住み替えを検討する前に、親子で意見調整を

子世代は高齢者住宅の現状を知らない

子どもがいても、将来介護などの面倒をかけたくないと、高齢者住宅への住み替えを考える人が増えています。

でも、元気なうちに住み替え先を見つけて子供に話したら、「どうしてそんなところに?まだ早い!」と反対されるケースがよく見られます。
そうなる理由は2つ。
まず子世代は今の高齢者住宅の現状をよく知らず「高齢者向け=介護施設」と捉えている人が多いこと。
だからまだ元気な親が住み替えたいと言っても納得がいかないのです。

思い込みが現実を見えなくさせる

もう一つは、子は自分の親が年老いて弱っていくことが受け入れ難く、いつまでも元気でいて欲しい気持も加わって、「自分の親はまだまだ元気だから大丈夫」と思い込みがちなこと。

離れて暮らしていれば日々の様子を知ることも難しいので尚更です。
さらにこの点は親の側にも原因が。
実際には体力の低下や一人暮らしの心細さなどを抱えていても、親としてのプライドと子供に余計な心配をかけたくない思いから、「私はまだ大丈夫」と元気な素振りを見せてしまうことも影響しているようです。

自分の状況と意思を本音で伝える

このような親と子の意識のズレをなくすには、まず本音で語り合うことから。

親子だから分かっていてくれているだろうとの思い込みは禁物です。
親から子には、自分の身体の状況や日々の心配事、そして「自分はこうしたい」という意思をしっかりと伝えましょう。
さらに高齢者住宅には元気な人向けから要介護の人向けまで様々なタイプがあることを子に知ってもらうためにも、親子一緒に現地を見て、理解を得ながら検討することをお勧めします。

子世代に親の本音と高齢者住宅の現状を知ってもらえば、むやみに反対されることもなくなるでしょう。

期待外れにならないために

子にもそれぞれの生活事情がある中で、「将来は僕たち、私たちが面倒見るから」と優しい申し出があることも。

これは親にとっては一番安心で嬉しいものです。
けれど「一部屋あるから一緒に住もう」「近くに来てくれたら、すぐに駆け付けられる」と言われても、若い世代には介護生活なんて想像することもできていません。
ですから、実際に同居や近居をしたその先に思わぬ事態が待ち受けていることがあるのです。

「介護」を知らない子世代が実際の親の介護に直面して予想外の大変さにギブアップし、「悪いけど近くの施設に入って欲しい」と切り出すことも珍しくありません。
そうなると、面倒を看てあげたかった子も看てもらえると期待していた親も不本意な結果を迎えます。

そんな事態にならないためには、子の理解も得ながらできるだけ元気なうちに自分の意志で住み替えることが大切なのです。
 

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この記事を書いたコラムニスト

岡本弘子 (オカモトヒロコ)

シニアの暮らし研究所 代表 高齢者住宅アドバイザー

住宅メーカーで生活研究に従事した後、2004年から高齢者住宅の紹介センターで1万件以上の入居相談に対応。新聞・情報誌等の取材や執筆をはじめ、年200回以上の高齢者住宅セミナーで講演。常に利用者・入居者視点に立ち、高齢者住宅およびシニア向け商品・サービス企画開発への助言や営業支援に努めている。2012年に開設した「岡本弘子の居相談室」では、徹底した対面相談で100%入居者本位の住まい選びをサポートする。2015年1月に一般社団法人日本シニア住宅相談員協会を設立し、代表理事を務めながら、資格認定研修講師としてシニア住宅相談員の育成にも注力している。消費生活アドバイザー、福祉住環境コーディネーター等

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