本当に看取りのできる施設とは
有料老人ホーム選びで最も重要な項目の一つが「終の棲家」。
これには「看取り力」が必要。
営業マンが「当社は看取り迄入居して頂けます」と言うホームは多いですが、「看取り」を本当の意味で実践出来ているホームはそんなに多くありません。
それでは、「看取り」を本当に実践できているホームはどんなホームなのか?
これについてのヒントが、福祉医療機構のレポートの中で、療養支援診療所を運営し、医師3名で在宅・施設で人の患者を診ているドクターのインタビュー記事の中に掲載されていました。
在宅医療に必要なのはタスクシフト
高齢化が進むに従ってご家族がご自宅で看きれないケースが増え、有料老人ホームやサ高住のニーズの高まりの中で、ホーム側から「施設として看取りに取り組みたいのでサポートして欲しい」というニーズが増えてきているよう。
インタビューの中でドクターは、「ホームでの在宅医療に必要なことは、タスクシフト(ある業務を、他者あるいは他職種(主に他職種)に業務そのものを移管・移譲すること)の意識。そういう意味では、普段の生活状況をより把握している施設職員に「連携をしっかりやっていきたい」という意志がどれだけ強いかが大切。」と語っています。
逆に「全部お任せしたいというホームは中々うまくコミュニケーションが取れない」と語られます。
加えて「在宅医療と介護の連携をうまく進めるためには、まずは両者の意識合わせが大切。医師の流儀を押し通すだけでなく、患者本人の生活感や考え方、思いを知っているのは介護側なので、両者がお互いに理解を始めることから行います。」と語られています。
常勤の看護師が配置されていることも重要
タスクシフトをスムーズに行うためには、看護師が配置されていることが大切。
看護師は医学的なアセスメントもしっかりしているので、患者の状況をきちんと把握してくれているからです。
普段の状況を観察し、医師や介護職員に適切に伝えるためには、昼間から夜間まで切れ目なく状況監察を行う看護職が必要。
そういう意味では、他社の訪問看護ステーションに看護業務を丸投げにしているホームより常勤の看護師がいる施設が望ましいと思います。
特に「看取り」となると、常勤の看護師の必要度は増します。
「看取り」とは、1.身体的ストレスの緩和(緩和ケア)、2.精神的なケア(不安や恐怖の解消)、3.家族ヘのサポートを行う事。
これらを行うには、看取りの専門家である経験を積んだ看護師が、介護職員をいかにサポート出来るかが重要ではないでしょうか。
看取り経験の少ない介護職員に丁寧に、ご入居者個々人の対応を指示し、何かが起こった場合は適切に医師に伝える。
そういう看護師のいるホームが「看取り力」のあるホームと言えます。
ドクターを選べるか
ホームに入居する場合、ホーム側から在宅療養支援診療所を紹介される場合がほとんどですが、この場合にも、複数のクリニックを選択出来るかも重要。
医師により専門性も変わりますし、ご入居者様本人との相性もあります。
「このクリニックでないとダメ」というホームは、ホーム運営は効率的に出来るかもしれませんが、ご入居者様本位とは言えません。
ご入居者様の状況により、複数のクリニックの中から推薦してくれるホームがありがたいですね。
最後はやはり施設長の想い
ホームでの「看取り」の場合、最終的には、やはり施設長の想いが大切になってきます。
先程のドクターのインタビューの中でも、「在宅医療はタスクシフトが大切」と言われています。
タスクシフトの実行は、看護職員・介護職員個々ではなく、ホームとしては「チームでの取り組み」が大切になります。
チームのリーダーは施設長。
施設長が看取りに取り組む覚悟があるかどうか。
チームをまとめて行ける力量があるかどうかが重要。
施設長のリーダーシップについては、入居時にある程度のことはわかります。
判断基準は「困難事例でもどれだけ親身に相談に乗ってくれるか」。
「当ホームでは難しいです」と、すぐに断る施設長は問題外。
自身のホームのスタッフの力量、経験を勘案した上で、「ここまでなら出来ます」「是非当ホームでサポートさせて欲しい」と考えてくれる施設長であれば安心して任せることが出来ます。
今回は、「本当に看取りの出来る施設」について、私なりの見解をまとめてみました。
皆様のホーム選びの参考にしていただけたらと思います。