人生100年時代の生き方終い方
人生100年時代
はじめまして。私は、高齢者の方向けに任意後見・身元保証・遺言信託等のサービスを提供しているシニア総合サポートセンター(通称3S会)という法人で近畿方面のマネジャーを務めている谷口と申します。
私たち3S会の活動は、高齢者の方がお元気なうちからご逝去されるまで、場合によってはその後のご相続の場面に至るまで、その関与する期間は長く、内容も多岐に渡っています。
まさに超高齢社会の実情を最前線で体験しているといっても過言ではなく、その中で感じたこと、考えたことをこのコラムで伝えていきたいと思います。
さて、2017年の流行語大賞は『インスタ映え』『忖度』でしたね。
選考過程では、このコラムの表題になっている『人生100年時代』もノミネートされていました。
人生80年から90年・・・そして今や人生は“100年”を想定していこうとする時代であることは、私自身肌で感じています。
ある学者の試算によると、2007年頃に生まれた方は100歳まで生きる確率が50%(!)もあるのだそうです。
そんな一昔前ではありえなかったことが今は当たり前になってきています。
世界に先駆け、急速に超高齢社会に突入した日本では、今までの常識が通用しないこともしばしば。
家督相続の制度がまだ存在していた時代のことなど今の若い方には想像もつかないのではないでしょうか。
一昔前まで叫ばれていた核家族化の進行は、今では単身世帯の増加という新たなステージに移行しています。
(2035年頃には65歳以上の方の単身世帯割合は40%と言われています)
それに伴って、家族の在り様もまた変化しています。
今を生きるにあたって
家族だから・・・親戚だから・・・それだけで支え合うにはあまりにもお互いの人生が違ってきているのではないでしょうか。
今は定年65歳が当たり前になりつつあります。
しかし、人生100年の現代を生きる我々にはその後がまだ35年もあります。
『リタイア』や『老後』と呼ぶにはあまりにも長過ぎる期間です。
ですから老後破綻をする方も増えました。これも当初想定されていなかった事態ではないでしょうか。
もうこれからは、定年退職後は第二の人生のスタート(セカンドステージ)と言えます。
その第二の人生をより豊かなものとするためにはしっかりと周りと繋がっていることが大事です。何故でしょうか。
これからの老後はお金の準備やお墓、葬儀の準備だけでなく、もっと大きな視点から自分がどう生きていくかという準備、すなわち自分が自分らしくあるため(あり続けるため)の準備をすることが最も大切なことだと私は考えています。
自分がどのような医療を望むのか?どのような介護を望むのか?はたまた、どのような葬祭スタイルを望むのか? これまではこれらを個別に考えていればよかったのです。
人生100年時代にはもう一つ重要なことを考えなくてはなりません。それは、それらが必要になったときに自分の行動力、理解力、判断力等が衰えていた場合、誰が自分に代わって望みを実現してくれるかということです。100年も生きることが想定されていなかった時代には考える必要もなかったことであり、これこそが『人生100年時代の生き方・終い方』を考える上での核となるべき事項ではないかと私は確信しています。
これまではその責務は主に子どもたちが担ってきました。このコラムをご覧になっている方もそうではないでしょうか。
しかし、自分が100歳になる頃にはご自身の子供たちも70代や80代になっています。まさに今、皆様がお持ちの悩みに向き合っていく年齢となっているわけです。
ご自身の経験を踏まえると、施設の身元保証人や自身の財産管理などをその年齢の子どもたちに委ねるという選択肢はとり難いのではないでしょうか。
そんなときに周りとの繋がりが重要となります。そのために私たちの法人があるとも言えます。
そんな私たちの実体験をご紹介しながら、今後もこのコラムを書かせていただこうと思います。
(このコラムの担当者)
一般社団法人シニア総合サポートセンター 大阪支部
マネジャー 行政書士
谷口 宜邦(たにぐち よしくに)