介護に備えたライフプラン

シニアの知っ得マネー① 使うお金/生活資金

つかう・そなえる・のこす

私が今まで出会ったシニアの方々で、「自分も親の面倒を見て、大変さを知っているから、子供に迷惑をかけたくない。」という人が大勢いらっしゃいました。

早くから老人ホームの相談や準備をされている方々も、そういう想いをもっておられるのではないでしょうか。
そんな方に「どういう老後資金の準備をされてますか?」と尋ねますと、「まだ先の事だから、、、、」と言われて明確な答えを伺えないことがあります。

本当の所は、「どこから手をつけて良いかわからない」ということのようです。
私はそんな時、お金を目的別に「つかう」「そなえる」「のこす」の3つに分けることをお勧めしています。
それによって、老後のお金に対する漠然とした不安があきらかなものになるからです。

今回は「つかうお金」、生活資金をどう捉え確保していけば良いのかについて考えてみたいと思います。

老後の生活費はすでに赤字?

総務省の調査によると、二人暮しの無職高齢者世帯の実収入から税金等を引いた手取り収入は18万7,098円。
一方、食費、住居費、水光熱費等の消費支出は24万6,085円。
その差約6万円が世帯の毎月の赤字になっています。結構な金額ですよね。

参考までに一人暮らしの高齢者世帯の毎月の赤字額が約4万円。
1人当たりでは、1人暮らしの方がより不足が多くなる計算です。

結果、持っている資産を取り崩さないと生活もままならないことをご理解いただけたのではないでしょうか。

生活の為に必要なお金は1800万円!!

例として65歳の御主人さまと60歳の奥様の世帯の場合、それぞれの平均余命が約19歳、28.5歳ですのでお二人でお暮しになる期間が19年、奥様お一人での生活が9年になります。

前述の不足額を考慮して計算しますと、約1800万円となります。
貯金(退職金を含む)や生命保険等の金融資産、持ち家等の不動産資産を考慮し、1800万円以上あれば当面の生活は維持できるでしょう。

ただしこの金額はあくまで”生活”のみ。
旅行に行ったり、孫にプレゼントしたり、外食したり。
余裕のある老後生活を続けるためには、月に約36万円はかかると言われ、必要な資金額は約7,000万円程になりそう。
皆さんの現状と比べ如何でしょうか?

ムリなく準備するコツは、早めにコツコツと!!!

40代や50代のうちから、将来貰える年金や退職金を調べて、一度、老後シミュレーションを考えて見られてはいかがでしょうか?
その結果、準備資金が足りないとしても、実際の老後を迎えるまでに対応することが出来ます。

短期間で大きな金額を準備するのは大変ですが、時間をかけてコツコツ準備すれば、最終的には安心できる金額を手にすることも可能です。
生命保険を活用して、老後生活資金を用意するのもいいでしょう。
貯蓄タイプの商品であれば、終身の年金受け取りにすれば、公的年金と合わせ、亡くなるまで受け取れますし、保険の種類によっては、控除を受けられるのも魅力です。

最後に気を付けていただきたいことを2点ほど。
1点目はリスクのある運用は慎重に。まとまった額のお金を銀行に置いておくのはもったいないですが、運用などでマイナスを被ると、たちまち老後の毎月の生活設計が崩れてしまい、準備した資金が底をつくことも。

2点目はこれまで言ってきたことはあくまで生活資金であること。
例えば要介護状態になり、老人ホーム等に入居が必要になった場合に入居一時金などに対応はできません。

そのためには「そなえる」お金が必要になってきます。
次回は予備資金をどう考えるかをお伝えします。

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この記事を書いたコラムニスト

小川 憲英 (オガワ ノリヒデ)

ライフプランナー

シニアのライフプランニング

同志社大学法学部卒業。在宅診療クリニックの事務長、有料老人ホーム紹介所の相談員、シニア向け情報誌の発行人兼編集長を経て、現在は外資系金融機関に勤務。単なる金融マンとしてではなく、医療や介護といった生活に欠かせない視点から行う独自の顧客サポートが評判。その他にボランティア活動も積極的に行い、最近はシニアのより良い住まい方を草の根レベルで周知させる「お節介士」としても活躍中。
今後のミッションは、”出会った全ての人が自分の老後を自分でコントロールできるよう、一緒に考えていくこと”とのこと。

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