お話きっかけ集「つむぎ」 12月
高齢者とのおしゃべりが弾むテーマを。
時代時代の流行りすたりもあり、各世代の話題は違ってくるもの。
75歳以上が後期高齢者と言っても、95歳の方と85歳の方では話題も変わってきます。
まして、医療・福祉で働く方々は若い方が多く、人生の大先輩である高齢者の方々と長くお話をするのは大変ですよね。
傾聴ボランティア団体の「PORO」では、医療・福祉の世界、高齢者の方々と接する若い世代向けに、お話しきっかけ集「つむぎ」を毎月発行されています。
季節や行事、自然、食べ物、暮らしの中から、お話きっかけ集 つむぎ 高齢者とのおしゃべりが弾むテーマを、月別にご紹介します!
今回はその12月号から、12月(師走 しわす)の話題をご紹介します。
12月のキーワード
■竹スキー
縦半分に切った竹の先を曲げて、ひもを通しただけのスキー。
明治から昭和中期頃まで、子どもたちが雪の積もった日に、近所の坂道などですべっていました。
簡単なつくりなので、上手にすべるにはコツが必要だったそうです。
■ハッキンカイロ
火をつけるとプラチナ(白金)が、中に入れたベンジンと反応して熱を発生します。ポケットに入るくらいの大きさで、けっこう長時間暖かさが続きました。
ベンジンの独特の臭いに懐かしさを感じる方もおられるかも。
■冬将軍
天気予報などで、厳しい寒さの訪れを「冬将軍がやってきた」と言うことがあります。1812年にナポレオンがロシアとの戦争で、寒さと雪のために負けたことから、ナポレオンを破ったのは「冬将軍」だと言うようになったとか。
■年越しそば
年越しそばとは、大みそかにそばを食べる習慣のこと。細く長くという縁起をかついで、「健康長寿」や「家内安全」などを祈って食べるようになったそう。
これを食べないと1年が終わった気がしないという方も。
■南瓜(なんきん)
冬至には「ん」のつくものを食べるとよいとされ、「なんきん」はその代表格。カロチンのほか、ビタミンCや食物繊維が豊富に含まれる栄養価の高さが自慢。
風邪を引きやすいこの時期にぜひ食べたい野菜です。
知っておきたいこんなこと!!今や食事に欠かせないパン。
主食の一つであるパンは戦国時代に鉄砲とともに伝えられ、宣教師たちによって作られ始めましたが、鎖国中は長崎で西洋人のために細々と作られるだけとなりました。
日本で本格的にパンがつくられ始めたのは明治時代です。
横浜、神戸など港町を中心に、パンづくりが広がりました。
明治8年(1875年)には「木村屋総本店」が銀座に開業し、日本独自の「あんパン」を発売。
明治天皇のお気に召したことから、一気に知られました。
その後、ジャムパンやクリームパンが誕生し、おやつとして食べられるようになりました。
しかし、パンが主食の一つとなったのは戦後のこと。
食糧難の時代に、コッペパンと牛乳の学校給食が始まりパン食が普及、日本でも次第に食事にパンが用いられるようになったそうです。
高齢者の皆さんは、そんな食生活の変化を経験としてご存知かもしれませんね。
知っておきたいこんなこと!!日本独自の風習「忘年会」
忘年会は一年を締めくくる日本独自の行事です。
起源には諸説ありますが、有力なのが鎌倉時代に貴族など上流階級の人が集まって行った「年忘れ」の行事で、夜通し和歌を詠む静かな会だったそう。
私たちがイメージする忘年会が始まったのは明治時代です。
文明開化の流れのなか、官僚や学生を中心に行われるハイカラな行事でした。
忘年会が一般化したのは昭和の高度成長期。
忘年会のためにお金を積み立てている企業もあり、社員がものまねや手品などの宴会芸を披露しなくてはならないことも!
最近は、企業の一大イベントのような忘年会は減りましたが、会社の仲間や友人、学生同士、サークルでなど、いくつもの忘年会に参加する人もおられるようで、忘年会は、すっかり年末の国民的行事として定着しています。
今年は新型コロナウイルスの影響で自粛という方も増えるかもしれません。