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介護FC 人気再燃の兆し 加盟店フォロー体制など十分に確認を

ある会社が「現在フランチャイズ(以下:FC)に加盟している・もしくは加盟していた経験がある経営者」を対象にアンケート調査を行ったところ、「今後FCに加盟して手がけたい事業」の2位が「福祉」でした。ちなみに1位は「飲食」です。

別の質問、「実際に加盟している・加盟していた事業」では、「福祉」は「飲食」「小売」「教育」に次ぐ4位でしたから、「福祉」について期待をしている経営者が多いことが伺えます。アンケートを実施した企業では「『飲食』『小売』は新型コロナなどに左右され、『教育』は少子化の影響などで安定的な収益を上げることが難しくなっている中で、社会貢献にもつながる『福祉』への注目が高まっているのでは」と分析しています。

今回は「介護業界におけるFC事業」について、色々と考察していきましょう。

数ある介護サービス事業の中でも最もFC事業との親和性が高いのがデイサービス、中でも機能訓練型デイサービスではないでしょうか。食事や入浴の提供がないため、初期コストが少なくて済み、脱サラ経営者などでも参入が比較的容易であることなどが理由です。10数年ほど前より多くのデイFC本部が立ち上がっています。加えてFC事業の代名詞的とも言えたコンビニエンスストアの供給に過剰感が出て閉店が増えたこともあり、その跡地の有効活用として注目されたことも、デイFCの増加に拍車をかけました。

しかし、それらのデイFCの中には、その後、勢いを失ったり、FC事業を止めてしまっていたりするケースもあります。

以前、仕事である島を訪問したことがあります。

その島は、人口自体はかなり多く面積も広いのですが、本土からは遠く離れており、東京からですと飛行機を乗り継いで行かなくてはなりません。その島の中心地に、首都圏などを中心に展開している機能訓練型デイサービスがあります。地元の介護事業所が新規事業を手がけるのに際してリハビリのノウハウが十分ではなかったため、東京に本部があるFCに加盟したそうです。島にはこのブランドのデイは1軒だけです。

「ずいぶん本部から離れていますね。本部のフォローは十分ですか?」と尋ねる私に、担当者は「加盟当初は月に1回来てくれましたけど、時間と手間が大変なのか、いつのまにか来なくなりました」と、ほとんどフォローがなされていない現状を語ります。

このようにFC展開を始めてみたけれど、自分たちで管理できる範囲以上の展開をしてしまって息切れしている本部もあるようです。

中には、FC事業そのものを止めてしまったケースもあります。デイサービスを数ヵ所運営する介護事業所は、かつて小規模ながらもデイFC事業を展開していましたが、10年以上前にそれを休止しています。

その理由について社長は
「今後、介護報酬は下がることが予想される。FC加盟店は事業規模が小さいところが大きい。今後、本部へのロイヤリティを支払うこと自体が困難になってくる加盟店が出てくることが考えられる」と語ります。

冒頭のアンケート結果にもあるように、介護FC加盟に対する経営者の関心が高まっている中で、今後これまで以上に加盟店募集を熱心に行ったり、新規にFC事業を開始する介護事業者も出て来ることが考えられます。

しかし、ここで紹介したような事例もありますので、加盟先選びは慎重にしたいものです。特に、飲食や小売FCに比べると、介護FCは本部企業の経営規模が小さい傾向にあります。「フォロー体制が十分か」などといった点は十分に確認する必要があります。

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この記事を書いたコラムニスト

西岡 一紀 (ニシオカ カズノリ)

なにわ最速ライター

介護・不動産・旅行

介護系業界紙を中心に21年間新聞記者をつとめ、現在はフリーランスです。
立ち位置としてじ手は最もキャリアが長い介護系が中心で、企業のホームページ等に掲載する各種コラム、社長や社員インタビューのほか、企業のリリース作成代行、社内報の作成支援などを行っています。

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