相続・終活の事前準備

相続放棄のポイントと留意点

これから始まる親の遺産の相続。
”争族”と揶揄され、親兄弟の骨肉の争いになる場合も多々あります。
特に最近は、相続する資産の少ない方ほどよく争いになるとか。
少子高齢化と言っても、子育てや良い生活を維持するためにはお金がかかりますもんね。

それとは対照的に、「プラスの財産よりマイナスの財産のほうが多い」「親の借金を背負いたくない」など、相続人の負担を免れるたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういう方のために、相続放棄という方法があるのは皆様ご存知のとおり。
今回は相続放棄のポイントと留意点についてご説明させて頂きます。

相続放棄の手続きについて

相続放棄は厳格な手続きが必要です。
まず知っておいていただきたいのは、相続放棄に関しては、生前に行うことは不可能であるということ。
被相続人が存命であれば放棄する権利自体が存在していないから当たり前なのですが、意外と皆さまご存じないようです。

次に大切なのは、相続放棄の期限。
相続権が認められるのは、第一に配偶者と子供。
子供がいなければ親、子供も親もいなければ兄弟姉妹(おじさん、おばさん)なのは皆さまも御存じのとおりだと思います。

配偶者、子供、親と放棄してしまえば、おじさん、おばさんに相続権が移っていきます。
普段から懇意にしている親族であれば、被相続人が亡くなったことは、すぐ知れるのですが、日頃は疎遠にしていると、被相続人が亡くなったことが分からないことが多々あります。

相続放棄の期限は、「死亡したとき=死亡を知り、自分に相続権が発生したことを知った時から3か月以内」です。よく間違われるのが、「死亡したときから3ヶ月以内」。ここは知っておくべきポイントです。

相続放棄の手続きは、家庭裁判所に「相続の放棄の申述」(いわゆる申立て)を行うことが必要です。
遺産分割協議で、「自分は放棄する」と宣言したり、放棄する旨の念書を書くだけで相続放棄できたと勘違いしている方が多いようです。
実際には、「相続権が発生したことを知ったときから3ヶ月以内」に被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に「相続放棄申述書」を必要書類とともに提出することが必要です。

必要な書類は・・・

申述書を提出した後、数週間程度で裁判所から「照会書」が送付されますので、回答・返送します。
こうして申述書の提出からおおよそ3週間から2か月程度で受理され、「相続放棄受理通知書」が届きます。
これで相続放棄が完了しますので、被相続人の債権者にその旨を通知しましょう。

相続放棄と財産処分のポイント

相続放棄する前に、相続人が相続財産の全部または一部を処分してしまうと単純承認したものとみなされます(被相続人の預金から一般的な価格の葬儀費用として出したものは対象外)。ご注意ください。

一方で、相続財産でないもの、例えば生命保険については受け取ることが可能です。
生命保険は、受取人が権利を有しているため、相続財産には当たらず、生命保険を受け取っても相続放棄は可能です。
また、資産価値のないものは処分可能です。ただし「資産価値のないもの」の定義付けが難しいのは事実。
例えば、自分では乗るつもりのない車を処分して良いのかは迷いますよね。
このあたりは、行政等が行っている無料弁護士相談等で相談する必要があります。

いずれにせよ、相続放棄は基本的にプラスの資産よりマイナスの資産が多い場合に選択する必要がありますが、実際には、プラスの方が多いのか、マイナスの方が多いのかはわからない場合がほとんど。
資産と言っても、田舎にある不動産なんかは相続してしまって、却って負の遺産になる場合も今後増えて来るでしょう。
また、最近は借金の過払い金がある可能性もあります。相続放棄してしまうと過払い金の返還請求権も放棄してしまいますので、ここも注意が必要な点です。

いずれにせよ、相続放棄する前に十分な資産調査が必要ですね。

㈱ベイシス シニア事業部

私たち株式会社ベイシス シニア事業部では大阪を中心として関西圏で、専門家の方の紹介あっせんを行っております。
今回の「相続放棄」のみならず、法的なお困りごとがございましたら、是非ともお問い合わせ下さい。

 

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