これからの時代の身元保証人
- 掲載日 : 2018年4月25日
- カテゴリ : 終活に向けて > 相続・終活の事前準備
- タグ : 成年後見終活、 財産管理
- ライター : 一般社団法人シニア総合サポートセンター
身元保証人の役割
シニア総合サポートセンターの谷口です。
今回は身元保証人についてご説明したいと思います。
身元保証人(身元引受人や連帯保証人と言われることもあります)を求められるのはどんなときでしょうか?代表的なのは病院への入院時や賃貸住宅、老人ホームへの入居時です(就職の際に求められることもありますが、ここでは取り扱わないことにします)。
今までは親御さんや近くの親族にその役割(特に賃貸住宅入居時の連帯保証人)をお願いしてきた方が多いのではないでしょうか。あるいはご自身も誰かの身元保証人となってきたかもしれません。
実はこの身元保証人とは、法定の制度に基づいて求められている(法律上必須の)ものではありません。
さらに、身元保証人の担う役割も実は決まっておりません。
ですので、身元保証人は、病院や老人ホーム等の施設側にとって必要なこと、備えておいて欲しいことに対応してもらえるよう、契約によって任意に内容が定められることとなります。
では、施設側にとって身元保証人に対して必要なこと、備えておいて欲しいこととは一体何でしょうか?
身元保証人として(入院や施設入居の際に求められる役割として)特に重要な役割は次の3つです。
『緊急連絡先』・・・ご本人がけがをして救急搬送されたり、体調が急変したりしたとき等(不測の事態が起こったとき)に、その後の対処について判断・対応をする役割
『身柄引受』・・・ご本人が亡くなったときや退院・退去の際にお身体をお引取りする役割(居室の原状回復等も含まれます)
『連帯保証』・・・ご本人が入院費用や賃料・利用料等の債務を負担できない場合に、ご本人に代わって債務を負担する役割
私たちが仕事で接している印象では、身元保証とは、入院時や施設入居時には緊急連絡先としてだけ用意すればよいだろうと思っている方も少なくありません
が、入院・入居を受け入れる側としては本来上記3つの役割を担ってもらえる方を必要としています。
ですので、身元保証人には重責が伴います。結果的に今までは血縁がものを言い、親族同士で担ってきたわけですが、
このような重責を担う身元保証人を引き受けて欲しいとお願いできる相手は、親族の中でもそうは多くはいないのではないでしょうか。
なぜ身元保証人が必要なのか
入院時のことだけを考えると、昨今では入院日数が短くなり、結果、短期間の入院ならば身元保証人の不備にはそれ程困らなくなってきています。
(入院日数が短くなってきた背景には、長期の入院は診療報酬が下がるので、なるべく病室を新規の入院に備えて空けておきたいという事情があると言われています。)
ですが、その場合でも自身が万が一亡くなったとき、その後の対応(葬儀の手配等)を病院がしてくれるわけではありません。
さらに施設(老人ホーム)の場合には、病院よりも身元保証人を求められる割合が多く、約9割にのぼると言われています。
病院の入院よりも長期間・広範囲にわたって債務保証等が必要な背景があるためです。
施設によっては身元保証人がいない方でも受け入れ、医療に関する意思を確認したり通帳をお預かりしているところも有ります。
しかしながら、施設(又は病院)は本来、財産管理をしたり、医療行為に対する同意をしたり、
お亡くなりになった後の残置物の処分やライフラインの停止といったものを行う権限や機能を有しているわけではありません。
終の住まいとして決めて入居した施設といえども、入居者の財産を施設が管理してしまうと、本来対等であるべき入居者と施設との関係に矛盾や問題が生じる可能性が高まります。
自身が亡くなったときにお世話になった施設へ寄付もするつもりだしそれでも構わないと思う方は一定数いらっしゃいますが、それとこれとは別と考えなくてはなりません。
実は私自身も福祉施設で管理者をしていた経験があるため実感をもってわかるのですが、施設としては、身元保証人がいない方の対応には、周囲に金銭の搾取を疑われたりしないためにも台帳の管理・記録に配慮する等
誤解を生じさせぬために通常以上のコストと手間がかかります。
加えて債務の連帯保証人もいないことから、亡くなった後にかかった費用をちゃんと負担してもらえるのかという不安が付きまとうことにもなり、そのような入居者はできれば敬遠したいというのが本音ではないでしょうか。
だからこそ入居時に身元保証人が求められるのです。ということは身元保証人がいない方は、自身が望む施設に入れないという事態も予想されます。
保証人として寄り添ってゆく
『だったら施設など入らない!マンションでも買ってずっと自宅で生活する!』というお考えを持たれるのも自然な流れです。
ですが、若く元気なうちは、結婚せず(又は離婚して)、子どもを持たず、お一人だけで周りに頼らずとも何とかなってきたかもしれませんが、歳をとってくるとそうもいきません。
ご存知の通り、現在は少子高齢化が進み、生涯婚姻しない(=子がいない)方も非常に多くなっています
親族がいても、親は通常先に亡くなりますし、兄弟姉妹や友人は自身と同じように歳をとります。
高齢になってくると、周囲の方も若い時と同じく身元保証人を引き受けるという重責を担えなくなります。さらにご自身の保証人を見つけるのが難しくなります。
(子どもがいらっしゃる方でも配偶者の相続に際にトラブルで疎遠となり、いざというときの身元保証人に困る方もいらっしゃいます。)
ご自身の今後を考えたときに、本当に先々も自分一人で何もかも背負っていけるか、自身が弱ってきたときに頼れる人がいるかということを、お元気なうちに考えておいていただきたいと思います。
いざというときには「誰か」(=身元保証人・後見人)にその役割を担うしてもらうことになるわけですから。
そのときに自身の身元保証人の引き受け手やお亡くなりになった後の対応がご心配ならば、私たちシニア総合サポートセンター(※通称3S会)の総合身元保証サポートというサービスを利用するという手段があります。
3S会の総合身元保証サポートならば、身元保証人としての役割(入院や施設入居の際に求められる『緊急連絡先』『『身柄引受』『連帯保証』)に加えて
お亡くなりになった後の事務手続きや葬儀納骨等の対応までお任せいただくことができます。
法人が身元保証人になることにより、組織的なバックアップを受けることができ、個人に身元保証人をお願いしたときよりも幅広い状況において適切かつ手厚い対応を受けることできます。
翻って私たちの側から見ますと、このような適切かつ手厚い対応を行うためにはご本人のご意向をどれだけ確認できているかが重要なポイントになります。
そのため、ご契約をいただいた方には3S会独自のエンディングノートを書いていただき、ご自分の想いを思う存分語って(記して)いただいております。
そうすることで今まで諦めていたことへの考えが変わる場合もあります。また、ご契約者の中には『これでようやく色んなことから解放された』とおっしゃられた方もいらっしゃいます。頭の中でもやもやしていたことを吐き出す(語る又は文字にする)ことの効果はそれほど大きいのだと私たちが驚かされることもしばしばです。
ですので、必要に応じて遺言書の作成までお手伝いさせていただくこともあります。このエンディングノートや遺言書は何度も書き直しや変更が可能ですから、私たちは生涯にわたってそのお手伝いをさせていただくことを想定しています。
お付き合いは“最期まで”続くのですから。
(このコラムの担当者)
一般社団法人シニア総合サポートセンター 大阪支部
マネジャー 行政書士
谷口 宜邦(たにぐち よしくに)