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年配の介護職員は何故介護DX推進を嫌うのか?

先日、NHKの「クローズアップ現代」で介護現場のIT化、DX化にいての特集を行っていました。皆さんご存知の通り、10年後には介護職員が20万人足りなくなると言われており、外国人介護職を頼りにしている現状。ただ、コロナ禍によりその外国人にもしばらく頼れそうにありません。

元々「労働力」の問題ではなく、いかに効率的に介護サービスを提供するかが解決すべき課題であり、そのためのDX化であり、行政でも様々な補助金が用意されています。
 

なぜ介護DXは推進されないのか?

しかしながら実際の現場では「使われていない」「ほったらかし」なのが現状。

特に年配の介護職はIT化についてこれず、「介護は人と人、人が人の顔色や声、身体を見たり触ったりして相手の状態を判断し、必要な支援をすること。スマートフォンなんかに何が出来るの」と言った理屈を振り上げ、若手職員に入力を押し付けているのが現状。

結果、若手職員と年配職員の対立がおこり、現場の空気が悪くなり、それでも経営側がIT化を推し進めると年配職員の離職につながっているのがよくある光景ではないでしょうか。
 

介護DX推進の狙い

そもそも記録の入力や利用者の身体状況の確認、見守りの効率化等にセンサー機器と連動してスマホを使う現場は大手介護事業者を中心に広まっているのが現状。

大手介護事業者は介護DXによって効率的に業務を行い、その結果、人員を削減しその原資を優秀な職員の給与アップに繋げています。

最近では、特定施設も含めた介護施設の人員基準を3:1が4:1にすることが検討されており、その前提に介護DXの推進か上げられています

では介護DXを使いこなせない年配職員はカットするのか?

そんなことはありません。
これまでの経験に裏打ちされた技術を持つ年配の介護職員は施設運営に重要な存在であり、そり経験を若手職員に伝授することは大切。

それではどうすれば年配職員に介護DXを理解してもらうのか?

それには経営側の丁寧な説明、粘り強い教育、若手職員からのOJTが欠かせません。

ある施設でも介護DX推進に対する年配職員の反発により、大量退職の危機にさらされましたが、経営側(施設長)が粘り強く説明会を行い、教育に時間を割いた結果、年配職員が介護DXの良さに気付き、積極的に取り組むようになったという事例がありました。

 

良い点が理解出来れば旗振り役に!!それが関西のおばちゃん介護職員のパワー

一つでも良い点が体感できれば、年配職員は積極的に介護DXに取り組んでくれます。

特に事務の効率化により利用者と過ごす時間が増えることを体感した年配職員はより積極的に取り組むようになります。
関西では特におばちゃん介護職のパワーはものすごいものがあります。昨日迄の反対派の急先鋒が推進派の急先鋒に様変わりします。

更に若手職員と年配職員が接触する機会が増え、施設の雰囲気がよくなるという副産物も生まれます。
良いことずくめの介護DX、導入時の職員への配慮が成功のカギを握っています。
 

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この記事を書いたコラムニスト

荒牧誠也 (アラマキセイヤ)

介護の三ツ星コンシェルジュ編集長

株式会社ベイシス 常務取締役 事業本部長
1964年 大阪府大阪市生まれ
1988年 関西電力㈱入社。介護事業子会社 ㈱かんでんジョイライフや医療関係子会社 ㈱かんでん在宅医療サービスの設立や運営に従事。関西電力グループのメデイカル・ヘルスケア事業の企画業務や㈱京阪ライフサポートのM&Aに従事後退職。
2017年 関西電力㈱を退社。㈱ベイシスの取締役シニア事業部長に就任。

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