施設入居者最大の楽しみは食事 満足度向上のための工夫ポイントあれこれ

「入居者の最大の楽しみは三度の食事です」と多くの高齢者施設運営事業者は語ります。

それが最大の楽しみの生活とは少々寂しい気もしますが、
とにかく食事は入居者の満足度に直結するだけに、どこの介護事業所でも質の向上などに力を入れています。

ここでは、高齢者施設の食事に関するエピソードをいくつか紹介します。

「関東でのごちそうが地方では…」

地域による気候や風土の違いが大きい日本では、地域ごとの食文化にも大きな違いがあります。
高齢者施設を広域で展開する場合、このことがネックになるケースもあります。

ある大手介護事業者会社は、関東地方での展開が主だったのですが、
なぜかぽつんと離れて広島県でも施設を運営していました。

この会社の食事は自社調理で、どこの施設でもメニューは同じ。広島も例外ではありませんでした。
この会社の社長が広島の施設を訪れたときのことです。

入居者に「よかったですね~今日のおかずはマグロの刺身ですよ」と声をかけたところ、
「広島のもんはマグロなんか食わん」と言われてしまったそうです。
広島の人にとって魚と言えば瀬戸内のもの。
新鮮な魚が普段から目の前にたくさんあるのに、わざわざ外洋魚のマグロを有難がって食べたりはしません。
この一件を受けて、それからこの会社では「広島の施設だけは、独自のメニューを提供しても構わない」というルールになったそうです。

高齢者施設で餅を提供⁉

以前は食中毒や誤嚥などのリスクから、高齢者施設では提供がタブーとされている食材や料理が少なくありませんでした。

最近は保存や加工の技術が進んだこともあり、そうしたタブーは減ってきてはいますが、窒息の可能性がある餅は「絶対にダメ」というところが殆どでしょう。

ほかの食材を代用・加工した「餅のような物」で正月を祝うケースが多いのではないでしょうか。
しかし、九州のある施設では、入居者が希望すれば本物の餅を食べさせます。
元々「入居者が望むことは何でも叶える」が施設のモットーであり、餅についても例外視しません。
社長は「本人も『これは餅だ』とわかっていれば、喉に詰まらせないように意識してしっかり咀嚼して食べます。

喉に詰まらないようにと細かく切ったり、餅でないものを出したりするから、
本人が油断して喉に詰まらせるのです」と、本物であることが逆に事故防止につながっていると指摘します。

もっとも、入居者が餅を食べる際は、すぐそばに電気掃除機を構えた看護師が待機するそうですが…

スタッフの食費負担ゼロに

高齢者施設の中には、
「スタッフも栄養バランスのとれた食事で健康に…」という会社側の想いなどから、
スタッフが利用者と同じ食事を食べるところもあります。

この場合スタッフは1食300円程度を負担することが一般的です。
我々の感覚からするとお値打ち感満載ですが、少しでも節約したい若手スタッフなどの中には
「コンビニのおにぎりの方が安いから」とそっちを選ぶ人も少なくないようです。

そこで、関西のある高齢者施設は「食費の自己負担ゼロ」を打ち出し、日勤スタッフには昼食を、夜勤スタッフには夕食と朝食を無料で出すことにしました。
無料ですのでアレルギーがあるなど特別な事情のスタッフ以外は利用します。
福利厚生を目的に始めた取り組みでしたが、
結果として、利用者とスタッフが同じ物を食べることで「今日の煮物は美味しかった」などのコミュニケーションが自然に行えるようになりました。

また、実際に自分が毎日食べることで、提供される食事に対するスタッフの問題意識が高まりました。

委託先の給食会社に対しても具体的・建設的な要望・提案ができるようになり、
その結果実際に食事の質が向上するなど、様々な効果を生み出したそうです。

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この記事を書いたコラムニスト

西岡 一紀 (ニシオカ カズノリ)

なにわ最速ライター

介護・不動産・旅行

介護系業界紙を中心に21年間新聞記者をつとめ、現在はフリーランスです。
立ち位置としてじ手は最もキャリアが長い介護系が中心で、企業のホームページ等に掲載する各種コラム、社長や社員インタビューのほか、企業のリリース作成代行、社内報の作成支援などを行っています。

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