脂質異常症シリーズ1. 脂質異常症とは?
「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。
今回から新シリーズとして、脂質異常症を扱っていきます。
まず初回は脂質異常症の概略を説明していきます。
脂質異常症とは?
脂質異常症という病気を聞いたことはありますか?
高血圧や糖尿病については聞いたことがある方も、もしかしたら「脂質異常症は初めて聞いた!」と感じられたかもしれません。
コレステロールは聞いたことがありますよね?
健康診断などの血液検査で、「コレステロールが高くてねえ」と我々を悩ませるアレです。
よく聞くコレステロールですが、これ、医学用語で「脂質」と呼ばれます。
この「脂」という感じがいかにも体に悪そうに感じませんか?
この脂質の検査値が基準値から外れた状態を、脂質異常症と呼びます。
コレステロールも実はいくつか種類があるのですが、これらのコレステロールをまとめて脂質と呼ぶのですね。
なので、コレステロールが高いというのは、脂質異常症の一部になります。
この脂質異常症という病気は、以前は「高脂血症」と呼ばれていました。
皆さんが聴き慣れないのも当然ですね。
脂肪分の多い血液の病気という高脂血症という言葉ですが、コレステロールは検査値が高いだけが問題ではないのです。
善玉コレステロールと呼ばれるような、HDLコレステロールは当然のことながら、数値が高い方が好ましいです。
なので、HDLコレステロールの検査値が基準値よりも低いことが問題となります。
コレステロールなら何でもかんでも、検査値が高いことが問題というわけではないんですね。
この誤解を生まないように、高脂血症という名前を変えて、脂質異常症と呼ぶようになりました。
コレステロールと一言で言っても、いろいろあるんですね。
脂質異常症患者は約220万人
脂質異常症の最も典型的なイメージは、血液中の脂肪分が増えすぎたせいで、血液がドロドロになっている状態です。
こうなると血液の巡りが悪くなり、高血圧や糖尿病と同じように、血管を痛めてしまいます。
そして、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞という怖い病気を引き起こします。
この怖い脂質異常症ですが、日本では220万人の患者さんがおられると厚生労働省の「平成29年(2017)患者調査の概況」で報告されています。
その内訳として、男性は約64万人、女性は156万人と性別差の大きい状況となっています。
女性の方がコレステロールが高くなりやすいことが知られており、それを反映した患者数となっています。
以前は日本人には脂質異常症は多くないと言われていました。
しかし、食生活の欧米化の影響もあり、患者数は今後も増えるのではないかと思っています。
まとめ
脂質異常症シリーズの初回は、その概要についてお話ししました。
次回は原因についてお話しします。