立ちオムツは是か非か
僕の勤務している施設では、これまで就寝前のトイレ誘導のあと、夜間オムツの方には“当たり前”のように立ちオムツをしていました。
ところがある時期から、管理者の方針で「立ちオムツは原則禁止」の流れが始まります。
なぜ立ちオムツはダメと言われるのか。本当にNGにすべきなのか。
このコラムでは、立ちオムツのリスクとメリットを整理しつつ、現場で17年働いてきた僕なりの考えをお伝えします。
立ちオムツとは?
立ちオムツとは、入居者さんが立位のままオムツを装着するケアのこと。
多くは、就寝前のトイレ誘導のタイミングで行われます。
日中はリハビリパンツや布パンツで過ごし、夜間だけオムツを使用する方の場合、排泄後にその場でパンツから夜間用オムツへ履き替える──これがいわゆる「立ちオムツ」です。
この立ちオムツですが、当施設で原則禁止の流れが始まりました。
立ちオムツがダメと言われる理由
では、なぜ立ちオムツがいけないのか?主な理由は以下です。
・転倒やケガのリスクが高い
・入居者さんへの負担が大きい
・失禁や不快感の要因となる
・転倒やケガのリスクが高い
一つめは、転倒やケガのリスクが高いこと。
立位保持が不安定な方は、オムツ装着中に膝折れを起こしたり、手すりや壁に頭・腕をぶつけてしまう危険があります。
介護者側も中腰で支えながらのケアになるため、バランスを崩して一緒に転倒する事故も起こりえます。
・入居者さんへの負担が大きい
二つめは、入居者さんへの負担が大きいこと。
リハパンを上げ下げするのとは違い、立ったままオムツを広げて当てる間、ずっと立ち続けなければなりません。
痛みや疲労、不安感につながることもあります。
・失禁や不快感の要因となる
三つめは、失禁や不快感の要因になりやすいこと。立ったままの状態だと、オムツをしっかり広げたり、前後や左右の位置を細かく調整したりするのが難しくなります。
その結果、ギャザーがきちんと立っていなかったり、股ぐりにフィットしていなかったりして、尿モレ・便モレにつながることがあります。
当施設での禁止の理由も主にコレで、不快感は虐待に当たるとの見解です。
当然ある立ちオムツのメリット
立ちオムツには、もちろんメリットもあります。
・腰痛で寝返りが辛い方にとっては身体的にラク
・ケア時間の短縮・負担軽減になる
・腰痛で寝返りが辛い方にとっては身体的にラク
腰痛が強い方の場合、ベッド上で何度も右向き・左向きと寝返りをすること自体が大きな負担になります。
その点、立ちオムツであれば、短時間だけ立位を保てればよく、寝返り回数も少なくて済みます。
当施設でも上記理由で、立ちオムツを希望される方もいます。
・ケア時間の短縮・負担軽減になる
二つめは、入居者さんだはなく職員側にとっての利点です。
就寝前のトイレ誘導のタイミングでそのまま夜間オムツまで装着できれば、ベッドに戻ってからのオムツ交換が不要になり、ケア時間の短縮・負担軽減につながります。
当施設でも、立ちオムツをやってきた理由がおそらくコレであり、原則禁止にすると現場が回らなくなっていまいます。
だからこそ、一律に「悪」と切り捨てていいのか悩ましいケアでもあります。
立ちオムツに関する介護職17年の僕の見解
僕は、立ちオムツは「介護技術のひとつ」だと考えています。
業務負担の軽減やケア時間の短縮も、れっきとした介護技術だからです。
短時間で安全にオムツ交換ができれば、利用者さんを待たせる時間を減らせるしそのぶん他のケアや見守りに時間を回すことができます。
一方で、立ちオムツという“方法”そのものは、善か悪かではなく使い方次第だとも感じています。
転倒や不快感のリスクがある以上、「誰にでも」「忙しいから」という理由で多用すべきではありません。
本来は、立位保持・認知・痛みの状態などを踏まえて対象者を選び、職員の技術、環境を整えたうえで、例外的に使うテクニックとして位置づけるのが妥当でしょう。
だからこそ、「立ちオムツ=虐待」として一律に禁止してしまう動きには疑問を感じます。
「安全と尊厳を守りながら、どう活かすか」を現場全体で考えていくことが重要だと僕は考えています。
介護の三ツ星コンシェルジュ



