自分に合った高齢者住宅を探す際に「何を基準に考えればいいのかわからない」という声をよく耳にします。
何も準備せずにいきなりあちこちを見て回っても、何をどう判断すればいいのかわからないでしょう。
住まい探しの第一歩は、自分が送りたい暮らしをしっかりと描くことから。
現実に可能か不可能かは別にして、どの辺りの地域で、どんな環境で、どんな雰囲気のところで、どんな人たちに囲まれて、何を楽しみに、何を張り合いに、何を目指して…というように、できるだけ具体的に「自分がこうありたい」と思う生活をイメージしてみることが肝心です。
そうすると「何のために住み替えるのか」といった自分なりの目的がはっきりと見えてきて、それが住まいを選ぶ条件を導き出してくれます。
住み替えるにあたっては、やはり自宅生活での不安や困り事の解消が先決となるでしょう。
まず今の暮らしで何に困っているのか、どんなことが不安なのかを洗い出します。元気で自立生活を送っていても「駅から遠くて、外出や買物が不便」「階段や段差が多くて住みづらい」「話し相手がいなくて寂しい」「何かあった時が心配」「持病の通院が大変」など、個々に異なる問題点がいくつもあるでしょう。
要介護状態ならさらに切迫した困り事がたくさんあるはず。
安全で安心な暮らしを手に入れることが住み替えの大きな目的の一つですから、それらを解消できることが住まい選びの必須条件となります。
さらに住み替えの価値を高めるためには安心を得るだけでなく、住み替えることで今の生活よりもっと楽しく、活き活きと充実した毎日が送れることを目指しましょう。
これからも続けていきたい趣味などをはじめ、今までできなかったからこそやってみたい長年の夢や、これだけは適えたい小さな楽しみまで、思いつくままにどんどん描いてみます。
そうすればやりたいことが実現できそうな環境が整っているか、同じ思いの仲間が見つかりやすいかなどといった、自分に適した住まいの条件が次々と浮かんでくるでしょう。
介護が必要な方でも諦めることはありません。
手助けがあればできること、やりたいことはいろいろあるはず。自宅生活ではもう無理と諦めていた外出や旅行も叶えてくれるところがあるのです。
要介護だからと諦めて入居するのではなく、生きる目標を持って暮らすことができれば、介護の進行を抑えたり能力の回復にも繋がります。
住み替えはこれからの人生を左右する大きなターニングポイント。
だからこそできるだけポジティブにそして具体的にライフデザインを描くことが大切なのです。
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シニアの暮らし研究所 代表 高齢者住宅アドバイザー
住宅メーカーで生活研究に従事した後、2004年から高齢者住宅の紹介センターで1万件以上の入居相談に対応。新聞・情報誌等の取材や執筆をはじめ、年200回以上の高齢者住宅セミナーで講演。常に利用者・入居者視点に立ち、高齢者住宅およびシニア向け商品・サービス企画開発への助言や営業支援に努めている。2012年に開設した「岡本弘子の居相談室」では、徹底した対面相談で100%入居者本位の住まい選びをサポートする。2015年1月に一般社団法人日本シニア住宅相談員協会を設立し、代表理事を務めながら、資格認定研修講師としてシニア住宅相談員の育成にも注力している。消費生活アドバイザー、福祉住環境コーディネーター等