことです。
早期に気づき、医療機関で適切な治療を受ければ、重症化を防ぎ、生活の質を維持することができます。

蜂窩織炎の原因

蜂窩織炎は、皮膚のバリアが弱まった部分から細菌が侵入し、皮膚の奥深くにある真皮や皮下組織で繁殖する感染症です。

原因となるのは、ブドウ球菌やレンサ球菌など、日常生活下でよく見られる細菌が中心です。

健康な皮膚は外部からの侵入を防ぎますが、傷やささくれ、乾燥によるひび割れ、あるいはむくみによる皮膚のもろさなどがきっかけで、細菌が内部へと入り込みやすくなります。

特に高齢者や免疫力が低下した方、糖尿病などを持つ方は感染リスクが高まります。
こうした原因を知り、日常的な皮膚ケアや傷の適切な処置を行うことで、蜂窩織炎の発症を予防することができます。

蜂窩織炎の好発部位

蜂窩織炎は、体のどの部位にも起こりうる感染症ですが、特に好発しやすいのは下肢です。

足首やすね、ふくらはぎ、足の甲など、歩行や体重を支える部分は負担が大きく、小さな傷やひび割れが生じやすいため、細菌が侵入しやすくなります。

実際、ある利用者さんが発熱して臥床対応を行っていた際、オムツ交換中に左大腿部に腫れが見つかり、医師の診断を受けたところ蜂窩織炎と判明したケースもありました。

高齢者やむくみがある方は血行が悪くなりがちで、皮膚のバリア機能が低下しやすく、さらに感染が広がりやすいのです。また、手や腕、顔など、日常生活で刺激を受けやすい場所でも発症することがあります。

こうした好発部位を理解しておくことで、日々のケアや観察をより的確に行い、早期対応につなげることができます。

蜂窩織炎の治療法

蜂窩織炎の治療では、主に医師が処方する抗菌薬(抗生物質)の服用や点滴が基本となります。

症状が軽い場合は内服薬で対応しますが、重症の場合は入院の上で点滴治療が必要になることもあります。
また、安静にして患部を清潔に保ち、むくみがある場合は足を高く上げるなどのケアが有効です。

症状が改善するまで数日から数週間かかることが多く、自己判断で薬の服用を中断しないよう注意しましょう。

適切な治療を受けることで症状は徐々に和らぎ、再発を防ぐための生活習慣改善も重要です。

蜂窩織炎に関するまとめ

蜂窩織炎は、皮膚バリアが低下した部分から細菌が侵入し、真皮や皮下組織で繁殖する感染症です。

特に高齢者や免疫力が低下している方に多く、下肢など負担のかかりやすい部位で起こりやすいことが特徴です。

早期発見と適切な治療、そして日々の皮膚ケアや観察が、重症化を防ぐ鍵となります。介護職としては、利用者の状態変化に常に目を配り、小さな傷や皮膚の炎症サインを見逃さないようにしましょう。

また、すでに蜂窩織炎を発症している利用者に対しては、医師の指示のもとで適切なケアを行い、状態の改善に努めましょう。

こうした知識と実践が、利用者の生活の質向上につながります。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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