財産管理に不安のある子への給付
40~64歳の引きこもり61万人 内閣府調査
ご高齢の親御様より、もしものことがあったときの財産の管理について相談を受けることがございます。
「8050問題」という言葉をご存じでしょうか。
80は80代の親、50は自立できない50代の子供を指します。この問題は「80代の親」が「50代の子」を経済的に支える必要がある状態を指します。何らかの理由で引きこもりとなってしまった子の引きこもる期間が長期化し、親も高齢化することで、子の支援だけでなく、親の病気や介護、相続など様々な問題が生じます。
弊社にご相談いただくことがあるのは、このように引きこもりとなってしまっている子の財産管理についてです。仕事をやめて自宅に引きこもった子の生活や金銭的な支援を行ってきたが、自身も高齢化することによりどうしようかというものです。
もしものことがあったとき、自身の財産を指定した方に渡す手段として、「遺言」があります。「遺言」で相続させる場合、通常、財産は指定した方に一括で渡ります。相続後は本人が自由にお金を使うことができます。これでは、浪費をしてしまうかもしれませんし、詐欺などの被害に遭ってしまうかもしれません。
信託を活用すると、相続後も、あらかじめ親と信託会社が決めた信託契約の通りに財産管理を行うことが可能です。例えば、毎月の生活費として必要な金額を決めて、その金額を給付するというものです。しかし、このような内容の信託は長期にわたることがほとんどです。コロナ禍のように、将来、予想もできないことが起こることもありえます。環境の変化に対応できない内容の信託にしてしまうと、融通が利かず、生活や緊急の払い出しに必要な給付ができないこともありますので注意が必要です。
また家族同士で信託する場合、受託者には兄弟などが就任することが考えられますが、受益者である引きこもりの子と受託者となる兄弟などとの間でトラブルになることがないよう、信託を組成することが必要だと思われます。