認知症について

認知症予防とは?怒らない修行もそのひとつです。 認知症になったとしても「幸せ」に生きるのは、その前に「感謝」グセをつけておくこと。

あれっ、と思ったら認知症予防

「あれっ、この料理、醤油が先だっけ」「この前は行けたのに道がわからない」
もの忘れがひどくなってきた、いままでできていた手順が一瞬、わからなくなる、そんなときは生活を見直してみてください。

毎日同じことの繰り返しで、一定の脳の回路しか使っていない、ダラ〜〜、ボーっとしている時間が多い、ならば要注意。このままの生活を続けると、軽度認知症から、ホントウの認知症に移行するかもしれません。

頭も体も使わないと衰えます。
このごろの脳科学では、高齢になってからでも、新しい経験や感動体験をすると、神経のネットワークが新しく作られることがわかってきました。
また、記憶を司る海馬も、扁桃体という快不快を司る脳と連動していることが解明されたのです。
いつまでもしっかりしていたいなら、新しい体験をしたり、責任ある立場でしゃんとしたり、芸術に触れて感動したり、仲間とともに助け合ったり、快感や感動を感じる積極的な生活をするように変えていきましょう。

いいストレスをかけましょう

園芸は、種まきや水やり、せん定など計画的な判断が必要で、認知症に見られる、「ものごとの手順がわからない」という症状を予防するのに役立ちます。太陽の下の作業はゆううつな気分も解消してくれます。

動物の世話も、つねにペットに責任感を持つことが脳を活性化させるとわかってきました。犬の散歩をすれば、運動できるし、ワン友ができれば会話もするので相乗効果があります。

読み書きそろばんもいいですね。
読むこと:発声は心身によい効果があり、判断力も向上するので、音読がオススメです。
書きは新聞のコラムや好きな文章の書き写し、写経など。手と脳を同時に働かせ、効果的。
そろばんも指と頭脳を使うので、脳が広範囲に活性化します。

認知症予防の、心明るい生活

認知症はそれぞれの人でありようが違いますが、おおまかに分けて葛藤型、回帰型、孤立型というタイプに分けられます。

過去の自分に比べて、いまの自分がもどかしいので、怒ってばかりいる、これは「葛藤型」。

文句を言い続けている音楽教師だった女性。
財布がない「オマエがとったんだろう」と騒ぎ、介護者を疑う経営者。
自分が無くすはずがないという固い自信から、「だれかが取ったに違いない」という確信を持つのです。
これは葛藤型のプライドの危機が裏返った心理です。
周囲や家族に采配をふるってきた人、周囲から尊敬されてきた人は「面倒見よいけれど、面倒みられ下手」になりがち、内心の葛藤が攻撃的なカタチで現れます。

回帰型は人生が充実していたあのころに戻るタイプ。

家にいるのに「家に帰る」と出て行く。夕方になるとソワソワして「みんなの食事をつくらなきゃ」と出て行こうとしてきかない。
「あなたは弟でしょ」と息子を弟と思い込む。
「行って来ます」とやたら重ね着して、仕事に行こうとする。
過去の誇らしい自分に戻ると心が落ち着くタイプは、自分の仕事や役割を一生懸命果たしてきた人です。
 
孤立型は自分の世界に閉じこもり、心身ともに弱ってきて困ります。

人と交わらず口もきかないで、ぶつぶつ独り言を言っている。
ほうっておかれるので、ますます閉じこもると、次第に体力が衰え、入浴や食事もいやがるようになっていきます。
孤立型タイプは、若いころから自己主張をしないで人生を生きてきたタイプや、親や配偶者、子供を一番に生きてきた方が陥りやすいタイプ。認知症になってできたことができなくなってくると、不安で、「なにもしないに越した安全はない」と、閉じこもってしまうのです。

認知症になっても「かわいいじいさん、ばあさんになりたい」

サッチャー首相もレーガン大統領もなった認知症ですから、完全に防ぐことは難しいのかもしれません。
ではどうしたら?

なったとしても、穏やかに生きていきたい、と心がけることしかないでしょう。
葛藤型、回帰型、孤立型の心理を推察して、できるだけ怒ったり、別の状況に逃げ込んだりしないようにしたい。それには、被害的にならない心理的な訓練を、しておくしかありません。
あるがまま、なるようになる、とあまりこだわらずにいることも、老化への怒りも、いたたまれなさも軽くしてくれるはずです。

活動的だけれど、怒らない日常を送り。
上から目線の考え方をしない。
こだわらない。
しなやかに、優しく。
ときどき宮澤賢治の「雨にもまけず」の詩を口ずさんで、小さなことに感謝して生きていこうと思っています。

この記事へのコメント

下記入力欄より、この記事へのご意見・ご感想をお寄せください。
皆さまから頂いたコメント・フィードバックは今後の内容充実のために活用させていただきます。
※ご返答を約束するものではございません。

この記事を書いたコラムニスト

小川陽子 (オガワヨウコ)

ノンフィクション作家

仕事内容はノンフィクション作家の他、認知症への理解と対応講師、がん患者会活動、自分史作成セミナーと幅広く行っています。

〇プロフィール
認知症予防カフェ「氷川台三丁目カフェ」世話人

日芸映画卒、石原プロフィルム編集室勤務ののちノンフィクション作家に。
作品に「さようなら!子牛のモグタン」「お母さん笑顔をありがとう」「ぼく、とうふやの営業部長です」「親の認知症が心配になったら読む本」ほか。
編集作品に逸見晴恵著「23年目の分かれ道」土屋繁浩「ストップ・ザ・ドクターハラスメント」井上美由紀著「生きてます、15歳」ほか。
高齢者住宅新聞「エルダリープレス」にコラム『ひとは誰でもドラマティック」を連載。
ウエルリンク広報誌「cocoro」に斯波道子とともに『認知症に向き合う生き方』を連載

掲載PR一覧

  • 老人ホーム入居相談窓口