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コロナが落ち着き、各地で続々再開 「集いの場」「通いの場」実施の注意点

新型コロナウイルス感染症が第2類から第5類に区分変更されることを受けて、介護予防や認知症予防、社会的孤立の防止などを目的に、全国各地で開催されていた、高齢者の「集いの場」「通いの場」を本格的に再開するところも多いのではないかと思います。
しかし、数年ぶりの開催というケースも多く、運営する側にとっても様々な点で戸惑うのではないでしょうか。
そこで、今回は、「集いの場の再開に際して注意しておきたいこと」を解説します。

「集いの場」は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されて以降、徐々に再開されて来ていますが、それでも「密を避ける」という観点から、定員をコロナ前より減らして実施しているケース大半です。
例えば、これまで20名で実施していた教室を10名定員にすれば、参加できる人数は半分になってしまい、地域住民のフレイルや認知症が進むことが懸念されます。これまでと同じ人数が参加できるようにしようと思ったら、開催数を2倍にしなくてはなりません。

しかし、その際に問題になるのが会場の確保です。公民館や自治会館、福祉センターなどでは他のイベントなども開催されていますので、空き時間がない場合もあります。
一方、民間のイベントスペースなどでは利用料の問題もあります。また根本的な問題として、コロナ禍の3年間でイベントや会合が激減した結果、これらに使えるスペースが閉鎖されるなどしています。この結果、「会場が確保できない」というケースが増えることが考えられます。
商店街の空き店舗、通所系介護事業所の空き時間、屋外など、比較的安価に利用できる会場を確保することが本格再開に際しては重要になります。

また、考えなくてはならないのが「マスクの着用」です。
3月13日より国はコロナ感染予防対策としてのマスク着用を個人の判断としました。しかし、実際の「集いの場」では、高齢者が多いということもあり参加者にマスク着用を求めているケースが多いようです。特に、自治体が運営に関与している場合には、その傾向が強く見られます。

コロナ禍では、Zoomなどを使ってオンラインで「集いの場」を実施するケースも多くみられました。
この場合は、参加者は自宅にいますので、マスクを着用していません。ですから、運営・指導する側は、画面越しに参加者の表情を細かくチェックできました。
特に、口腔機能の維持改善を目的にした「集いの場」では、「口を大きく開けられているか」「口腔内に異常がないか」の確認は重要です。また、運動・体操を行う「集いの場」では、「プログラムが本人の体力や運動能力に比べてきつすぎないか」のチェックのためにも、表情を常に確認することは欠かせません。

しかし、リアル開催では、前述したようにマスク着用がルールのケースが殆どです。
この結果、前述したようなチェックが行えず、利用者にとって効果的なプログラムが提供できなくなる可能性もあります。もちろん、感染予防策は徹底すべきですが、場面に応じて参加者の表情を細かく確認できる運営方法を考える必要があります。
また、参加者が会場内でマスクを外すことを敬遠する結果として、体操中の水分補給がおろそかになるケースも考えられます。特に、暑くなるこれからは、これまで以上に参加者の体調管理に気を配る必要がありそうです。

コロナが第5類になることで、世間は「コロナ前に戻る」という認識が強いですが、3年間のコロナ禍の影響は意外と大きく、様々な分野で完全に以前の状態に戻ることは難しいのが現実です。

「元に戻す」のではなく、コロナ後に対応したスタイルに「進化させていく」ことが重要でしょう。

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この記事を書いたコラムニスト

西岡 一紀 (ニシオカ カズノリ)

なにわ最速ライター

介護・不動産・旅行

介護系業界紙を中心に21年間新聞記者をつとめ、現在はフリーランスです。
立ち位置としてじ手は最もキャリアが長い介護系が中心で、企業のホームページ等に掲載する各種コラム、社長や社員インタビューのほか、企業のリリース作成代行、社内報の作成支援などを行っています。

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