高齢者の病気・疾患

脂質異常症シリーズ2. 脂質異常症の診断

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。
前回から新シリーズとして、脂質異常症シリーズがスタートしました。
今回は脂質異常症の診断を説明していきます。
 

脂質の種類

血液中の脂成分である脂質の検査値が、基準値から外れた状態を脂質異常症と呼ぶのでした。
そしてこの脂質というのは、いくつかの種類があるのですが、基本的な3つの脂質を知っておけば良いと思います。

1)LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
 LDLコレステロール(エル・ディー・エルコレステロール)はコレステロールの中で、最も動脈硬化を悪化させやすいコレステロールです。
それゆえ、「悪玉コレステロール」なんて呼ばれ方をされることもあります。
確かに、LDLなんて言葉は覚えにくいので、非常にイメージしやすいですね。

動脈硬化を悪化させるので、検査値が高くない方が望ましいです。

2)HDLコレステロール(善玉コレステロール)
 LDLコレステロールが悪玉なら、HDLコレステロール(エイチ・ディー・エルコレステロール)は善玉コレステロール」と呼ばれています。
こちらは、血管の動脈硬化をむしろ改善することが知られています。
「え!?コレステロールなのに動脈硬化を改善させるの?」と思ったかもしれません。
そうなんです、HDLの善玉たる所以なのです。

動脈硬化を改善させる作用のあるHDLコレステロールなので、できれば血液中に多くあって欲しいですよね。
そのため、HDLコレステロールの検査値は高いことは問題となりません。
逆に低いことが問題となります。

HDLコレステロールは血管にくっついた脂質を、血管から剥がして肝臓に運ぶ役割をしています。
なので、動脈硬化を改善させると考えられています。

3)トリグリセライド
 トリグリセライドは中性脂肪とも呼ばれます。
トリグリセライドが高い値が続くと、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やし、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を減らすことが知られています。

脂質異常症の診断

脂質異常症はここまで話してきた脂質の検査値を元に行います。
食事をとってない時の血液検査で、基準を満たした場合、脂質異常症の可能性が高いと判断します。
実際にはもう少し複雑なのですが、わかりやすい基準として、以下の3つを紹介します。

・LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140mg/dL以上
・HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dL未満
・トリグリセライドが150mg/dL以上

いかがでしょうか?
今度血液検査をする機会があったら、ご自身の脂質の数値を確認してみると良いですね。
 

脂質は悪者?

ここまで脂質の種類と診断について説明してきましたが、脂質の中にもいろいろあるのだなあと感じてもらえましたか?
脂質とかコレステロールと聞くと、健康を害する悪者というイメージを持たれる方もいます。
しかし、コレステロールも我々の体にとっては重要なエネルギー源だったり、様々なホルモンや体を構成する原材料となります。
あまり頭ごなしに嫌わないであげてくださいね。
 

まとめ

脂質異常症シリーズの2回目は、その診断についてお話ししました。
3回目の次回は原因についてお話しします。

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