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令和3年度介護報酬改定の主な事項について⑫ ~評価の適正化・重点化~

12回に亘って説明してきました、令和3年度介護報酬改定。
最期を飾る今回は、「評価の適正化・重点化」です。

マイナス改定も多い「評価の適正化・重点化」ですが、今回は以下の項目について説明していきます。
・同一建物減算適用時等の区分支給限度基準額の計算方法の適正化
・サービス付き高齢者向け住宅等における適正なサービス提供の確保

・ 訪問看護の機能強化

・ 介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止、

同一建物減算適用時等の区分支給限度基準額の計算方法の適正化

通所介護、通所リハビリテーション★、(看護)小規模多機能型居宅介護について、訪問系サービスの同一建物減算適用時の区分支給限度基準額に関する取扱いを参考に、通所系サービス、多機能系サービスについて、以下の対応を行うことになりました。

<同一建物減算等>
・ 通所系サービス、多機能系サービスの同一建物減算等の適用を受ける利用者の区分支給限度基準額の管理については、当該減算を受ける者と受けない者との公平性の観点から、減算の適用前(同一建物に居住する者以外の者に対して行う場合)の単位数を用いることとなりました。

<規模別の基本報酬>
・ 通所介護、通所リハビリテーションの、大規模型を利用する者の区分支給限度基準額の管理については、通常規模型を利用する者との公平性の観点から、通常規模型の単位数を用いることとなりました。

例えば、小規模多機能に併設するサ高住等にお住まいの方にとっては、サービスを受ける回数が増加するので、プラス改定と言えます。
事業者にとっても、サービスを追加提供することにより、実質限度額が上がりますので、プラスなのではないでしょうか。
通所介護併設型の住宅型有料老人ホーム等にとっても同じことが言えます。

同一建物減算の原則を残しつつ、利用者が併設住宅を利用しやすくなりましたね。
やはり、施設系重視の今回の改定結果が反映されたものと言えます。

サービス付き高齢者向け住宅等における適正なサービス提供の確保

前述の「同一建物減算適用時等の区分支給限度基準額の計算方法の適正化」に加え、訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具について、以下の点が改定されました。

サービス付き高齢者向け住宅等における適正なサービス提供を確保する観点から、 訪問系サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護を除く)、通所系サービス(地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護を除く)及び福祉用具貸与について、事業所と同一の建物に居住する利用者に対してサービス提供を行う場合には、当該建物に居住する利用者以外に対してもサービス提供を行うよう努めること。

また、事業所を市町村等が指定する際に、例えば、当該事業所の利用者のうち一定割合以上を当該事業所に併設する集合住宅以外の利用者とするよう努めること。あるいはしなければならない等の条件を付することは差し支えないことを明確化。

 同一のサービス付き高齢者向け住宅等に居住する者のケアプランについて、区分支給限度基準額の利用割合が高い者が多い場合に、併設事業所の特定を行いつつ、当該ケアプランを作成する居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出するなどの点検・検証を行うとともに、サービス付き高齢者向け住宅等における家賃の確認や利用者のケアプランの確認を行うことなどを通じて、介護保険サービスが入居者の自立支援等につながっているかの観点も考慮しながら、指導監督権限を持つ自治体による更なる指導の徹底を図ること。
(居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出するなどの点検・検証については、効率的な点検・検証の仕組みの周
知期間の確保等のため、10月から施行)

ということです。

介護人材不足で、在宅系サービスのサービス提供がおぼつかない中、サ高住や住宅型有料老人ホームに併設する事業所をうまく使い、地域でのサービス提供量を確保しようという思惑でしょうか。

サ高住や住宅型有料老人ホームにとっても入居募集に繋がりますので歓迎ではないでしょうか。

訪問看護の機能強化

訪問看護の機能強化を図る観点から、理学療法士等によるサービス提供の状況や他の介護サービス等との役割分担も踏まえて、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行う訪問看護や介護予防訪問看護について評価や提供回数等の見直しが行われました。

これに関しては、昨年の医療保険改定と同様、訪問看護事業所のリハビリサービス提供叩きと言っても良いでしょう。

理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問の場合(1回につき)
<現行> 297単位⇒ <改定後>293単位
(介護予防)
<現行>287単位⇒<改定後> 283単位

○ 1日に2回を超えて指定介護予防訪問看護を行った場合の評価
<現行>1回につき100分の90 ⇒ <改定後>1回につき100分の50に

相当する単位数を算定 相当する単位数を算定利用開始日の属する月から12月超の利用者に介護予防訪問看護を行った場合は、1回につき5単位を減算(新設)

介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止

介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)について、上位区分の算定が進んでいることを踏まえ、廃止。その際、令和3年3月末時点で同加算を算定している介護サービス事業者については、1年の経過措置期間を設ける。

以上、主なものについて説明してきました。

今回の改定は、地域包括ケアの推進という意味で、「看取り機能」「リハビリ機能」「認知症対応機能」が強化。ICT活用による介護人材不足のカバー。
併せて、事業所の機能的には、住居系の利用促進(「多機能系」、「認知症GH」、「特定施設」、「特養」、「老健」、「サ高住・住宅型有料」)につながることを重視した改定になっているのではないでしょうか。

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