親の有料老人ホーム選びで失敗しないための実践ガイド
1.急な入院をきっかけに施設探しを始める家族のリアル
20年以上音信不通だった親が突然入院し、退院先として有料老人ホームの選択を迫られるケースが増えています。
別居中の家族は親の生活習慣や経済状況を把握しておらず、安価な施設を選びがちだが、これが後々のミスマッチにつながります。
2.親目線で考える5つの優先事項
(1)立地条件
従来のコミュニティから離れる寂しさを軽減するため、友人や親族が面会しやすい場所を選ぶことが大切です。
(2)個性に合わせたサービス
カラオケ好きならレクリエーション充実施設、美食家なら管理栄養士監修の食事を提供する施設など、嗜好に特化した選択が重要です。
(3)認知症対応の有無
認知症受入れ不可の施設が約40%存在するため、将来の進行を見据えた選択が必要です。
(4)経済的持続可能性
初期費用50~300万円+月額15~50万円が相場で、親の資産や年金額を正確に把握しないと途中退去リスクが生じます。
(5)看取り体制
終の棲家とする場合は24時間医療対応可能な介護付きタイプが望ましい。
3.施設選びの落とし穴
病院のソーシャルワーカーは特定の施設しか紹介せず、親に最適な選択肢を提案しない傾向があります。
住宅型は自由度が高いが緊急時の対応が遅れやすく、介護付きは規制が厳しい代わりに医療ケアが手厚い。
入居後3ヶ月以内に「施設不適応症候群」を発症するケースが12%存在し、見学時にスタッフと入居者の自然な交流を観察する必要があります。
4.成功する施設選びのプロセス
(1)親の生活史の聞き取り
若い頃の職業・趣味・人間関係を把握し、施設のアクティビティと照合。
(2)5段階フィルタリング
①予算と立地で候補絞り込み→②専門職の配置(看護師、リハビリスタッフ等)、食事試食と施設内の設備を確認、③スタッフの接遇態度、服装、入居者の服装等の確認→④スタッフ配置が少ない時間帯に見学し、運営実態の調査→⑤運営会社の経営状況調査。
(3)契約前の模擬体験
1週間の短期入居でスタッフの対応力と入居者同士の相性を確認。
認知症が進むと自己主張が難しくなるため、元気なうちに「施設選びの基準」を親と話し合っておくことが最も重要な予防策です。
最終的には「完璧な施設」ではなく「妥協点」を見つける作業になり、80%の一致度であれば成功と考える現実的な視点が求められます。
介護の三ツ星コンシェルジュ