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敢えて左ハンドル車を使用するケースも 介護事業所にとって「便利な車」とは

 デイサービスの送迎や訪問入浴、通院同行、見学者の送迎など、介護事業所では車を利用する機会が多くあります。今回は「介護事業所で使用する車は、どのようなものがいいか」をテーマに、いくつかのエピソードを紹介します。

 介護事業所の車というと、側面や後ろに事業所名やロゴを大きく記載したものが一般的です。この理由には「会社や事業所の宣伝になる」のほかに「要介護の高齢者が乗車していることを周囲の車や歩行者に知らせるとこで、事故などの防止につなげる」というものがあります。
 その一方で事業所名などを全く入れていない黒塗りや白一色の車を用いている事業所もあります。この理由としては、「デイサービスを利用していることを近所に知られたくない」という利用者がいることへの配慮もありますが、次のような事情もあるそうです。

 ある有料老人ホームの入居者の孫が結婚することになりました。孫からのたっての希望もあって入居者が披露宴に参列しました。保険外の外出同行サービスを利用して、ホームの車で会場の高級ホテルまで向かいましたが、正面の車寄せに車を停めたところ、ドアボーイから「申し訳ありませんが、車は地下の駐車場までお願いします」と言われてしまいました。
 
 高級ホテルではイメージを非常に大切にします。高級車やタクシー、ハイヤーなどは玄関前に横づけでき、ドアボーイがうやうやしくドアを開けてくれますが、あまりに大衆的な車や汚れた車、品位のない改造を行った車などは横づけできません。「○○介護サービス」などという社名やロゴが大きくが入った軽自動車は、残念ながら後者の扱いになってしまうようです。
こうした理由から「高級ホテルなど、どこでもきちんと対応してくれるように」と、ハイヤーのような黒塗りの車を用いる介護事業者や介護タクシーもいます。

 次に「デイ送迎時の効率・安全性」の点からの車選びについてみてみましょう。
日本では車は左側通行ですので、一方通行でない限り、道路と並行に駐停車する場合には車を左に寄せて、利用者は左側のドアから乗降します。しかし、運転席は右側にありますので、運転手が利用者の乗降をサポートする際には、車の前方ないし後方を回りこんで左側まで移動しなくてはなりません。1日に何回も送迎をしなくてはならない場合、その移動時間の合計は決して馬鹿にならない量となります。また、道路の右側に降りた運転手が後続車両に跳ねられるリスクも高くなります。この観点から「運転手が利用者のサポートをしなくてはいけない福祉車両は、すぐに乗降サポートに入れる左ハンドル車の方がいいのではないか」という声もあるそうです。
 
 とはいっても、左ハンドル車は輸入車のため、国産車に比べると故障しやすい、故障した際の修理に時間や手間がかかるというネックがあります(それに加えて、価格が高い、運転に慣れていない人が多い、という問題もあります)。これらの点を解決する方法として「国産車を左ハンドルへ改造した車両」があり、国内にはその作業を専門に行う業者もいます。その業者によると、もともとは「日本の車を海外でも乗りたい」という個人からのニーズが多かったそうですが、「福祉車両として活用したい」という依頼も少なくないそうです。
 
 もちろん、国産車を右ハンドルのまま使用する場合に比べて費用はかかりますので、導入の際は、送迎の効率向上効果と購入価格の比較検討を十分に行う必要があるといえるでしょう。

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この記事を書いたコラムニスト

西岡 一紀 (ニシオカ カズノリ)

なにわ最速ライター

介護・不動産・旅行

介護系業界紙を中心に21年間新聞記者をつとめ、現在はフリーランスです。
立ち位置としてじ手は最もキャリアが長い介護系が中心で、企業のホームページ等に掲載する各種コラム、社長や社員インタビューのほか、企業のリリース作成代行、社内報の作成支援などを行っています。