こんにちは。広島の遺品整理業はっぴいえんどの西本です。
前回は講談の魅力について書かせていただきました。話の内容や語り口など、とてもアナログでシンプルではあるのですが
だからこそ講談師の熱量が真っ直ぐに伝わってくる。その興奮をお伝えしたつもりです。
最初はその魅力はCDやYouTubeなどで堪能をしていたんです。しかし、講談の本当の良さ、魅力は“生”で体感しないとわからないのだろうなと思ったのです。では、そんなふうに、講談を生で見ようと思った時に“どこでどうやって”見ることができるのか。このコラムを読んでくださっている皆様の中にもそう思ってくださった方がいらっしゃるのではないでしょうか。そう思ってくださっているとこれ以上は嬉しいことはありません。
ということで、今回のコラムは講談を生で見る方法をお教えしたいと思います。
講談を生で見る方法はいくつかあります。
まずは講談会や定席(じょうせき)などと呼ばれている講談だけを聞く会が挙げられます。
「そりゃ当然でしょ」と思われる方もいらっしゃると思います。確かに講談会で講談を聞くというのは当たり前なのですが、この講談だけを演っているという会は案外多くありません。講談は最近の神田伯山先生の活躍で脚光を浴び始めていますが、それまでは“絶滅危惧”なんて言葉が使われていたくらいで、講談師の数も東京・大阪を合わせて80人程度と言われています。落語家が800人はいると言われていますので比較すれば、講談師がいかに少ないかがわかっていただけると思います。
そんな中で講談をずっと演っているような演芸場はすでに東京にはありません。平成の初期までは本牧亭という講談専門の演芸場があったそうですが、今では存在しません。なので、今では月に一回にどこかの演芸場やホールで講談会や定席が開かれているという状態です。
もう一つの方法は、寄席(よせ)に行くことです。寄席とは落語を中心に様々な演芸を長時間にわたって披露している場所です。
寄席は東京では浅草演芸ホールや新宿末広亭、池袋演芸場など何箇所かで必ず興行が行われています。お昼と夕方、1日2回、1公演4時間程度(異なる場合もあります)毎日興行が行われています。落語を中心に、マジックや漫才、紙切りなど次から次へと芸人さんが登場し、芸を披露します。その中で講談師も登場しているというわけです。
ただ、全ての講談師が寄席に登場しているわけではなく、その講談師が所属している協会によって違いがあります。何度も登場している神田伯山先生は日本講談協会という団体に所属しています。日本講談協会は寄席に参加をしているので神田伯山先生は寄席で見ることができます。一方で、講談協会に所属している講談師は寄席には参加していないので講談協会が主催する講談会などで見ることしかできません。こういうルールみたいなことがわかってくるとより講談や落語が楽しめるようになります。
私は生の講談、神田伯山先生を浅草演芸ホールで見ました。先程の説明で言うところの寄席です。この日は神田伯山先生が主任(トリ)の日です。
よく“トリ”という言葉を使います。紅白の“トリ”とかのアレです。この言葉の語源は寄席です。興行の責任者であり最後に登場する芸人を主任(トリ)と言います。
つまり伯山先生は最後の登場なわけですね。夕方4時から始まった興行は約4時間。次から次へと落語家さんを中心に講談師、浪曲師、マジシャン、曲芸師などおおよそ15分ずつの高座と呼ばれる芸の披露です。途中1度、“仲入り”と呼ばれる10分程度の休憩がありますが、そのほかは自分の都合に合わせてトイレなどに行きます。間近で芸人さんが芸を披露していますから最低限の出入りのマナーは守らないと失礼になります。ホールにいる人たちは思い思いの雰囲気で寄席を堪能しています。
芸人さんも連日これほど間近でお客さんの顔を見ながら芸を披露していると間違いなく腕が上がるのだと思います。どの芸人さんもいい意味で肩の力が抜けて客席とコミュニケーションを取りながら観客を笑わせます。この肩の力が抜けている感じはきっと長年の歴史がなせる技なのでしょう。決していい加減とかそういう話ではなく、庶民的。この歳になるまでこの雰囲気を味わっていなかったことを少し後悔しました。こちら側も気軽に寄席に行くことができるそんな文化が羨ましいです。
初めての神田伯山先生が披露してくれた演目は赤穂義士伝の「安兵衛婿入り」でした。4時間近く様々な芸を見てもしかして疲れていたかもしれませんが、伯山先生の語り口にそんなものは忘れてどんどん引き込まれていきました。赤穂義士の中でも有名な堀部安兵衛が立派な武士として覚醒する最初の物語が「安兵衛婿入り」です。ネタバレしてはもったいないので詳細は省きますが、堕落している安兵衛と、あるきっかけで突っ走り始める安兵衛の差が伯山先生の語りだけで表現されるのです。それはそれはかっこよくてしかしどこか切ない。切なく感じたのはきっとこれからの安兵衛はじめ赤穂の志士たちの最期を知っているからでしょう。
それはとても興奮して楽しい時間でした。とても時間を贅沢に使うことができた気分です。最高の芸を見るということは間違いなく人生が豊かになる。そう感じた初めての神田伯山先生でした。皆さんもぜひ寄席に行ってみてください。
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