介護福祉士試験に「パート合格制度」導入 業界からは「人材の質が下がる」と反対も
2025年度の介護福祉士国家試験(2026年1月26日実施)より「パート合格制度」が新たに導入されます。
新制度では、試験全体をAパート・Bパート・Cパートに分け、まず3パート合計の総得点で合否判定をします。
それで不合格になった場合は、改めてパートごとに合否判定をします。
仮にAパートは合格点でしたが、B・Cパートが合格点に達していなかった場合は、翌年の試験では不合格のB・Cパートだけを受験できます。
これでどちらのパートも合格していれば、前年合格のAパートと合わせて全パート合格の扱いになり、介護福祉士の資格が得られます。
もし、翌年の試験でCパートのみ不合格の場合は、さらに次年度にCパートのみを受験できます。
各パート合格の有効期限は翌々年度までです。
つまり2025年度の試験でAパートのみ合格した場合は、2027年度の試験まではAパートは合格扱いです。
その試験でB・Cパートのいずれかが不合格で、2028年度の試験を受ける場合には、Aパートの有効期限は切れていますからAパートも受験しなくてはいけません。
このような試験制度改革を行った背景としては、将来の介護福祉士不足懸念が挙げられます。
例えば試験の受験者数ですが2015年度は約15万2000人いました。
しかし2022年以降は8万人を切っており半分近い水準となっています。
ここ3年間は合格率が80%前後と高い水準だったこともあり、合格者数はそれほど大きく減少してはいませんが、2015年度の約8万8000人に対して2024年度は約5万9000人と7割弱となっています。
また、介護福祉士の高齢化も問題です。
公益社団法人日本介護福祉士会の調査によると2023年時点の介護福祉士の平均年齢は49.3歳です。
つまり、株式会社や社会福祉法人に雇用されている介護福祉士はあと10年もすると多くが定年退職の時期を迎え、介護福祉士の数が足りなくなる可能性が高くなります。
介護報酬加算の中には介護福祉士の在籍などが算定要件になっているものもあります。
これらが算定できなければ介護事業者の経営面での影響も大きくなります。
こうした状況からも、今後は若い世代の介護福祉士を増やすことが求められています。
今回の試験制度の改正はその一環であり、特に今後増加が予想されている外国人介護職を介護福祉士にさせることを意識しての施策と思われます。
しかし、この新制度についてインターネットやSNS上では賛否両論、むしろ否定的な意見の方が多く見られます。
「合格のハードルが下がり、質の低い介護福祉士を輩出することになる」というのが主な主張です。
特に近年では、介護業界の深刻な人手不足から、介護職としてはもとより社会人としての素養に難があると思われるような人材でも採用を検討しなくてはいけないという厳しい現実があります。
そこに加えて介護福祉士試験合格のハードルが下がれば、介護福祉士自体のレベルも低下します。
そのことで実際のサービス品質が低下したり、介護職全体のイメージが悪化したりすることを懸念する意見が多く見られます。
また、「介護福祉士の数を増やしたいならば、受験をしやすい環境を整える方が先決ではないか」という意見もあります。
例えば、受験会場を増やす、受験費用を下げる、試験を年に複数回実施する、受験対策講座・研修の受講費用を公的に助成するなどの方法が考えられます。
介護福祉士試験の受験・合格者数の減少は確かに大きな課題であり、その解消は急務です。
しかし、介護福祉士のレベルを保ちながら効果的な施策を行っていくのはかなり難しいのが現実です。
同様の課題はケアマネジャー試験などでも発生しています。
今回の「パート合格制度」導入がどの程度の効果を発揮するのか注目されます。
介護の三ツ星コンシェルジュ



