介護以外について

事業家のスタートアップをデザイン面から支援 「自分の能力を活かすにはフリーランスが一番」

起業や副業、社内起業など新しい働き方をしている人への連載インタビュー企画。
今回はフリーランスの立場で事業のスタートアップや新商品・新サービスの企画立ち上げなどをサポートしている石井瑞穂さん(35歳)に話を聞きました。

店舗デザイナーとして社会人の第一歩踏み出す

――現在の仕事を教えて下さい。
石井 フリーランスのデザイナーとして、パンフレットやホームページ、名刺、企業ロゴ、キャラクターなど、スタートアップに必要なもの一式をデザインしています。
もっとも私自身が1年半前に出産を経験し、働く時間に制約があることから、デザインは他に委託し、私自身はプロデューサーのような立場で動くケースが増えています。
また、最近は新商品・サービスのコンセプトづくりなどデザインを伴わない仕事も増えています。
近いうちに「デザイナー」の肩書を外すことも検討しています。

――こうした働き方をするようになった経緯は。
石井 大学生時代に店舗デザイン事務所でアルバイトを始め、飲食やクリニック、サロンなどのデザインを手がけました。
卒業後にそのまま正社員で働きましたが、クリエイター系の事務所にありがちな「ワンマン経営・長時間労働・低賃金」の職場でした。
心身共に疲れ果ててしまい1年で退職しました。
このときは「この先何をしよう」というビジョンがあったわけでなく、とにかく「今の職場を辞めたい」気持ちだけでした。
私は早くに父を亡くしていましたので、母に親孝行ができればと思い、2年程アルバイトをして資金をためて2人で世界一周旅行をしました。
25歳で帰国した後に「デザイナーとして独り立ちしたい」と考え、グラフィックデザイナーの仕事を始めました。

――スタートアップ支援にこだわった理由は何でしょうか。
石井 結婚を機に大阪に移り、新天地で全くゼロから人脈を築く必要がありました。
異業種交流会などで多くの経営者の話を聞く中で「ただのデザイナー」ではなく、何か強みが必要と実感しました。
私が元々手がけていた店舗デザインは、スタートアップ時の依頼が圧倒的に多い仕事です。
その経験や知識、ノウハウを活かし、スタートアップ支援専門のデザイナーとして活動しようと考えました。
今から3年前のことです。

必要なときに必要な能力を提供

――フリーランスという立場を選んだ理由は何でしょうか。
石井 する、されるにかかわらず「雇用」という形態に魅力を感じませんでした。
雇用する側は、社員の人生に対して責任が生じますし、雇用される側は一定の時間を拘束されます。
それに比べて、必要なときに必要な能力を提供する業務委託契約の方が両者にとっていい関係ではないかと思います。

また、私自身が結婚・出産・育児という生活の変化に応じて仕事内容を変化させてきました。
会社員だと、組織の支援制度の枠組みの中でしか働き方を変えられません。
結果として、退職や、正規雇用から非正規雇用になるなど、自分の望む働き方ができなくなることもあります。
不安定であり、自分で仕事を求めないといけないのはデメリットですが、「やりたいときに、やりたいことを、やりたいようにやれる」のはそれを上回るフリーランスの大きなメリットです。

――新規の仕事を獲得する上で心がけている点、工夫していることはありますか。
石井 自己紹介をする際に、「何でも」「誰でも」という言葉は使わないようにしています。
自身の専門性を否定することになるからです。
また、自分からは仕事の話をしません。
相手がこちらの仕事に興味がない状態で仕事の話をしても、相手の耳には入らないでしょう。

――最後に、これから起業をしようとしている人にアドバイスをお願いします。
石井 「段取り8割」という言葉がありますが、実際に事業を始める前に、自身の強み、事業のコンセプト、ターゲットなどを明確にしておきましょう。
「走りながら考える」と結果的に遠回りをする可能性もあります。
また、スタートアップ時は、費用を節約するために「自分でできることは自分で」と考えがちですが、プロの手を借りた方が質の高いものを用意できます。
「コスト」ではなく「必要な投資」と考えましょう。それはスタートダッシュに必ずつながります。