入居後はパラダイス‼のはずが… 超高級ホームを巡る悲喜こもごも

有料老人ホームの中には、入居一時金(前払い金)だけで何千万円、場合によっては1億円を超えるような「超高級ホーム」もあります。
そうしたホームでの日々はさぞかし楽しいことばかりと思われますが、実際にはどうなのでしょうか‥‥

一時金5000万円でも「貧乏人」扱い

都内一等地の超高級ホームにある男性が入居しました。
入居金は5000万円。小さいながらも企業を経営していたこの男性は、俗な言葉で言えば「勝ち組」の人生を歩んでおり、このホームも人生を象徴するもののひとつでした。
「あのホームに入居できるなんて羨ましい」「やはり金を持っている人は違うね」と友人・知人から口々に言われ、本人もこのホームに入居できることを自慢に思っていました。

しかし、入居後にこの男性はつらい現実に直面します。

このホームには、さまざまなタイプの居室がありました。
一番高い部屋の入居一時金はなんと3億円。
そして、この男性が入居した一時金5000万円の部屋は、ホームの中でも一番安いものでした。
入居後に、高い部屋の入居者から、ことあるごとに貧乏人扱いされるようになってしまったのです。

「これまで、他人からお金持ち扱いをされることは多々ありましたが、貧乏人と言われたのは始めてでした。同じ金額を払うのなら、5000万円の部屋が一番高いホームにすればよかったと思っています」

自慢話に嫉妬したスタッフがとった行動は…

ある超高級ホームでは、スタッフから入居者への「プチいじめ」があったそうです。
元気な高齢者も入居できるこのホームでは、海外旅行や一流宝飾品・アパレルブランド、三ツ星レストランなどの会話が日常的に飛び交っています。
ときには入居者どうしだけでなく、スタッフに対しても「今度の夏はパリで本場のオペラを見てこようと思う・・・」などという話をすることもありました。

正直スタッフにとっては面白くありません。
自分たちは決して高い給料ではない上に、まとまった休みも取りづらく、国内旅行すらままなりません。
あまりにも自分とかけ離れた生活ぶりに嫉妬を覚えます。その結果、入居者に対していじめが始まってしまいました。

とはいっても、暴言を吐いたり、暴力を振るったりしては、たちまち虐待として問題になってしまいます。
そこでスタッフが行ったのが「食後のコーヒーを、わざと遅れて持って行く」などの見えない嫌がらせとか。
今では無くなっていることを願うばかりですが…

運営懇談会はまるで株主総会

超高級ホームのスタッフと言えば、こんな話もあります。

どこのホームでも、利用者を交えてホームの運営などについて意見を交換する機会を設けています。
一般的なホームでは、入居者から出てくるのは、食事やレクリエーションの質、スタッフの接遇などに関する意見や要望が多いですが、超高級ホームでは、全く様子が違うようです。

超高級ホームの入居者の中には元企業経営者が少なくありません。
意見交換の場で出てくるのも「売上に対して人件費率が高すぎるのではないか」「借入金の金利はどのくらいか」「取引先の与信管理はどこまでできているのか」「この前新聞に出ていた入居者募集広告はデザインが悪い」など経営に関することばかり。
参加するホーム側のスタッフは、まるで株主総会に臨む役員のように、詳細な資料を作成し、想定される質問とそれに対する回答を練習するなど、入念な準備が必要とのことです。

さて、私は新聞記者時代にこうした超高級ホームへ取材を申し入れたものの、断られてしまうケースもありました。
理由は「入居者が反対した」というもの。
「取材など外部の人間を入れる際には、入居者の全員許可を得なくてはいけない」というのがそのホームのルールなのだそうです。
ホーム長は「私には実質何の権限もありませんので…」と自嘲気味に謝っていました。

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この記事を書いたコラムニスト

西岡 一紀 (ニシオカ カズノリ)

なにわ最速ライター

介護・不動産・旅行

介護系業界紙を中心に21年間新聞記者をつとめ、現在はフリーランスです。
立ち位置としてじ手は最もキャリアが長い介護系が中心で、企業のホームページ等に掲載する各種コラム、社長や社員インタビューのほか、企業のリリース作成代行、社内報の作成支援などを行っています。

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