高齢者の病気・疾患

脂質異常症シリーズ6. 脂質異常症との向き合い方

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。
今回で脂質異常症は最後になります。
脂質異常症とどのように向き合うか、そんなお話しです。

脂質異常症をきっかけに生活を見直そう

脂質異常症について色々お話ししてきました。
高血圧や糖尿病といった様々な生活習慣病がある中で、脂質異常症は最も地味な印象を受けませんか?

「コレステロールなんて、中年以降はみんな高くなるものでしょ。
でも糖尿病はみんなが発症するわけではないから、糖が高くなるのは怖いわ。」

なんて患者さん、それなりに経験してきました。
脂質異常症でコレステロールが高いこと自体は、何の症状も感じません。
痛くもないし、痒くもない。
そんな病気は影が薄くなるのも当然です。
でも、すこし考えてみてもらいたいのですが、そんな全く症状がない状況から「少しだけコレステロールが高い」といったように、我々に注意を促してくれる疾患のように感じられませんか?
私は脂質異常症は、体内から「生活習慣を見直そうね」と言ってくれているような気がしています。
皆様はどうでしょうか?

薬だけでなく食事と運動

予防と治療のパートでお話ししましたが、やはり生活習慣の見直しは重要です。
薬はもちろん大切なのですが、薬だけでコレステロールを正常値まで低下させることは非常に難しいのです。
適切な薬物療法は、あくまでも生活習慣の改善と合わせて取り組むべきものであることを改めて強調しておきます。

コレステロールの目標値は人それぞれ

脂質異常症を治療する際は、診断のときに紹介したLDLコレステロールや中性脂肪などを目標の数値以下になることを目指します。
この目標値は患者さんそれぞれで異なり、これまでの病気や年齢や血圧といったリスク因子の数によって定められます。
例えばこれまで病気などがなくリスク因子も少ない場合、LDLコレステロールの治療目標は160mg/dlとなります。

一方、すでに心筋梗塞を発症したことがある方などでは、LDLコレステロールの目標値は100mg/dlとなり、より厳格な治療目標となります。
あなたにとって適切な治療目標について、かかりつけの先生としっかり話し合いながら治療に取り組んでください。

まとめ

脂質異常症シリーズも最終回です。
ここまでお付き合いただきました皆さま、どうもありがとうございました。
次回からはアルコール依存症についてお話ししていきます。

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この記事を書いたコラムニスト

柏木 秀行 (カシワギ ヒデユキ)

医師・社会福祉士・経営学修士

1981年広島県呉市に生まれる。筑波大学医学専門学群を卒業後、福岡の飯塚病院に初期研修医として就職。救急、感染症、集中治療などを中心に研修を行った。地域医療を支える小規模病院に出向した際、医療経営と地域のヘルスケアシステムづくりをできる人材になりたいと感じ、グロービス経営大学院で経営学修士を取得。また、社会保障制度のあるべき姿の観点を、研修医教育に取り入れたいと感じ社会福祉士を取得し育成に取り組む。現在は飯塚病院緩和ケア科部長として部門の運営と教育を行いながら、診療所の経営コンサルトをオフタイムに兼任。緩和医療専門医、総合内科専門医、プライマリ・ケア認定医・指導医。

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