今年度介護保険改定後の動向-訪問看護はどうなった?-

リスクが増大した訪問看護

今改定の中で最も注意が必要なのが訪問看護。
一部の訪問看護ステーションの運営実態が問題視され、人員基準の見直しが焦点となりました。
具体的には看護職員数が全体の20%程度で、大半を理学療法士、作業療法士等セラピストが占めるステーションに対し、看護職員の割合を60%以上とするよう求められました。

結局、セラピストの各団体の反対署名もあり、人員基準の改正は取り下げられたが、「看護体制強化加算」の算定要件としては追加されました。

また、厚労省の解釈通知で、セラピストによる訪問看護の基本報酬が変更されています。
「通所リハだけでは家屋内でのADLの自立が困難である場合で、看護職とセラピストが連携した訪問看護の提供が必要と判断された場合に算定できる」とされています。
つまり「セラピストによる訪問看護は通所リハの利用が前提」との解釈が成り立ちます。
今後の実地指導の方針にも影響を与えそうです。

その他、セラピストが行う訪問看護の利用者については、主治医へ提出する訪問看護計画書にセラピストのサービス内容を記載し、訪問看護報告書にもサービス内容とその結果を記載した文書を添付することが必要となりました。
この文書の添付の確認が実地指導でも焦点となりそうです。

看護師による訪問看護だけでは事業所の運営がままならず、しかも訪問リハの事業所が少ないために、訪問看護ステーションが自らの判断で提供してきた、セラピストによる訪問看護(訪問リハビリ)。
一部では不満の声も多いようです。

次回の2024年度改定で再び議論となりそうな人員基準の見直し。
各訪問看護ステーションは、3年間の審議の状況を確認し、備えておく必要がありそうです。

居宅介護支援はどうなるか?

今回改定で大きく変わったサービスのもう一つが居宅介護支援。特にサービス付高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム併設型について改定がありました。

区分支給限度額における訪問介護の利用割合が高く、かつ利用サービスの大部分を訪問介護が占めるケアプランを事業所単位で抽出する仕組みが今年10月から導入されます。

これらの措置に対し、特に住宅型やサ高住併設の居宅介護支援事業所の経営者が過剰反応を示しておられます。
「また、規制が強くなった」「どうすれば事業継続できるのか」。経営者からはそんな声も聞こえてきます。

ただ、改定の趣旨は「適切なアセスメントを実施し、ケアマネジメントのプロセスを遵守して作成されたケアプランであれば問題はないということ。
要は、ケアプランは利用者一人一人の心身の状況をきちんと勘案して作成されていれば、ある利用者の訪問介護サービスの利用割合が高いケアプランでもOKだということです。
一人一人のケアプランをきちんと作成していれば、訪問介護サービスの利用割合が高いケアプランが多くても過度な改善を要求される心配はないということ。

住宅型有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅は民間の英知が結集されたもの。
特に、低価格で運営しているホームは地域の中でなくてはならない存在です。

特定施設(介護付)が公募方式となっている関西は、大手事業者がその経営の安定性を前面に打ち出し、特定施設を獲得する傾向が多くなっています。
そんな中で、低価格でもきちんと利益を上げ事業を継続している事業者は貴重な地域の介護の担い手です。

改定に過剰に反応せず、信念を貫いて、きちんとしたケアプランを作成していってほしいものです。

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この記事を書いたコラムニスト

荒牧誠也 (アラマキセイヤ)

コラムサイト介護の三ツ星コンシェルジュ編集長

株式会社ベイシス 取締役シニア事業部長
1964年 大阪府大阪市生まれ
1988年 関西電力㈱入社。介護事業子会社 ㈱かんでんジョイライフや医療関係子会社 ㈱かんでん在宅医療サービスの設立や運営に従事。関西電力グループのメデイカル・ヘルスケア事業の企画業務や㈱京阪ライフサポートのM&Aに従事後退職。
2017年 関西電力㈱を退社。㈱ベイシスの取締役シニア事業部長に就任。

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