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大阪サービス付高齢者向住宅事情

全国でサービス付高齢者向住宅供給戸数No.1は大阪

皆さんは、全国でサービス付高齢者向住宅(以下、「サ高住」と略記)の供給戸数No.1の都道府県はどこかご存知ですか?
そう!大阪府です。
 
約18,000戸!全国のサ高住の総戸数の1割を占めています!
2位の北海道に比べ100棟以上、戸数で5,000戸以上上回るダントツの1位です!
 
大阪府高齢者居住安定確保計画(大阪府 2017)によると、大阪府は平成32年度までにサービス付高齢者向住宅の供給目標を19,000戸としていますが(大阪府 2017)、現時点で目標に対し進捗率は約93%となっており、そろそろ目標戸数を上回ってくるのではないでしょうか。
 
なぜこんなに多いのか?
 
まず、大阪にはパナホーム、積水ハウス、ダイワハウス、セキスイハイム等大阪に本社や発祥の地を持つハウスメーカーが多く、また、地元の高松建設、生和建設等、ゼネコンも地主に対しサ高住の提案を意欲的に行っていることが考えられます。
 
また、大阪府民は起業意欲が旺盛で、介護業界に勤めている人が独立する場合や、不動産業界から転身する方も多いことが考えられます。くわえて地主の考えに、サ高住の補助金をもらわな損!という大阪人特有の考え方が影響しているのではないでしょうか!
 
このように、建設業界のあおりと地主の税金対策、府民の起業意欲が重なって、サ高住ラッシュになっているのではないでしょうか。
大阪市内の南部には、一棟の建物の中に、フロア毎に数社の運営事業者が入っているサ高住なんかもあります。起業するのにリスクが少なくて済む方式です。

入居者はいるの?

では、こんなにサ高住が多いのであれば、部屋が埋まるほど入居する方も多いのでしょうか?
 
大阪府内の入居開始後1年以上経過したサ高住の約75%で入居率が80%を超えています!
供給量の多さに劣らず、入居もある程度進んでいるのですね!
 
何故?
 
ここにおもしろい数字があります。なんと、大阪府内のサ高住戸数のうち42%が、生活保護受給者が入居できる水準まで家賃を落とし、囲い込むことによる介護報酬で家賃減額分を補っているという事実です。
 
大阪府内には、急性期病院に出入りし、生活保護入居者を退院させ、サ高住に送り込むブローカーまがいの方々が複数いらっしゃいます。
 
また、そのプローカーに入居者紹介料を要求する病院関係者もいらっしゃいます。貧困ビジネスの象徴ですね。
 
ただ、前回の介護報酬改正で、囲い込み対策としての減額が更に強化されました。また、次回の改定で、更なる減額が予想されています。
また、最近の建築費高騰で、貧困ビジネス対象のサービス付高齢者向住宅は建設するのが難しくなってきています。
 
これまでの貧困ビジネス目的の事業者には打撃が大きいのではないでしょうか。

参照元

大阪府,2017,「大阪府高齢者居住安定確保計画」,大阪府公式サイト,(2017年11月27日取得,http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/15475/00000000/00_zenbun.pdf).

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この記事を書いたコラムニスト

荒牧誠也 (アラマキセイヤ)

介護の三ツ星コンシェルジュ編集長

株式会社ベイシス 常務取締役 事業本部長
1964年 大阪府大阪市生まれ
1988年 関西電力㈱入社。介護事業子会社 ㈱かんでんジョイライフや医療関係子会社 ㈱かんでん在宅医療サービスの設立や運営に従事。関西電力グループのメデイカル・ヘルスケア事業の企画業務や㈱京阪ライフサポートのM&Aに従事後退職。
2017年 関西電力㈱を退社。㈱ベイシスの取締役シニア事業部長に就任。

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