介護施設での暮らし

お話きっかけ集「つむぎ」 2月

時代時代の流行りすたりもあり、各世代の話題は違ってくるもの。
75歳以上が後期高齢者と言っても、95歳の方と85歳の方では話題も変わってきます。
まして、医療・福祉で働く方々は若い方が多く、人生の大先輩である高齢者の方々と長くお話をするのは大変ですよね。
傾聴ボランティア団体の「PORO」では、医療・福祉の世界、高齢者の方々と接する若い世代向けに、お話しきっかけ集「つむぎ」を毎月発行されています。
季節や行事、自然、食べ物、暮らしの中から、高齢者とのおしゃべりが弾むテーマを、月別にご紹介します!

今回はその2月号から、2月(如月 きさらぎ)の話題をご紹介します。

2月のキーワード

■ヒイラギ
ヒイラギ(柊)は、木へんに冬と書きます。
冬の訪れとともに、とても良い香りの白く可憐な花を咲かせることに由来する名前です。
トゲトゲの葉は古くから邪鬼の侵入を防ぐと信じられ、節分にヒイラギの枝とイワシの頭を飾るという風習もあります。

■はんてん
ダウンジャケットのない時代、防寒着は綿の入ったはんてん(どてら)や、袖のないちゃんちゃんこでした。子どもたちはちゃんちゃんこを着て元気に外で遊んだり、家の手伝いをしたり。
夜はこたつに入って、みかんを食べながらの家族団らんが楽しみでした。

■こたつ
こたつの始まりは室町時代。火力を弱くした囲炉裏(いろり)の上にやぐらを組んで、布団をかけたものでした。江戸時代には床の下を掘って囲炉裏を置いた「掘りごたつ」も登場。
時代が新しくなるにつれ、熱源は炭から練炭・豆炭、そして電気へと変わります。高齢の皆さんに、こたつにまつわる懐かしい思い出をお聞きしてみては。

■水仙
まだ寒い季節に咲いて早春の訪れを告げる水仙。
ギリシャ神話では、美少年ナルシッサスが、水面に映った自分に見とれて変身したのがこの花だと言われています。
水仙のはかなげな姿と甘い香りは、春を待ちわびる心を温めてくれますね。

■雪だるま
小さな球を転がしながら、だんだん大きくした雪のかたまりを重ねて作る雪だるま。
バケツの帽子、炭の目鼻口、木の枝などの腕を持つ冬の人気者です。
大小2つを重ねたスタイルが一般的ですが、江戸時代には縁起物のだるまの形に作っていたそうです。

知っておきたい、こんなこと!湯治(とうじ)~今はレジャー、昔は治療~

寒い季節、温泉に浸かれば心も体も温まりますね。
日本では古くから温泉が利用され、『日本書紀』にも天皇や皇族が温泉へ出かけたと載っています。
その目的は、温泉の効果効能を利用して養生(病気の治療や健康の回復)」する「湯治」だったと考えられています。

湯治が一般庶民に広まったのは、江戸時代から。「湯治願」を出し、温泉旅をしたそうです。身体の疾患を治す目的で温泉地を訪ねる人がいる一方、物見遊山で出かける人も!
そんな湯治の習慣が昭和初期まで残っていて、農民や炭鉱民が休耕期・閑散期に湯治宿に長期間滞在していたようです。
ちなみに、湯治宿は相部屋で、自炊が当たり前でした。
高齢者なら、「親が湯治に出かけていた」記憶をお持ちの方もいらっしゃるかも知れませんね。

懐かしい!?ロバのパン屋さん

ロバのおじさんチンカラリン、チンカラリンとやってくる♪ のメロディーにのせて二輪馬車でパンを売り歩いたロバのパン屋さん。
戦後間もない昭和28年に京都や岐阜などでパンの移動販売が始まりました。
昭和30年代にはチェーン店が150以上となるなど成長し、全国で「ロバのパン」が売られていました。

人気は手作りの「蒸しパン」のほか、「あんパン」や「レーズンパン」など。
高齢者の方に「音楽が聞こえると子どもと一緒に追いかけた」「小型のポニーが引く馬車を見かけたことがある」という話を聞いたことがあります。車社会が到来して交通の妨げになるなどの理由で減り、昭和の終わりには姿を消しました。

 ところが、「ロバのパンをもう1回食べたい」という声が高まり、最近になって京都や岐阜で復活。懐かしむ高齢者や
「カラフルな蒸しパンが映える」と若者にも人気になっているそうです。

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