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男性がおしゃべり、女性だけで飲みに行く パリの高齢者から見えた「長寿の秘訣」とは?

 先日、1週間ほどフランスのパリを訪れました。

 何かの視察に行ったわけではなく、100%私的の渡航でしたので、介護・医療事情などは把握できませんでしたが、一観光客の目線でも、現地の高齢者の習慣や行動について「日本でも参考になるのでは」と感じたことがいくつかありました。

 今回はそれらを紹介します。

 ちなみに、WHOが発表した2022年の平均寿命国別ランキングによると、フランスは82.5歳(男女合わせた数値・以下同)で11位。「福祉先進国」と呼ばれるスウェーデン(82.4歳)、やフィンランド(81.6歳)、デンマーク(81.3歳)を上回っており、世界でも屈指の長寿国といえます。

 フランス人が長寿の理由について、かつては「赤ワインをたくさん飲むからだ」と言われたこともありましたが、どうやらこれはワインブームに乗じて、よりワインを売ろうとした業界の戦略のようです。

 フランスの高齢者を見ていて、まず気付くのが「男性が非常におしゃべり」ということです。

 カフェなどでは男性高齢者が携帯電話で30分ぐらい誰かと話をしています。それも、何か相槌を打つといった簡単なものではなく、一度発言すると3分ぐらいは途切れることなく話し続けます。ちょっとしたスピーチのようです。

 それだけの長い時間途切れることなく発話をするには、話を組みたてる脳がしっかりしているだけでなく、口腔機能や肺活量も十分でなければなりません。

 つまり「話すこと=健康につながっている」と言えます。

 それに対し日本の高齢者は「男性の多弁はよくない」と幼いころに教育されてきた世代ということもあり、あまり長々とおしゃべりしません。

 また公共交通機関はおろかカフェでも「携帯電話の通話はお控えください」と注意されるので、圧倒的に会話の機会が少なくなります。

 「自己主張が強い」「議論好き」と言われるフランス人と日本人の性格の違いもありますが、もう少し日本の男性高齢者が積極的に会話できる環境が必要なのではないかと実感しました。

 次に、高齢者の女性2人連れで夜飲みに行く人が多いということです。

 日本でも昼間のカフェやファミリーレストランは高齢者女性のグループでいっぱいですが、夜は逆にほとんど見かけません。

 これは「女性が人前でお酒を飲むのははしたない」という風潮が強い中で育ってきたことが影響しているのではないでしょうか。

 また、「夜は、女性は家族の多ために家にいるべき」という意識が強いことも考えられます。それに対し、パリではちょっと小洒落れたレストランで70歳は優に超えていると思われる女性2人がワイングラスを傾けています。

 パリに限らずヨーロッパではTPOに応じた服装をとても重視します(買い物に行く店の格によって自分も服装を変えます)。夜にそうした店に行こうと思ったら、正装とまではいかないまでも余所行きの格好をしなくてはいけません。

 そのため、メイクや服装も日本の高齢者とは比較にならないぐらい気合いが入っています。

 「他人の目や評価を意識する」「場や雰囲気に見合った服を自分で選択する」といったことも認知症や介護の予防に一役買っているのではないでしょうか。

 日本の高齢者の場合、「○○をしてはいけない」「高齢者が○○をするのはおかしい」という世間のルールや、幼いころの教育・躾、またそれらに基づく自主的なルールなどにがんじがらめにされてしまって「生活を楽しんでいない」という印象を持ちました。

 もちろん、国の成り立ちや文化も違うため、一概に「フランスがいい」とは言えませんが、日本の高齢者にもこうしたライフスタイルが広がっていったら素敵だな、と実感しました。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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