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行政の実地指導の方法が大幅に見直し 介護事業者が注意する点は?

介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について

2019年度以降、介護事業者に対する行政による実地指導の方法が大きく変わります。
厚生労働省が5/29の通知「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針」で発表しました。

背景について
これまで厚労省は各自治体に対し、介護事業所の指定の有効期間である6年以内に少なくとも1回は実地指導を行い、運営内容に問題がないことを確認した上で更新手続きを進めるように指導してきました。

変更の理由
ですが、介護事業所の増加により物理的に対応が難しくなってきました。
これまでの実地指導は、1日がかりの作業がかかり、10時頃~16時頃までかかるのが一般的でした。1日がかりで可能な限り多くの利用者の個人ファイルが確認され入念にチェックされていました。

変更の狙い
新しい運用指針の目的は、実地指導を効率化し、年間の指導件数を増やすことです。これまで1日がかりだった実地指導を半日で終え、1日に2件の指導を可能にしていく方針です。

注意すべきポイント
ただし、半日型の指導対象は、介護保険サービスの人員・設備・運営基準に関する物で、1日型の指導がなくなるわけではなく、介護報酬に関する確認作業は従来通り行われるため、加算などの算定要件をクリアしているかのチェックは継続して厳しく行われます。

最大のポイント:指定の項目と文書以外は確認せず

最大のポイントは、指針で示された「標準確認項目」および「標準確認文書」に重点化して実地指導が行われることです。
標準確認項目はサービスの質の確保や利用者保護の観点から定められ、人員・設備・運営基準の各規程に対応。
それぞれの項目をチェックするための事業所内の書類が標準確認文書です。指定に定められた「項目」と「文書」以外は基本的に確認しなくても良いことになりました。

指導対象サービスは、訪問介護、通所介護、特養、居宅介護支援、認知症高齢者グループホーム、老健、訪問看護です。他のサービスへの指導方法はこれらに準じます。

標準確認項目・標準確認文書 訪問介護の例

行政担当者主観の指導はNGに!!!

新しい指導指針では、行政担当者が主観による指導や、根拠なく前回の指導と大きく異なる指導を行ってはならず、また、高圧的でない言動による事業者との共通認識に基づく適切な助言の実施や根拠法令やその趣旨・目的等について懇切丁寧な説明を行うことも定められています。

事業者側の立会者も管理者に限定せず、実情に詳しい職員や経営母体法人の労務・会計などの担当者が同席することも認められました。

これまでの指導方針とは大きく変わり改善されたと言えるのではないでしょうか。

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