謝意を伝え合うサンクスカード 導入のメリットと注意点

スタッフ間で、仕事上での感謝の気持ちを伝え合う「サンクスカード」と呼ばれる仕組みがあります。

介護業界でも多くの法人が導入しています。
「○○さんへ。初めて私が司会をするレクリエーションのときに、大きな拍手で場を盛り上げてくれてありがとうございました。おかげで緊張せずにできました」などのメッセージを紙に書き、館内ポストなどに投函します。
その後の扱いは会社により様々ですが、スタッフ全員が見える場所に掲示する、送られた当人にまとめて渡す、などが多いようです。

離職率低下などの効果も

このサンクスカード(カードではなくスマートフォン上などで感謝メッセージのやり取りを行えるアプリケーションもありますが、ここではカードの名称を用います)の導入は、以下のようなメリットがあります。

まず、スタッフは「自分の仕事や言動が評価されている」という実感を得られます。
介護は営業職などと違って仕事の成果が数字などの明確な形で示されません。
それが「自分が職場の役に立っているのか」を実感しにくく、モチベーションを上げにくい一因となっていました。
カードの導入によって、スタッフの自己肯定感が上昇したり、離職率が低下したり、などの効果が期待できます。

また、スタッフ間のコミュニケーション促進につながります。
感謝の気持ちを直接当人に伝えられればいいのですが、シフト制の職場では同じスタッフが毎日顔を合わすわけではないため、機会がなかなかないケースもあります。
カードは、こうしたコミュニケーション不足を補完する役割を果たします。

また、法人にとっても、取り交わされるカードの内容を分析することで、スタッフの能力や性格を知ることができます。
例えば「Aさんは、元気な挨拶やマメな声がけで、ほかのスタッフを鼓舞し、職場全体を活気づけることが得意」「Bさんは、職場内で起こっている些細な課題にいち早く気づき、すぐに行動できる」などの性格を把握することで、人事異動やシフト作成に活かすことができます。

「カードをもらうこと」が目的になるリスク

このように、スタッフ、法人双方にメリットがあるサンクスカード制度ですが、導入に際しては注意が必要な点もあります。
 
まずは「サンクスカードの記入時間は、業務に該当するのか」という問題です。
介護記録や業務日報のように、毎日全員が書く必要があるものならば、
就業時間の最後に記入の時間を設けることで業務として扱えます。

しかし、カードは、人によって「5枚書きたい」「今日はゼロ」とバラバラですので職場として一律の記入時間を設けるのは非現実的です。

結果として、休憩時間や終業後、帰宅後などに書くことが多くなります。
時間外労働をさせる職場に対する社会や従業員の目が厳しい昨今、これは法人にとってリスクになりかねません。

また、カードをもらった枚数に応じて、商品券などのインセンティブを与えている法人もあります。
この場合は「『カードをもらうこと』自体がスタッフの最優先事項になってしまう可能性がある」というデメリットがあります。

その結果、スタッフがスタンドプレーに走ることや、
「私は○○さんに助けてもらったときにカードを書いたのに、私が○○さんを助けたときには書いてくれなかった。○○さんはひどい人だ」などと人間関係にひびが入ってしまうことが考えらえられます。

重要なのは「自然に感謝を伝え合える職場環境を構築すること」であり、
あくまでもカードはそのためのツールのひとつです。

この目的と手段を取り違えると「毎日カードを○枚書くこと」などのノルマを課すことになってしまい、
スタッフの負担増、モチベ―ジョンの低下を招くことにもなりかねません。

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この記事を書いたコラムニスト

西岡 一紀 (ニシオカ カズノリ)

なにわ最速ライター

介護・不動産・旅行

介護系業界紙を中心に21年間新聞記者をつとめ、現在はフリーランスです。
立ち位置としてじ手は最もキャリアが長い介護系が中心で、企業のホームページ等に掲載する各種コラム、社長や社員インタビューのほか、企業のリリース作成代行、社内報の作成支援などを行っています。

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