失敗しない老人ホームの選び方

失敗しない老人ホームの選び方~ 共用施設の充実~

レンタブル比ってご存知ですか?

皆さんが”有料老人ホーム”を思い浮かべる時に、建物であれば何を思い浮かべますか?
「高い利用料を取られるのだから、豪華なエントランスロビーに広々としたレストラン。カラオケルームにリハビリルーム、大きな浴室に広い庭園。そんな立派な共用施設を想像されるのではないでしょうか。

主に自立の方の入居対象とされるホームはそうかもしれませんが、要介護の方を対象としたホームは少し異なります。
基本的な諸室としては、ロビー、フロント、事務室、食堂、浴室(機械浴室、介護浴室)、トイレ、機能訓練室、健康管理室、相談室、多目的スペース(レクリェーションに使うスペース)、談話室。
ホームによって特長として備えている共用施設として、カラオケルーム、庭園、散歩道、シアター、図書室、温水プール、プレイルームなどがあります。

こういった共用施設はホームの目玉になりますので、ホームページやパンフレットに大きく取り上げられています。

皆さまは、レンタブル比という言葉をご存知でしょうか?
レンタブル比とは、延べ床面積に占める収益部分(ホームでいうと専用居室部)の面積比率のことで、賃貸部分の面積÷延べ床面積で計算されます。
老人ホームで言うと、専用居室部が収益部分の面積、その収益部分の面積に共用施設、廊下、EV、エントランス部等を足し合わせた面積が延べ床面積となります。

一般的に収益部分の面積が大きいほど収益性は高くなります。

老人ホームの場合、低価格方(月額利用料(家賃、管理費、食費合計)で15万円以下)のホームでレンタブル比は50~60%、中価格型でのホーム(月額利用料で15万円~25万円)で45%~50%、高価格帯(月額利用料で25万円以上)で40%~45%が一般的です。

レンタブル比が低くなればなるほど、家賃部分が高くなりますが、その分、共用施設が充実し広々としたホームになります。

このレンタブル比はパンフレットや重要事項説明書を見るとすぐにわかります。
下にあるホームの重要事項説明書のレンタブル比を計算してみましょう。
青丸で囲んだ部分が収益部分の面積。このホームでは18㎡×28室+18.21㎡×3室で558.63㎡。延べ床面積が赤丸で囲んだ部分の面積で1,067.6㎡。レンタブル比は52.3%となります。

ちなみにこのホームの月額利用料は12.7万円/月。低価格方のホームです。

共用施設で注意するポイント

一般的に規模の大きいホームの方が共用施設の種類が多く、サークル活動やレクリエーションが盛んに行われる傾向にあります。
経営の都合で、月額利用料が高く設定されている大手企業が運営しているホームは、60室~100室、逆に月額利用料が低く設定されている中小企業が運営するホームは30室~50室程度になっています。

ただ、入居される方の性格(人とのかかわりが苦手、大勢の入居者と活気あふれる生活をおくりたい等)を無視して共用設備等の他の内容で決めてしまうと後々後悔の原因にもなります。
実際に見学や体験入居を行って施設の雰囲気を確認することをお勧めします。

私のホーム運営の経験上、要介護の方が対象の有料老人ホームの共用施設で注意するポイントを説明していきましょう。

①浴室は十分配置されているか。
居室に浴室のないホームは、ホーム全体に設置されている浴室の数は重要です。入浴は入居者の清潔を保つためにも重要なサービス。3回/週入浴できる数が配置されているか計算してみましょう。
先程のホームの例でみると、同ホームの浴室は介護浴槽も含め5箇所。入浴サービスに充てる時間帯として、9:00~12:00、14:00~17:00、計6時間、1人当たりの入浴サービスにかける時間を40分と仮定すると、このホームは1日に浴室1箇所あたり6人の入浴が可能となります。ホーム全体で浴室数は5箇所ですので6人×5箇所、30人/日の入浴が可能な浴室を備えています。ホームの居室数が31室ですので、ほぼ毎日入浴が出来る浴室数を備えていることになります。

②介護浴室は備えているか
これも重要なポイント。要介護度が進んで寝たきりになった場合に、この施設がないと入浴が難しくなり、清拭対応となります。寝たきりになった場合でも入浴が可能かどうか。介護浴室の有無は重要なポイントです。

③各フロアに食堂があるか
皆さんは「ユニットケア」という言葉をご存じでしょうか?ユニットケアとは、配属された職員が入居者の介護
、看護等に迅速に対応できるよう、規模を縮小した介護、看護の提供体制を言います。
小規模ケアが実現されると、個別ケアを可能にする、入居者と職員が馴染みの関係になり距離が縮まる、入居者の状況をより細かく把握できる、入居者の要望を叶えやすくする等のメリットがあると言われています。
ただ、ホーム運営は「経営」の観点も重要ですので、認知症対応型のグループホームのように小規模の運営には限界があります。
せめて、各フロア毎のケアを行えるように食堂が各フロアにあるかどうかはチェックすべきポイントになります。

④入居者本人が楽しめる共用施設を備えているか
要介護の方がホームで生活する場合、レクリエーションが充実してないと、ずっと専用居室に居ることになります。食事以外に1日に1回でも共用施設に行くことは重要です。
入居者にリハビリ意欲が強い場合はリハビリ設備が充実しているか、カラオケが好きな方向けにカラオケ設備があるか、庭いじりが好きな方には庭園があるか。長い生活になりますので、入居者が楽しめる共用施設が備えられているかは重要なポイントです。

先程例示した重要事項説明書には設置されている「共用施設」が全て明記されています。
重要事項説明書を見ながら、疑問に思ったことは職員さんに聞いてみる必要があります。

共用施設を活かせるソフトが充実しているか

施設を見ていくうえで、「安全性」は重要なポイント。
高齢者向けの居住施設ですので、大半の施設がバリアフリー対応といった高齢者に配慮された施設になっていますが、一部危険防止の配慮が足りないと思われる部分もあります。車椅子になった場合等のことを想像してみて、安全性はチェックしましょう。

有料老人ホームは、高齢者に「居住スペース」を提供するサービスです。
その「居住性」も重要です。
居住性が悪ければ、 居心地が悪くなります。
照明や音楽といったハード面に加えて、既に入居されている方やスタッフの雰囲気などを見学時や体験入居時にチェックしましょう。

清潔感も大切。
どんなに共用施設が立派でも、ホームに清潔感が欠けていれば居住性は悪くなります。
玄関まわりだけでなく、共用トイレがピカピカに清掃されているか、場合により、スタッフスペースや厨房等も見学させてもらい、バックヤードも清潔に保たれているかも見てみましょう。
高齢になるにつれて免疫力が落ちることから、不衛生なホームでは感染症等にかかる危険性が高くなります。
そのようなスクを回避することからも清潔感のチェックは大切です。

でも最終的に物を言うのはスタッフの人柄。
どんなに豪華な共用施設を備えていても、そこに勤めるスタッフの考え方、接遇態度が高齢者に配慮されていないものであれば、いずれは居心地も悪くなってきます。
そういったホームは選びたくないですよね。

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この記事を書いたコラムニスト

佐久間信二 (さくましんじ)

介護事業研究所所長

昭和63年関西学院大学卒業
某大手企業の介護事業子会社の設立・運営に携わり、経営者として売上高20億円企業にまで成長させる
現在、個人で介護事業研究所を設立。個人の皆様に介護事業所の運営・経営に関し情報発信を実施。

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