高齢者の病気・疾患

シニアのためのメディカル・コラム: 病気としての「骨粗鬆症」について 3話

骨がもろくなる!? 骨粗鬆症3

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。
今回は骨粗鬆症の治療をテーマに、治療薬について述べていきます。

骨粗鬆症薬の種類

骨粗鬆症の薬と聞いて、思い浮かぶ薬はありますか?
病気としては非常に有名ですが、あまり薬について知っている患者さんはいない気がします。
骨粗鬆症に対する薬は、いくつかの種類があるんですね。
その中でも、皆さんに知ってて頂きたいものをいくつか紹介します。

「ビスホスホネート」
ビスホスホネートという難しい名前の薬ですが、この薬が骨粗鬆症の薬を大きく変えました。
この薬の機能を理解するには、骨自体の仕組みを少し理解する必要があります。

骨の強さが維持される仕組み

みなさん、骨がどんなふうに作られているか意識したことありますか?ないですよね?「え、骨が作られる!?骨はもうありますけど・・・」と思った方もいるかもしれません。
実は骨は日々作られていて、そして、日々壊されているんです。
これは歯と違うところですね。
骨を少しずつ壊して、新しく少しずつ作っていくというのは、それぞれ専門の細胞が役割を担っています。
この骨を作る量と、壊す量のバランスが壊れて、壊すほうが増えていくと自ずと骨はもろくなっていきます。
これが骨粗鬆症で起こっていることなのです。

骨の仕組みと、「ビスホスホネート」の効果

骨を壊す役割を担う細胞が破骨細胞(はこつさいぼう)で、ビスホスホネートという薬はこの破骨細胞の活動を少なくする作用をしています。
そうすると、作る作用と壊す作用のバランスが代わり、骨がもろくなっていくのを防ぐのですね。
実際には、マイナスバランスを完全に止められるわけではないので、正確に言うと骨粗鬆症の進行を遅くするという方が正確でしょうか。


このビスホスホネートという薬は多くの種類があり、飲み薬だけでなく注射の薬もあります。
ここまで読むと、良いことばかりの薬のように感じられますが、そこは注意が必要です。
実は、長期間ビスホスホネートを使用している場合、かえって骨折してしまう事例が報告されています。
なので、5年程度の使用を目安に、その後も継続したほうが良いかどうか判断する必要があります。
なので、ぜひかかりつけの先生の指導に基づいて治療しましょう。

その他の薬

他にも骨粗鬆症に対して使う薬はあります。
代表的なのはカルシウムでしょうか。
まあ、骨なんで、カルシウムを取るのはイメージはつきやすいですよね。
 
必要なカルシウムを食事から摂取するのはなかなか大変なので、薬としてカルシウムを摂取することも多いです。
あとはビタミンDですね。ビタミンDは骨を丈夫に維持するために重要なビタミンですね。
こちらも内服している骨粗鬆症患者さんは多いとおもいます。

 
他にも新しい薬として、「抗RANKLヒトモノクローナル抗体」というものもあります。
難しい名前ですね。
これも先に述べた破骨細胞に対して作用するものです。

まとめ

今回は骨粗鬆症の薬について述べてきました。次回も引き続き、骨粗鬆症の治療についてです。

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