介護に備えたライフプラン

シニアの知っ得マネー② 「そなえる」お金/準備資金

高齢者の医療の実態とは?

健康な方も高齢になれば徐々に体が弱り、病気になる可能性も高くなります。
具体的には65歳を境に疾病リスクは急上昇すると言われています。

では実際にどの程度のお金がかかるのでしょうか?
生命保険文化センターの調査によると、入院1日あたりに必要な金額は約21,000円。治療費だけでなく、食費や差額ベッド料も含んだ金額となります。
1回の入院日数の平均が20日間とすると、自己負担額が20日×21,000円で42万円かと言うとそうではありません。

1回の入院に必要な金額は約23万円となっています。
つまり実際に窓口で支払う金額はもっと少なくなります。
公的医療保険制度には「高額療養制度」というものがあり、限度額適用認定証を提示することにより、個人負担額が一定額以上は免除されるからです。
このあたりが、「日本の公的医療制度が素晴らしい」所以でもあります。

とは言え、脳血管障害等長期入院が必要な場合もあります。
そう考えると、ある程度まとまった金額を医療費として貯蓄しておく、大体1人当たり200万円準備できれば安心と言えるかもしれません。

実は介護の方がこわい!!

介護保険は平成12年度からスタートしましたが、費用の負担と言う意味では、医療保険より真剣に考える必要があります。
一般高齢者の場合、自己負担額は1割ですが、医療費と違って、その利用額に限度かないからです。
介護保険の要介護度別の利用限度額を超えた場合でもサービスの利用は継続出来ますが、利用限度額を超えた場合は全額自己負担となります。

手厚い介護を受けたければ、青天井にお金がかかるということになります。
では実際にどれくらいのお金がかかるのでしょうか。
生命保険文化センターによると1ヶ月にかかる在宅での介護費用の平均は77,000円。介護が必要な期間は4年9か月だそうです。
この数字から、介護にいくら準備すべきなのかを計算すると、1人当たり440万円となり、医療費よりも深刻な問題であることがご理解いただけるはずです。

また、介護の担い手がいない場合は、在宅での暮らしが継続出来ず、施設でのサービスを受ける必要が出てきます。
その場合、介護に必要な金額は在宅介護の2倍以上必要であると言われています。

介護に備える必要性がわかっていただけたと思います。

”終の棲家”は自宅で!!

高齢者の方に、「ご自身の最後はどこで迎えたいですか?」とお尋ねすると、ほぼ全員の方が「自宅で」とお答えになられます。
ご自宅に愛着を持たれている証拠です。
60歳以上の方の持ち家率は8割を超えます。多くの方が30歳代から50歳代前半までにご自宅を購入されていますが、要介護状態でのご自宅での生活には大きなハードルがあります。

それを解決するのが「リフォーム」です。
リフォームを行う理由の1つ目は、経年劣化による建物・設備の老朽化です。
2つ目は加齢・ADLの低下により住み辛くなることです。
リフォーム会社が高齢者をターゲットとして情報発信する理由となっています。

社団法人住宅リフォーム推進協議会によると、リフォームに要する金額は100万円~500万円という世帯が一番多いそうです。
お金がないから自宅に住み続けるという方もいらっしゃいますが、住み続けるためにはお金がかかるのですね。

本当に老後に”そなえる”とは

以上から、高齢者りご夫婦が「そなえる」ために必要な資金は、約1,600万円(リフォーム費用は300万円で計算)ということになります。

これらの準備を怠れば、金銭的負担だけでなく労働力の負担も、全て家族の負担となります。
これから自分の老後の負担を考えていかなくてはならない子供世代の負担となってしまいます。

そうならないためにもしっかりとした準備は必要です。
ただし、自身で健康管理をしっかり行えれば、このお金はかかってこないのも事実です。

病気にならない方、介護にならない方も沢山いらっしゃいます。
そういう方でも準備をしっかりしておかれれば、その準備資金は、大切な子供世代に”残す”という選択肢も出てきます。
次回は、この「のこす」お金についてお話しさせていただきます。

この記事へのコメント

下記入力欄より、この記事へのご意見・ご感想をお寄せください。
皆さまから頂いたコメント・フィードバックは今後の内容充実のために活用させていただきます。
※ご返答を約束するものではございません。

この記事を書いたコラムニスト

小川 憲英 (オガワ ノリヒデ)

ライフプランナー

シニアのライフプランニング

同志社大学法学部卒業。在宅診療クリニックの事務長、有料老人ホーム紹介所の相談員、シニア向け情報誌の発行人兼編集長を経て、現在は外資系金融機関に勤務。単なる金融マンとしてではなく、医療や介護といった生活に欠かせない視点から行う独自の顧客サポートが評判。その他にボランティア活動も積極的に行い、最近はシニアのより良い住まい方を草の根レベルで周知させる「お節介士」としても活躍中。
今後のミッションは、”出会った全ての人が自分の老後を自分でコントロールできるよう、一緒に考えていくこと”とのこと。

掲載PR一覧

  • 老人ホーム入居相談窓口