ペットも同じく十頭十色
産まれも育ちも・・。
ペット達も、私たちと同じように、皆、生まれも育ちも全く違う。例えるなら、犬種、猫種が違うという事は、人に例えると生まれた国が違うということだろうか。
アメリカ人は大きくて、肉食系の食生活から出来上がった身体を持っているが、日本人は農耕民族で、野菜や魚が主となる環境で出来上がった身体である。
今でこそ、ずいぶん日本人も大きくなって、欧米人に負けないくらいの身体を持っているが、どの人種もその国の風土にかなり影響されて出来ているわけだ。
動物たちも同じく、暑い国で産まれた種類、寒い国で産まれた種類、何を食べて生きてきたか、どんなところで生活してきたか、そして、人と暮らすことでさらに特質を伸ばされる改良も加えられてきた。まず、ベースはこんなところだろうか。
これに加えて、飼い方の違いがプラスされる。大家族で育った子、老夫婦に育てられて子、元気の良い子供達と一緒に育った子、単身者と二人きりで育った子。
どの家庭にも、家ルールがあって、それに合わせて育てられる。甘えてねだれば、すぐ食べるものが与えられる家、多頭飼いで競争率の激しい、食ベ物の争奪戦が当たり前の家、我が物顔で、何をやっても叱られない超マイペース可能にしてくれるお家。こうした、環境の違いで今度は個体の性格が更に細かく分かれる。
そして更に更に、小さい頃から出会う出来事や、連れて行かれる場所によって、家族以外の人に対して、不慣れだったり、自分が動物という自覚のないまま、同じ種類の犬であっても受け入れられない世間知らずタイプ。お散歩も聞き慣れない音も、たまにしか行かない場所にどんな風に対応させたかによっても、その子の性格が変わってしまうことだってある。
本当に十頭十色だ、100頭居れば100通り、1000頭居れば1000通りあるのだ。
本屋さんで見る、ペットの種類別飼育本がたくさん出版されているが、あくまでも、それは最低限の常識、情報でしかないと言うこと絶対に知っておいて頂きたい。
最近は、人間の子供に対してでも、個体差というのが、理解できない親もいるようだが、ペットを飼育する上で、私たちが良く目にすることがあるのが、ガリガリの仔犬だ。
普通は仔犬も赤ちゃんも、プクプク、ポヨポヨしているのが赤ちゃんの一般的なイメージではないだろうか。なのに、トリミングやホテルに連れてこられる子が、激やせしている事がある。あまりの痩せ具合にフードを食べないのかと聞いてみると、ガツガツ食べるという。しかし、量を聞いてみると、「ペットショップで買ったときに言われたとおりにしているんです。」そういう方は必ずこう答える。ペットフードの横に書かれている量をきっちり守っている。もちろん愛する犬のためだ。ここが、ポイント、愛情があるが故の失敗。私たち人間には、「やせの大食い」とかいわれるくらい、見た目と食事量が違ったり、運動量が半端ないよく動く人が居たりするのと同じで、体質や、運動量、親から遺伝した骨格、性格などが食事量を変えるのだ。そこは、そのお家でしか本当の答えがわからないのだ。
ペットは、物から家族へ変わったのに、まだ、その未知な相手に対しての知識が、臨機応変に出来ない人がまだまだ沢山いる。
こうした事を私たちペット業界の人間はペット飼育者に伝えていかなくてはならないし、ペットを家族に迎え入れた人も、ぜひとも相談窓口として私たちを利用してもらいたい。もし、そのお店が答えられないようなら、別のお店に変わってみるのもいいことだと思う。共に暮らす家族のために少しだけ学ぶことで、お互いを理解し、また一つ、私たちは共に生きる「共生社会」を作っていけるのだと思う。