ナーシングホームで働くと何故給与が高いのか?その収益構造から読み解く
1.ナーシングホームの収益構造
ナーシングホームの収益構造は、通常の高齢者施設と比較して高い収益性を実現できる仕組みになっています。主な収入源は以下の3つです。
(1)居室費
入居者から徴収する部屋代
(2)介護保険による報酬
通常の介護サービスに対する収入
(3)医療保険による報酬
24時間対応の訪問看護サービスによる収入
ナーシングホームの特徴的な点は、医療保険からの収入を得られることです。
これにより、通常のサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームでは実現できない高い収益性を達成できます。
医療保険収入の特徴
介護保険と異なり、利用制限が外れる条件(特定の疾患や症状)を満たせば、毎日算定することが可能。
また、神経難病や末期がんなどの特定疾患や症状を持つ入居者に対してサービスを提供することで、高収益を生み出せる。
実際の事例として、20床という小規模経営でありながら、客単価50万円以上/月のような高収益を実現している施設もあります。
このような高収益構造により、ナーシングホームは通常の高齢者施設とは異なる収益モデルを確立しています。
医療的ニーズの高い入居者に特化したサービス提供により、高い収益性を実現しているのがナーシングホームの特徴です。
2.ナーシングホームの給与は高い?
ナーシングホームで働く看護師の給与は、一般的な有料老人ホームよりも高い傾向にあります。
具体的な数字としては、通常の有料老人ホームの看護師の平均年収は約514万円ですが、ナーシングホームで働く看護師の給与は、おそらく年収550万円から600万円程度と推測されます。
ただ、ナーシングホームは医療的ニーズの高い入居者に特化したサービスを提供しているため、より高度な看護スキルが求められます。
同じように介護職においても、ナーシングホームのような医療的ニーズの高い入居者に特化したサービスを提供する施設では、より高度なスキルが求められるため、一般の有料老人ホームよりも介護職の給与が高くなっています。
3.ナーシングホームで働く場合の注意点は?
ナーシングホームで働く場合の注意点は、一般の有料老人ホームと比較して以下のようになります。
(1)医療依存度の高い入居者への対応
ナーシングホームでは、末期の悪性腫瘍や神経変性疾患、人工呼吸器を使用する医療依存度の高い高齢者を受け入れています。そのため、より高度な医療的ケアや緊急時の対応スキルが求められます。
(2)高度なスキルと責任
一般の有料老人ホームよりも、より専門的な看護・介護スキルが必要とされます。24時間365日体制での対応が求められるため、責任も重くなります。
(3)精神的負担
終末期ケアや看取りを行う機会が多いため、精神的な負担が大きくなる可能性があります。
(4)夜勤の頻度
医療ニーズの高い入居者に対応するため、夜勤の頻度が高くなる傾向があります。例えば、月5回の夜勤がある施設もあります。
(5)継続的な学習と研修
医療技術や介護方法の進歩に対応するため、継続的な学習や研修が必要となります。
(6)感染対策の重要性
医療依存度の高い入居者が多いため、感染対策がより重要になります。抗ウイルス加工のユニフォームの使用など、特別な対策が取られている場合もあります。
4.就職先としてナーシングホームを選ぶ場合の注意点は?
就職先としてナーシングホームを選ぶ場合、運営会社の以下の点を注意深く見る必要があります。
(1)運営会社のコンプライアンスに対する姿勢
法令遵守や倫理的な経営が行われているかを確認が必要です。
(2)離職率と人員配置
職員の入れ替わりが激しくないか、適切な人員配置がなされているかを確認します。
人員不足時の対応策(例:派遣社員の活用)も重要です。
(3)教育・研修制度
新入社員への教育体制や、継続的な学習機会が提供されているかを確認します。
医療技術の進歩に対応するための研修は特に重要です。
(4)設備と労働環境
施設の設備や労働環境が適切かどうかを確認します。
特に医療依存度の高い入居者のケアに必要な設備が整っているかは重要です。
介護の三ツ星コンシェルジュ



