令和3年度がん手術件数ランキング 肺がん編
このコラムは2021年当時関西電力病院事務局長であった岡本有氏が執筆し、大変好評だったものを、読者の皆様の多数のご要望により、介護の三ツ星コンシェルジュ編集部で令和3年の手術件数を調べなおし、新たなコラムとして掲載しています。
ですので、コラムの内容自体は当時の岡本有氏の内容を引用し、件数のみ新たなものとしています。
このコラムのランキングは各病院の主な手術の件数をとったものですが、目安として数種類の手術の合計の多い病院順にならべています。
空白になっている欄は、その術式の手術をしていないということではなく、数が少なかったということを意味しています。
在院日数は、その手術の患者さんが平均して何日で退院したかということを示す指標です。
一般に在院日数が短かい程早く退院できる、その病院の手術・治療の手際が良かったというようにも考えられます。
ただし、がんの手術は進行度であるステージ、年齢、併存疾患の有無等があります。
軽度ながんを多く扱うほど、在院日数は短くなるからです。
また、外科手術は一般的に在院日数が長いため、この手術を行っている病院は、行っていない病院と比べると在院日数が長くなります。
したがって、在院日数の単純比較はできませんので、在院日数のデータは一つの目安として参考にされることをお勧めします。
今回は、手術件数合計数ならびに在院日数のみを比較しましたが、これらの指標ですべてを推し量られるわけではありません。
病院の業績・アクティブを見る上では、病床あたりの手術件数、医師一人あたりの手術件数も、重要な指標となります。
このようなことを踏まえて、皆さんが病院選びの参考としてこのコラムを活用していただけば幸いです。
肺がんの手術
現在、日本におけるがん死亡者数のうち肺がんが約5分の1を占め、がんの臓器別死亡者数では第1位となっています。
早期肺がんは症状がほとんど無く発見されにくいことが挙げられます。
肺がんの標準手術では、がんが発生している肺葉を、袋状のまま、気管支から切り取ります。
肺がんの手術は切除範囲の広い方から順に
① 一側肺全摘術、
② 肺葉を切除する肺葉切除術、
③ 肺葉内のいくつかの区域を切除する区域切除術、
④ 肺の外側の小範囲を部分的に切除する楔状切除術(部分切除術)
の4種類があります。
このコラムでは、それらの手術の件数を「肺の悪性腫瘍手術」に掲載しています。
「その他の手術」とあるのは、縦隔や胸膜の悪性腫瘍です。
厳密にいうと肺の悪性腫瘍とは異なりますが、胸部・呼吸器関連の手術ということで掲載しています。
(縦郭と、左右肺と胸椎、胸骨に囲まれた部分を指します。ここには心臓や. 心臓に出入りする動静脈血管や気管、食道、大動脈など重要な器官が集まっています)
滋賀県では滋賀医科大学附属病院がその他手術ともにトップ!!
滋賀県では、滋賀総合病院病院がトップです。次に大津赤十字病院、3位に滋賀医科大学付属病院が入っています。
ランキング上位はすべて、公的・公立病院で占められています。
京都大学付属病院がダントツトップ、民間では桂病院が実績高い!
京都府では、悪性腫瘍手術、その他手術ともに京都大学附属病院がダントツのトップとなっています。
以下5位までは公的・公立病院が占めていますが、京都府では6位には桂病院、8位に武田総合病院、9位に岡本病院と民間の病院が入っており、がん治療の全て分野においてオールラウンドに水準の高いことが推察されます。
大阪府では関西医科大学附属病院がトップ
関西ではダントツに医療レベルが高い大阪府では、関西医科大学附属病院がトップになっています。
3位に近畿大学病院、5位に大阪医科薬科大学病院、6位に大阪公立大学医学部附属病院、7位に大阪大学医学部付属病院とランキングの半数は大学病院で占められています。
その他、2位には大阪国際がんセンター、4位に大阪市立総合医療センター、8位に和泉市立総合医療センター、9位に大阪赤十字病院、10位に済生会中津病院と公立・公的病院が入ってきています。
兵庫県では姫路医療センターがダントツトップ
兵庫県では、国立病院機構姫路医療センターがダントツのトップです。
上位はずらりと大学病院、公的・公立病院が並びます。
奈良県では天理よろづ相談所病院がトップ!!
奈良県では、天理よろづ相談所病院がトップです。関西では唯一の民間病院トップです。
関西全体でも11位にランクインしているのは特筆すべきです。
5位に済生会中和病院がランクインしています。
和歌山県では日本赤十字和歌山医療センターがトップ!
和歌山県では、和歌山県立医科大学附属病院を抜き、日本赤十字和歌山医療センターがトップになりました。
他は全て公的・公立病院です。
(注1)
手術件数データは厚生労働省の「令和3年度DPC導入の影響評価に係る調査」のサイトから引用しています。
介護の三ツ星コンシェルジュ編集部