高齢者の病気・疾患

高齢者の疾患⑨認知症症状別の対処方法~興奮・徘徊~

認知症の方への対処方法

残念ながら現在の医学では認知症の進行を遅らせることが出来ても、完全に治すことは出来ません。
現在の医学では、認知症の進行度(軽度⇒中等度⇒高度)に対し治療方針をたて、薬を選び経過を見ることしかできません。

一方、介護という点で言えば、症状別の対処法についてきちんと理解し、対応することにより医師がどんなに良い薬を使うよりも、安心させ落ち着かせることが可能です。

シリーズでお知らせする「認知症症状別の対処方法」。
認知症の症状別の対処法について説明していきます。
今回は、「興奮」と「徘徊」にいて説明していきます。

「興奮」している方への対処方法

認知症の症状が進むと、暴力や冒険などの問題行動が現れてきます。
認知症の方は、”怒り”という感情のコントロールが出来ず、感情がすぐに表に出てしまうのです。

また、認知症の方も、自身の症状に敏感になっていますので、ちょっとしたことで怒りのスイッチが入ってしまいます。
「物とられ妄想」が出た場合に、家族から否定されると怒りのスイッチが入ったりしてしまいます。
また、介護者自身も感情的になり、「ボケているかにしょうがない!!」等自尊心を傷つけるような言葉を発してしまうと、更なる暴言や暴力につながります。

また、介護の場面でも暴力が起きる場合もあります。
認知症の方の移譲介護をする場合に、お声がけをしないでやろうとすると、「何かされるのでは!!!」と不安になり、とっさに暴力につながることがあります。

暴言や暴力の対処法としては、まず慌てず落ち着いて、何が興奮を招いたのかを考え、自分の落ち度を認め、例えば「声掛けしないでごめんなさい」などと謝れば落ち着くこともあります。
また、話題を変えてみるのもいいかもしれません。

いずれにせよ、相手が暴言を吐いたからと言って、自尊心を傷つけるような言葉はNGです。

また、力で押さえつけることは絶対に禁物です。恐怖を覚えて介護拒否となる場合があるからです。

暴力や暴言の対象者は身近な介護者の場合が最も多いケースです。
家族が暴力の対象になってしまうのです。

「自分が一番熱心に介護をしているのに」「自分が最もその方のことに心砕いているのに」とこころが折れそうになる介護者のご意見をよく聞きます。

そんな場合は、他の家族に少し介護を変わってもらったり、ケアマネさんに相談して訪問介護やデイサービスを増やしてもらう良いにすれば良いですよ。

 

「徘徊」への対処方法

認知症の方によくみられる症状の一つに「徘徊」があります。
家の中や外を絶えず歩き回っているため、「何の意味もないのに?」と思いがちですが、実は本人にとっては目的があって歩いている場合が多いのです。

徘徊で怖いのは、家の外に出てしまう場合です。行方不明になってしまいます。
認知症で行方不明になるかは年間に1万人以上いると言われています。
認知症の方は周囲への注意を怠るため、車にひかれたり、線路内に入って電車にひかれたり、事故遭いやすくなります。
夏に徘徊すると脱水症状を起こし命に関わる場合もあります。

家の中を徘徊するのは、部屋やトイレを探している場合が多くむ、外に出るのは自分の家を探したり、職場に出勤しようとする場合です。
認知症の方は疲労感覚も鈍くなるので、夜通し歩き続けかなり遠くまで行く場合もあります。

家の中で徘徊している場合は、「部屋へ一緒に行きましょう」と声をかけ、気が済むまで暫く一緒に歩き落ち着いてから部屋に帰るのが良いでしょう。

外に出かける方の場合は、玄関や窓を開けにくいものに変え、玄関のドアに呼び鈴が鳴るようにしたり、GPS機能がついた通信機を服に縫い付けたり、名前と連絡先を書いたワッペンをつけておけば良いでしょう。

近所の方に事情を伝えておくのも良いでしょう。
認知症の方は家族だけで見るのではなく、地域で協力してみていくようにするのが最も良い方法です。

次回は「うつ状態」と「失禁」についての対処法をご説明します。

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