がんシリーズ2. がんの原因について
「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。前回から新シリーズとして、がん(悪性腫瘍)がスタートしました。今回はがん(悪性腫瘍)の原因についてお話ししていきます。
前回はがんという病気の概略についてお話ししました。なんでこんな厄介な病気になってしまうのでしょうか?今回はそんなお話し、がんの原因についてです。
がんの原因:実ははっきりわかっていないことも多い
ここで、ちょっと拍子抜けなことを言ってしまいます。がんの原因ははっきり測ってないことが多いです。ここで「○○を食べたらがんになる!」みたいなことが、はっきりと言えると「お〜、さすがお医者さん!じゃあ○○食べなければ、がんにはならないんですね。良かった良かった〜。」となるのですが、事はそう単純ではありません。後で述べますが、がんの原因の代表の一つであるタバコでさえ、タバコを数人が全員癌になるわけではありませんよね?はっきりしているのは、今わかっていない要因も含め、様々な原因があると考えられています。そのため、原因について考える際は、これさえ止めれば大丈夫というようなことを期待するというよりは、自分でコントロールできる要因をきちんと調整することが重要と思います。
代表的ながんの原因
・喫煙
皆さんご存知、タバコは肺がんを始め様々ながんの原因となります。最近は公共スペースでは禁煙となっている場所も増えてきました。禁煙をサポートする外来なども増えてきています。タバコは吸っている人だけでなく、周りの方にも影響を及ぼすことは重大な問題です。もし読んでおられる方で、喫煙中の方は、禁煙について考えてみるきっかけにしてみませんか?
・過度な飲酒
飲酒は肝臓がんなどの原因となることが知られています。また、がんだけでなく、過度な飲酒が心身に与える影響も心配ですね。
・食事
医師の仕事をしていてよく聞かれるのは、「これを食べすぎるとがんになりますか?」と言ったような、食事に関連した質問です。確かに書籍などでは、食品とがんを関連づけたものが結構ありますもんね。逆に「〜〜を食べたらがんが治った」みたいなのもあります。こんなにもがんの原因と言えば食事!というイメージがある中、実は食事や栄養の中で明らかにがんの原因と言われているものは少ないです。
こう言ったがんと食事内容の因果関係を、科学的に証明するのは結構難しいんですね。その中でもがんの発症に関連していると考えられていることを、いくつか紹介しましょう。まず加工肉は大腸がんのリスクを上げ、食物繊維はリスクを下げるとされています。日本食は脂肪が少ない反面、塩分が多いとされますが、高濃度の塩分は胃がんのリスクとなります。
・感染症
感染症といえば、最近はもっぱら新型コロナウイルスですね。一方、感染症の中にもがんの原因となるものがあります。例えばB型肝炎やCOVID-19型肝炎などの肝炎ウイルスは、肝臓がんの原因となります。他にはヒトパピローマウイルスは、子宮頸がんなどの原因になります。感染症を原因としたがんは、ワクチンなどで予防が可能なものがあります。数少ない予防できるがんとして、こう言ったワクチンは必要な方にはしっかりと行き届くように整備してもらいたいと私は思っています。
・その他の原因
その他にも化学物質などの外的要因だけでなく、肥満や性別など我々が持って生まれた特徴や生活習慣も関連があると言われています。
以上、がんの原因について一部ですが紹介してまいりました。
一概に説明するのが難しいがんの原因ですが、誤ったものも含めて情報が溢れて、何が真実かわかりにくくなりやすいトピックかなと思います。国立がん研究センターの「がん情報サービス」の一般の方向けサイトなど、信頼できる情報源に基づいて、ご自身の生活習慣を見直していただければ幸いです。
まとめ
今回はがんの原因についてお話ししました。次回はがんの診断についてお話ししていきます。