全国の介護職員数 前年比で初の減少 各介護事業者は何をすべきなのか?
昨年12月25日、厚生労働省がショッキングなデータを公表しました。
2023年10月1日時点の全国の介護職員は212万6000人。前年比で2万9000人減少したのです。
2000年に介護保険制度がスタートしたときの介護職員数は54万9000人でした。
その後年々増え続けてきましたが、前年比で減少したのは今回が初めてです。
介護サービスを必要とする人が減っていれば、それを提供する人が減少したとしても大きな問題ではありません。
しかし、要介護(要支援)認定者は年々増え続けています。
2023年は前年より8万人増加の705万人となりました。
利用者が増えていれば、そこにビジネスチャンスが生まれ、働く人も自然に増えていくのがマーケットの自然な姿でしょうが、それとは全く逆の現象が起こっています。
厚生労働省では2040年度に必要な介護職員の数を272万人と試算しています。
2022年度の職員数をもとに「あと57万人増やす必要がある」と考え、
①介護職員の処遇改善
②多様な人材の確保・育成
③離職防止・定着促進・生産性向上
④介護職の魅力向上
⑤外国人材の受入れ環境整備
の5つの柱を掲げて人材の確保を進めています。
介護職員等処遇改善加算などは①、特定技能などは⑤に該当します。
また、こうした国の施策に基づき、各自治体でも人材の確保に向けた様々な取り組みを行っています。
例えば、④では、「現役の介護職などが学校に赴き、子どもたちに介護の仕事について話をする」などが挙げられると思います。
こうした国や自治体の取り組みにもかかわらず、介護職員数が減少しているという現実をどう見ればいいのでしょうか。
言葉を選ばずに言えば「結局のところ何の効果もなかった」ということではないでしょうか?
今後も、国や自治体はこの5つの施策を進めていくでしょう。
しかし、それだけでは効果がないと判断すれば、別の施策を打ち出してくることも考えられます。
極端なことを言えば「介護職員の数が足りないのであれば、その職員数で対応できるまで介護保険サービスの利用者を減らそう」という考えに走るという可能性も否定できません。
現在、高齢者でも簡単に取り組める体操の作成などで住民の介護予防に対する意識の啓発を図っている自治体は数多くあります。
こうした動きが強化・推進され、要介護者が減るのは喜ばしいのですが、そうではなく「介護保険の対象となるサービスの削減」「介護保険利用時の自己負担割合の引き上げ」「要介護認定の厳格化」などといった「介護保険を使いにくくさせる・使えなくさせる」という形で利用者数を抑制するかもしれません。
これは介護マーケット全体の縮小を招き、介護事業会社の経営にも大きく影響を与えます。業界側としては、なんとか避けなくてはなりません。
では、介護事業者としては何をすべきなのでしょうか。
それは前記①~⑤の施策で、実際に介護人材を充足させることです。
国や自治体ができるのは、あくまでも「就労者を増やす仕組みづくり」です。
その仕組みを活用し、いかに実際の職員数を増やすかは各介護事業者の努力と工夫にかかっています。
例えば④です。
先日、ある自治体が実施する現役介護職による中学校への出張授業の様子を見学しました。
しかし、その内容は「私たちの施設では介護福祉士が〇人、社会福祉士が〇人います…」などの重要事項説明書を読んでいるかのようなもので、全く面白くありませんでした。
せっかく行政が200人近い中学生の前で話をする機会を作ってくれたのです。
そこで介護業界に関心を持つ生徒が1人も出なかったとすれば、それは行政や制度の問題ではなく、話をした介護事業者側の努力不足と言わざるを得ません。
介護の三ツ星コンシェルジュ


