なぜ、介護職の給料は上がらないのか?介護保険制度の問題点から考察
初めましてこんにちは、特別養護老人ホームの介護福祉士【しまぞー】です。
昨今、介護では2025年問題、介護職員が38万人不足と叫ばれています。
世間の間では、介護職は低賃金の仕事とも言われていて、私の実感でもなかなか昇給額が少なく上がりづらいと感じています。
ではなぜ、介護職員の給料が上がらないと言われているのかと申しますと、これは誰でも答えは一致していて、介護報酬(売上)が問題なのです。
今回は、介護保険制度の介護報酬について触れながら、解説していきます。
介護報酬とは
訪問介護で言えば、訪問30分〇〇円、施設で言えば、一日の利用料の合計のことで、つまり運営者にとっては売上になります。
稼働率と介護度で決まる介護報酬
特別養護老人ホームのような箱物の施設の運営で例えますと、介護報酬で重要なのは、”稼働率”と”介護度”です。ホテルと同じで、入所可能者数が決まっているからです。
そもそも、特別養護老人ホームは「入居待ちがある」と言われるほど稼働率は高いと言えるでしょう。
また、特別養護老人ホームの入居条件は、介護度である要介護が3以上と決められています。
つまり、介護度が高くなるほど介護サービス費が高くなる制度のもと、元来介護度が高い入居者が利用しています。
極端に言えば、全ての部屋が埋まっている状態、更には介護度が高い利用者が多い特別養護老人ホームでは、売上が上がる余地がないのです。
運営者としては、売上が上がらないのに職員の給料が年功序列式に上がると、利益が少なくなってしまいます。
一般企業のような規模の拡大が困難で、結果、介護職員の給料のもととなる介護報酬は上がらず、介護職員の給料も上げようがない構造的な問題があるのです。
とはいえ、国も介護職員の待遇改善のために施策を行っています。それが、処遇改善加算と特定処遇改善加算です。
国が行っている介護職員への加算
①:処遇改善加算
平成 24 年度より、以前の介護職員処遇改善交付金を円滑に介護報酬に移行し、当該交付金の対象であった”介護サービスに従事する介護職員の賃金改善”に充てることを目的に創設されたもの。
②:特定処遇改善加算
特定処遇改善加算とは、2019年10月より施行された、10年勤続介護福祉士に8万円支給、もしくは年収440万円以上の職員を配置する新制度のことです。
2つの処遇改善加算について簡単に解説しますと
介護職員にとって、この①、②の処遇改善加算は、施設や事業所によって受け取る金額が違うため、収入に大きな影響があるでしょう。
何故かというと、この加算は施設、事業所が国に請求する際、3つの要件によって金額が決まります。
・介護報酬(売上)
・特定処遇改善加算の新加算(Ⅰ)(Ⅱ)取得要件(研修など職場環境への取り組み具合)
・介護業態の加算率(介護業態別に数値が決めれれている)
※詳しい内容は、下記の関連するリンク先からどうぞ。
また、介護へ就職・転職する際に給料の条件の良い職場を希望の方は、面接等で確認してみるのもいいでしょう。事務作業の煩雑さから加算を算定すらしないところもあると言われています。
ただし、あくまでも誰にどのくらい支給するかは、施設・事業所が決めています。
まとめ
今回は、介護職員の収入面の待遇に関して解説しました。
結論としては、国の施策として介護報酬を構成する介護サービス単価を上げていかないと介護職員の給料が上がりづらいという事になります。
以上になります。また宜しくお願い致します。