相続・終活の事前準備

~知らないと損する相続のしくみと相続対策~①(相続用語を知る)

最近、マスコミでは相続の話題が沢山出てきますが、皆さんは相続のしくみと簡単にできる相続対策の方法をご存じですか?
このコラムでは相続についてシリーズでお話させて頂きます。
 

第1回 相続用語を知る

相続を知るにはまず専門用語を理解する必要があります。
この用語を理解しないと誤解が発生する場合があります。
被相続人と相続人の違いきちんとわかりますか?
まずはそこからご理解ください。
 

【相続(そうぞく)】とは・・・
「死亡」により、故人が有していた財産(借金も含む)を承継することをいいます。

【被相続人(ひそうぞくにん)】とは・・・
 相続手続きにおいて、故人(亡くなられた方)のことをいいます。

【相続人(そうぞくにん)】とは・・・
 被相続人から財産を相続することができる権利を有する親族のことです。
配偶者(法律上の婚姻関係にある妻又は夫)および、「子ども(直系卑属)」→「親(直系尊属)」→「兄弟姉妹」という順番(順位)で、相続人が決定されます。

【相続分(そうぞくぶん)】とは・・・
 相続人が、被相続人の財産(権利義務)を承継できる「割合」のことです。
被相続人が遺言で定めた割合である「指定相続分」と、民法で定められた「法定相続分」の2つの概念があり、指定相続分が法定相続分に優先されます。

相続人調査(そうぞくにんちょうさ)】とは・・・
 被相続人の相続人が誰なのかについて、被相続人の『戸籍(こせき)』等を収集し、「戸籍上確定させること」です。ごくまれに「戸籍が間違っている」というケースがあります。こうした場合、DNA鑑定などを用いて血縁関係を確認し、戸籍を訂正することが必要になります。 

【養子(ようし)】とは・・・
 生物学的な血縁関係はないが、法律上は親子関係が認められた子のことです。有効な養子縁組がされている場合、実子(じっし)と同様、故人の財産を相続する権利が生じます。

【代襲相続(だいしゅうそうぞく)】とは・・・
 第1順位である子ども(Aさん)が故人よりも先に亡くなっていた場合に、その子ども(Aさん)に子ども(Bさん←故人から見れば孫)がいる場合に、ひとつ世代を飛ばして孫(Bさん)が相続することをいいます。

【数次相続(すうじそうぞく)】とは・・・
 故人が亡くなり、遺産分割協議が完了する前に、連続して相続人が亡くなった場合のことです。数次相続が発生すると、亡くなった相続人の相続人が、故人(最初に亡くなった人)の相続権を引き継ぐため、遺産分割協議の当事者となる相続人が増えます。

【遺言(ゆいごん・いごん)】とは・・・
 財産を渡したい人や分割方法等を記載し、生前に故人が作成した法律文書のことです。種類としては「自筆証書遺言(じひつしょう
しょゆいごん)」、「公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)」、「秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)」の3つがあります。
ただし、現在は秘密証書遺言はほとんど利用されていないため、自筆証書遺言か公正証書遺言のどちらかを選択される場合が多いです。


【遺言執行者(いごんしっこうしゃ)】とは・・・
 遺言内容に従った財産承継を実現するために、財産の承継手続きを代理する権利を与えられた人をいいます。遺言で直接指定される他、事後的に家庭裁判所に申し立てることで選任される場合があります。遺言執行者は、未成年者と破産者以外であれば、誰でもなることができます。遺言執行者がいる場合は、相続人は、遺言の執行手続きを妨げる行為を行うことができません。

【受遺者(じゅいしゃ)】とは・・・
 故人の残した遺言に、「〇〇〇に遺贈する」と書かれていた場合、その財産を承継することができる人のことです。遺言の記載に応じて、「包括受遺者(ほうかつじゅいしゃ)」か「特定受遺者(とくていじゅいしゃ)」のいずれかに分類されます。

【検認(けんにん)】とは・・・
 残されていた遺言の形式が、「自筆証書遺言」又は「秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)であった場合、家庭裁判所に対して申し立てが必要となる証拠保全手続きのことです。なお、「公正証書遺言」の場合は、この検認申し立てが不要であり、スムーズな遺言執行につながります。

【遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)】とは・・・
 故人が有効な遺言を残しておらず、相続人が複数いる場合、相続人全員の共有状態(みんなが所有する権利を持っている状態)を解消するために行われる話し合いのことです。
この話し合いで、相続人のうち、誰が何を相続するかを決め、その合意内容を書面に表したものを「遺産分割協議書」といいます。

【相続の放棄(そうぞくのほうき)】とは・・・
 相続人が、故人が有した財産(特にマイナスの財産)を『一切』承継したくない場合、原則として故人の死亡の事実(及び自分が相続人であること)を知ってから『3カ月以内』に家庭裁判所にその旨を申述(しんじゅつ)し、受理されることです。単に遺産分割協議において、「なにもいらない」として署名押印しても相続を放棄したことにはなりません。

【相続税(そうぞくぜい)】とは・・・
 相続により承継した財産に応じて、相続した人に対して課税される税金のことです。相続税法という法律で定められています。基礎控除額(きそこうじょがく)という税金のかからない枠が定められており、相続財産の税務上の評価額の総額がその範囲を超えない限り、税務署に対して申告する必要はなく、必ずしも相続人した人全員に相続税の申告義務があるわけではありません。

【登録免許税(とうろくめんきょぜい)】とは・・・
 不動産(土地、建物)の所有者は法務局で「登記簿」が備え付けらており、その登記簿に記載されている事項(登記事項)を変更する際に必要となる税金です。登録免許税法という法律で定められています。この「登記」という制度は、不動産(不動産登記法)だけでなく、株式会社など(商業登記法)の記録も、法務局に登記簿が備え付けられており、故人が株式会社の取締役であった場合などでも登記記録を変更する必要があり、不動産と同様、登録免許税が必要となります。
 

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この記事を書いたコラムニスト

和嶋修二 (ワジマシュウジ)

ファイナンシャルプランナー

専門分野:ファイナンシャルプランニング

•1967年1月 北海道札幌市生まれ、その後、父の転勤で小学校から千葉県で育つ、 現在は前々職の転勤を機に兵庫県西宮市に移住。
•1990年4月 大手損害保険会社入社。主に企業向け損害保険の営業に13年従事
•2003年7月 大手外資系生命保険会社入社 。10年間企業向け生命保険や相続対策の保険営業を中心に活動 、 在籍期間中MDRT基準を7回達成、MDRT個社分会の支部長も経験
•2013年12月 フェイス株式会社 代表取締役に就任 現在に至る

大学時代に東京ディズニーランドのアトラクション 「ジャングルクルーズ」で船長を経験、そんな経験を活かしてか、現在、自社にて寸劇を交えたライフプランニングのPR動画作成に勤しんでいる。

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