認知症について

認知症の症状とは?中核症状と行動・心理症状(BPSD)について解説。

こんにちは!「しんぶろぐ〜介護ノート~」を運営しているしん(@shinbloger)です。
簡単に自己紹介させてくだい。

・13年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。
・認知症デイの相談員4年以上の経験があります。

今回は、介護職が知っておくべき認知症の中核症状と行動・心理症状(BPSD)について、記事を書きました。3分ほどで読める記事なので介護職の方は読んでみてください。

認知症とはどんな病気?

認知症とは、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障
が出てくる病気です。
そして、認知症には4大認知症と呼ばれる代表的な認知症が4つあります。
・アルツハイマー型認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症
・脳血管性認知症
4代認知症については前回の記事、介護職が知っておくべき4大認知症の症状とケアの仕方の記事について
詳しく解説しているのでそちらをご覧ください。

中核症状とは?

中核症状とは、認知症という病気の症状です。
風邪で言うところの咳や鼻水、発熱、喉の痛みなどが中核症状になります。
中核症状には、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、理解・判断力の障害、失語・失認・失行などがあります。

それでは、一つずつ解説します。

記憶障害

記憶障害とは、文字通り物事を記憶することができなくなる障害です。
具体的には、「朝食で何を食べたか忘れてしまう」
「昨日どこへ行ったのか忘れてしまう」などです。

よく高齢者のもの忘れと混同されがちですが、認知症の記憶障害と高齢者のもの忘れは、全く別物です。

例えるなら、フランクミュラーとフランク三浦ぐらい違います。

高齢者のもの忘れは、体験の一部を忘れるだけなので前後の記憶から思い出すことが可能です。一方、認知症の記憶障害は、体験事態が抜けおちるので思い出すことができません。
具体的には、にんじんを買って帰って、冷蔵庫を開けると前日に買ったにんじんがあったとします。
「あ、昨日買ったんだ」思い出すことができれば、ただのもの忘れです。

しかし、「なぜここににんじんがあるのかな?」と買ったこと事態を忘れてしまうのは認知症の記憶障害です。
記憶障害が起こると、今、自分が話したことを忘れて何度も同じことを言ったり、今、したことを忘れて繰り返し同じことをしてしまいます。「どこから来たの?」「あなたお名前は?」と繰り返し繰り返し聞くのは、典型的な認知症の記憶障害です。

ケアのポイントは、記憶を補う方法を考えることです。覚えて欲しいことを会話の中で繰り返し盛り込んだり、字が読める人ならメモを残すのもいいです。決して、「さっきも言ったでしょ!」と感情的になってはいけません。
本人にとってはそれは初めて言ってることなんです。

見当識障害

見当識障害は、日にちや時間、場所、人、状況がわからなくなる障害です。
具体的には、「ここがどこだか分からない」「今何時なのかわからない」などです。
見当識障害が起こると、昼か夜か分からなくなり夜間に外出したり、ここがどこだか分からずに安心できる家に帰りたいとなったり、季節感がなくなり夏なのに厚着をしたりします。

ケアのポイントは、会話に日付や時間を盛り込んだり、カレンダーや時計を見やすい位置に置くのもいいです。

実行機能障害

実行機能障害とは、物ごとの段取りがわからなくなる障害です。
例えばカレーライスを作る時、にんじん、たまねぎ、じゃがいもを切って、
鍋に切った野菜と水を入れ煮詰めて、ルーを入れるといった段取りがありますよね。
こういった段取りが分からなくなってしまうのが実行機能障害です。

排泄、着替え、入浴、歯磨きなどの生活動作にもそれぞれ段取りがあります。
排泄なら、ズボンを下げて、下着を下げて、便座に座り、排泄をして、水で流すように。
実行機能障害が起こると、この生活動作の段取りが分からなくなり、排泄の仕方が分からずトイレで棒立ちしたり、歯ブラシがあってもどう使っていいかわからくなったりします。

ケアのポイントは、一つ一つ動作を促すことです。
排泄動作なら、「ズボンを降ろしましょう」「便座に座りましょう」「水を流しましょう」と一つ一つ動作を促すことで排泄ができます。
また、料理でもカレーを作ることはできなくても、野菜を切ったり、煮詰めたり、盛り付けなど、一つ一つの動作ならできることがほとんどです。なので、介護者のサポート次第で、料理だって作ることが可能です。

理解・判断力の障害

理解・判断力の障害とは、文字通り物事の理解や判断ができにくくなる障害です。
具体的には、今までは部屋が暑くなればエアコンのスイッチを入れたのに、その判断ができなくなり、暑くてもエアコンのスイッチを入れなかったり、「それを取って」と伝えても、どれか判断できずに困惑したり、車の運転中に道路を逆走してしまったりします。

ケアのポイントは、できるだけ理解や判断を必要としないようにすることです。
その人が分かる言葉で伝えたり、一つ一つ行動を促すことで、理解や判断の作業を減らすことができます。

失語・失認・失行

失語・失認・失行とは、日常生活における適切な発声・認識・行動ができなくなることです。
もう少し具体的に言います。

失語は、聴覚や発声に障害がないのに言葉の理解や発声が困難になる状態です。
具体的には、「えーーっと、何だったかな」と言葉がでなかったり、時計を「とでい」と言ったり、文字が書けなくなったりします。

失認は、知覚機能に障害がないのに対象の把握できない状態です。
具体的には、石鹸などを食べ物と間違えて食べてしまったり、ゴミ箱をトイレと間違えて排尿したりしてしまいます。

失行は、意識や運動機能に障害がないのにある行動をしようとしてもできない状態です。
具体的には、スプーンや箸の使い方を分からなくなったり、靴の履き方がわからくなったりします。

ケアのポイントは、とにかく分かりやすく説明したり、促すことです。
失語に対しては、「はい、いいえ」などの応えやすい言葉で会話すること。
失認に対しては、トイレの場所を繰り返し説明したり、張り紙をする。
失行に対しては、使い方をやって見せてあげるといいです。

行動・心理症状(BPSD)とは?

つづいて、行動・心理症状(BPSD)について解説します。
行動・心理症状(BPSD)とは、中核症状に不随して発生する症状です。
具体的には、物盗られ妄想、大声、幻覚、睡眠障害、徘徊、暴言、暴力、介護拒否、不潔行為、異食、多動、不安、抑うつなどの症状です。
もう少し詳しく言うと、財布をタンスにしまったことを忘れてしまい、財布がないと思い込み誰かに盗まれたと思い込むのが物盗られ妄想。忘れしまうことの不安や恐怖、また周りが理解してくれないことへの怒りから暴言や暴力、介護拒否などが起こることもあります。


つまり、行動・心理症状(BPSD)は、記憶障害や見当識障害などの中核症状があり、その障害の不安や焦り、環境の変化、また介護者の関わり方やケアの不足などで発症するんです。
繰り返しになりますが、行動・心理症状(BPSD)は、中核症状の延長線上にあります。
台風で例えるなら、台風が中核症状で、台風の通過によって増水して起きた洪水が行動・心理症状(BPSD)です。

ということは、中核症状が現れた段階で、適切なケアや環境を整えることができれば、行動・心理症状(BPSD)を軽減することが可能なんです。
台風で例えるなら、治水整備や堤防の設置により洪水が抑えられるようにです。
行動・心理症状(BPSD)には、非常にやっかいなモノが多いです。
プロの介護士でもどうしようもないことがあり、そして適切なケアができなければ、どんどんエスカレートするのが、行動・心理症状(BPSD)です。
暴言だけならまだしも、物を壊す、暴力などにエスカレートしていくのが、行動・心理症状(BPSD)です。

伝えたいことは、行動・心理症状(BPSD)は、ケアや環境を整えることで軽減できる。
そして、中核症状が現れた段階で、適切なケアや環境を整えて、行動・心理症状(BPSD)を抑えましょう。

まとめ

今回は、認知症の中核症状と行動・心理症状(BPSD)について解説しました。
症状のことばかりで、「認知症ってやべー」「認知症大変だわ」と感じたり、
引いたり、拒否反応がでたりした人が多いのではないでしょうか。

僕も、最初は認知症のことを分かっていなかったので、どう接していいかわからず困惑したり、間違ったケアをして怒らせてしまったり、認知症に対して苦手意識を持っていました。
だけど、13年以上の介護職の経験を通し、多くの認知症高齢者と接してきて、気づいたことが一つあります。

それは、認知症でも普通の人と変わらないってことです。

認知症でも、笑って笑顔を見せてくれたり、「ありがとう」とお礼の言葉をくれたりするんです。
ただ、覚えることが苦手なだけ。
それを分かって接すると、素敵な笑顔を見せてくれます。

今回は以上になります。

掲載PR一覧

  • 老人ホーム入居相談窓口