介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い 通所介護編
介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い 通所介護編
2018年9月28日に厚労省は、高齢者のニーズに対応するサービスである「保険外サービス」の充実を図るため、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供するための具体的な運用についてのルールを発表しました。
これまでは介護保険サービスで提供出来なかった、草むしり、ペットの世話や娯楽活動への同行、同居家族に対するサービスの提供、デイサービス利用時の物販等、が介護保険サービス提供時に併せて提供できるようルールを定めました。
また、サービスを提供するために事業者が整えなければいけない規定や料金についても言及されています。
今回は、このルールを定めた2018年9月28日付け厚生労働省通知「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」をまとめ、デイサービス利用時に提供できる保険外サービスのルールについてご説明します 。
デイサービスと組み合わせて提供することが可能なサービス
デイサービスと明確に区分することが可能であるサービスの事例に関して明記され、デイサービスを提供中の利用者に対し、サービス提供を一旦中断したうえで保険外サービスを提供する事例やデイサービス利用中に利用者の希望に合わせ提供できるサービスの事例が示されました。
①事業所内において、理美容サービス又は健康診断、予防接種若しくは採血 (以下「巡回健診等」という。)を行うこと
②利用者個人の希望により通所介護事業所から外出する際に、保険外サービスとして個別に同行支援を行うこと
※ 機能訓練の一環として通所介護計画に位置づけられた外出以外に、利用者個人の希望により、保険外サービスとして、個別に通所介護事業所からの外出を支援するもの。
③ 物販・移動販売やレンタルサービス
④ 買い物等代行サービス
デイサービス利用中に他の用事を済ますことが出来たり、買い物が出来たりすることは、独居や老々介護の利用者にとってはありがたいですね。
事業者として、保険でのサービス提供に加え、これらのサービスを加えることで、他事業所との違いも示すことが出来るのではないでしょうか。
具体的取扱いのために事業者が顧客に対して行わなくてはならないこと
訪問介護同様、デイサービスの場合も、保険外サービスを明確に区分するためのルールが示されました。
外出同行以外の保険サービスと保険外サービスの時間の切り分けに関しては、解釈が中々難しいですね。サービス提供する場合は、行政とも相談し、慎重にルールを決めていくことが必要だと感じました。
①保険外サービスの事業の目的、運営方針、利用料等を、指定通所介護事業所の運営規程とは別に定めること
②利用者に対して重要事項を記した文書をもって丁寧に説明を行い、保険外サービスの内容、提供時間、利用料等について、利用者の同意を得ること
③契約の締結前後に、利用者の担当の介護支援専門員に対し、サービスの内容や提供時間等を報告すること。
④通所介護の利用料とは別に費用請求すること。また、通所介護の事業の会計と保険外サービスの会計を区分すること。
⑤通所介護の提供時間の算定に当たっては、通所介護の提供時間には保険外サービスの提供時間を含めず、かつ、その前後に提供した通所介護の提供時間を合算し、1回の通所介護の提供として取り扱うこと。他
(※詳細は厚労省通知「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」を参照してください。)
ただし、通所介護の車両を活用しての利用者の自宅と事業所間以外の送迎を行う場合はタクシー業の許認可を受けなければならないと明記されました。
デイサービスを提供していない休日や夜間等に、保険外サービスを提供する場合は?
利用者に対し支障がない場合や、デイサービスを提供していない休日や夜間等に、事業所の人員や設備を活用して、保険外サービスを提供する場合も、保険と保険外サービスを明確に区分すれば可能との見解です。
また、デイサービスの利用者と保険外サービスの利用者が混在する状態で保険外サービスを提供することについては、
①デイサービスの利用者と保険外サービスの利用者の合計数に対し、デイサービス事業所の人員基準を満たすように職員が配置されていること。
②デイサービスの利用者と保険外サービスの利用者の合計数が、デイサービス事業所の利用定員を超えないようにすること。
と示されました。
これらの見解は、通所リハビリテーションや認知症対応型通所介護でも可能とされています。
前回と今回で、「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い」についてご説明しました。
デイサービスは、利用者本人にとっても、介護者である家族のレスパイトという意味でも、なくてはならないサービスです。
前回の介護保険料の改定では、社会保険料の財源等の問題もあり、デイサービスが狙い撃ちされた印象も受けます。
また、要介護1、2の方の利用制限等も議論されており、事業自体がシュリンクせざるを得ないデイサービス事業者にとって、保険外サービスをうまく活用することは生き残りの一手段でもあります。
特に、通所事業所は「箱」を持っています。物販、買い物代行、健康管理、休日夜間の地域への開放による有料サービス等、アイデア次第で「箱」を有効活用することは可能です。
保険料が削減される中、「人員増につながる保険外サービスに取り組むのは難しい」と考える経営者も多いと思います。
しかしながら、色々な事業者とタッグを組んで新たなサービスに取り組むことは、生き残りの道のヒントではないでしょうか。
今回のルールを上手く利用者、地域にとってなくてはならないデイサービス事業者に成長できれば良いですね。
株式会社ベイシス シニア事業部のご紹介
私たち株式会社ベイシスでは大阪を中心として関西圏で、介護事業者様に対する施設運営のコンサルティングを行っております。今回の「訪問介護と保険外サービスを組み合わせ」のみならず、施設の運営でお困りごとがございましたら、是非ともお問い合わせ下さい。