介護以外について

第1回 : 河合雅司著『未来の年表』より「『未婚大国』が誕生する」に関して

本書の内容

『未来の年表』(河合 2017)は、現在の統計データを基にさまざまなテーマに分け、これからの社会の変貌について想定を行った書籍です。
 
たとえば、婚姻数の減少と人口減少をテーマにとった「『未婚大国』が誕生する」では、婚姻数の減少という統計データを利用し『未来の年表』(河合 2017)は、現在の統計データを基にさまざまなテーマに分け、これからの社会の変貌について想定を行った書籍です。
 
たとえば、婚姻数の減少と人口減少をテーマにとった「『未婚大国』が誕生する」では、婚姻数の減少という統計データを利用して、「独居高齢者が増大している」という将来の社会の在り方を推測しています。
 
他にも、地域間格差や空き家問題など、様々な問題について議論を行っています。これから数回、この本をもとにしてコラムを書きます。
 
『未来の年表』についての詳細情報はこちらをどうぞ。講談社のサイトです。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062884310

本項目の要旨

今回は「『未婚大国』が誕生する」の項目を基にコラムを作成しました。
本項目では、婚姻数の減少をもとに「独居高齢者」の増加と、次世代の人口規模減少をテーマにしています。
 
近年では婚姻件数が次第に低下しており、2015年の婚姻数が戦後最小を記録したそうです。下のグラフ①をご覧ください。
また、交際相手がいる独身者が減少していることから、婚姻数はさらに減少する見込みであるため、「独居高齢者」が増大すると河合先生は考えます。
 
もともと日本は婚外子の出生が少ないうえに、結婚をする人が減り、子供を作る夫婦も減ってきている状況だそうです。
そのため、日本では少子化がなお一層進むと先生は結論づけます。
 
河合先生は言及していませんが、婚外子の国際比較について教育社会学の舞田敏彦先生がグラフを作成しているので転載致します(舞田 2017)。下のグラフ②をご覧ください。
くわえて、夫婦が最終的に産む子供の数のことを指す「完結出生児数」の推移について、下にグラフ③を載せていますのでご覧ください。
 
以上から、独居高齢者の増加から次世代の負う社会的なコストの増大を招き、なおかつその次世代の人口数自体が減少すると、先生は警鐘を鳴らしています。

家族構成の変化:現代標準だとされている「家族」の縮小と「疑似家族」の拡大

本項を読みまして、現代の家族、家庭の在り方が変化をしていくのだろうと思いました。
まず、結婚をする人が減り、独居高齢者が増えていくために、現代ではよくみるタイプの「家族」が減少していきます。
妻・夫・子供(場合によって祖父母)という家族構成の世帯が、社会全体の中での世帯割合のなかで少なくなるためです。

その一方で、血縁関係がない人たち同士が、生計を共にする「疑似家族」を作り上げていくという仮説を自分の中で立てました。
 
僕が考える「疑似家族」の例をいくつか挙げます。
一つ目の例は、家や家電製品、家計を共有するシェアハウスの住民です。シェアハウスが社会により浸透し、ありふれたものになっていく状況を想定していただけますと幸いです。
 
二つ目の例は、職場と生計・生活を共有するグループです。昔ながらの「住みこみの師弟関係」のような状況を想定していただけますと幸いです。
 
三つ目の例は、地域の中で生活を助け合うグループです。農村で農耕機械を共有しているような状況と同じように、地域の中で家庭用具や家事などを共有するグループが出来上がるような状況を想定していただけますと幸いです。
 
そのグループの中で生計を共にして、それぞれの負担を分散させることができます。
 
「疑似家族が増える」と推測した理由は、多くの人が「家族の一員」とならないことにより、一人一人に対する経済的な負担と家事などの生活の負担が増していくと考えるためです。
一人暮らしの場合ですと、一人一人への家事への負担は増えます。
くわえて、「まとめ買いをすることで一品ごとの出費を抑え込むこと」ができなくなることで、家事・家計への圧迫は増してゆきます。
 
これが要因となって、「疑似家族」が社会の中で増加していくと考えました。
 

住居の利用動向の変化:上記「疑似家族」と独居高齢者の増加によるシェアハウスの拡大

上の項の「疑似家族の増加」の推測を基に、以下のように考えました。
 
独居高齢者の方々が増えてゆくのであれば、戸建てへの需要は減り、一人暮らしをする上で便利な住居を利用する傾向が出来るだろうと考えます。
たとえば、高齢者向けの賃貸マンションかもしれませんし、グループホームのような住居も考えることが出来ます。
 
一方で家屋や土地は個人の資産であり、価値あるものなので、手放す独居高齢者の方がドンドンと増えていくようには思えません。
 
ここで、上の仮説を基に考えを進めてみます。
家族ではないが生計を共にする「疑似家族」が増大をすると、「疑似家族」が一堂に住むことが出来る住居の需要は増していくと考えられます。
 
その結果として、独居高齢者の方が持つ家屋がシェアハウスとして活用されていくという見込みが立ちます。
 
場合によっては、持ち主の独居高齢者の方も一緒に住むことで、その独居高齢者の方が「独身高齢者」という立場に変わることもありえると思います。
 
そのため、独居高齢者の住居と、一戸建てへの居住を希望する「疑似家族」との間に立ち、仲介を行う業態が出来上がることを想像しました。
 
あくまで、「結婚が難しい状況が常に続く」という仮定の下の想定にはなりますが・・・

参考文献など

河合雅司,2017,『未来の年表』講談社.
厚生労働省,2016a,「人口動態総覧の年次推移」,厚生労働省ホームページ,(2017年10月17日取得,http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei15/dl/04_h2-1.pdf).
—————,2016b,「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」,厚生労働省ホームページ,(2017年10月17日取得,http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_report4.pdf).
舞田敏彦,2017,「婚外子の国際比較」,データえっせい,(2017年10月17日取得,http://tmaita77.blogspot.jp/2017/06/blog-post_20.html).
 

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この記事を書いたコラムニスト

細田隆史 (ほそだたかし)

ベイシス社員

ほんの少しだけ人より長く大学にいました。定期的に更新するよう努めて参ります。

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