単に「昔の歌」では利用者には響かない介護事業所の音楽レクで選ぶべき曲とは?
コロナ禍から徐々に日常が戻りつつある中で、
歌を活用したレクリエーションを再開させた介護事業所もあると思います。
皆さんは、音楽レクの際にどの様な曲を使っていますか?
高齢者だからと「昔の曲」を漫然と使っていませんか?
私たちがカラオケをするときに「初対面の人同士でも盛り上がれる曲」など
メンバーや雰囲気に応じて選曲をするように、音楽レクも曲選びが重要になります。
カラオケで一番盛り上がるのは、自分が15歳~25歳のときの曲
カラオケ機器メーカーによると、
「同年代の人たちのカラオケで一番盛り上がるのは、自分が15歳~25歳のときの曲」だそうです。
この法則から言えば、介護事業所利用者の年齢を80歳とした場合、
盛り上がるのは1957年~67年の曲ということになります。
この間の主なヒットソングを年代順に列挙してみましょう。
ヒットソングを年代順
「東京だョおっ母さん」(島倉千代子)
「有楽町で逢いましょう」(フランク永井)
「嵐を呼ぶ男」(石原裕次郎)
「無法松の一生」(村田英雄)
「南国土佐を後にして」(ペギー葉山)
「東京ナイト・クラブ」(フランク永井・松尾和子)
「黄色いさくらんぼ」(スリー・キャッツ)
「アキラのズンドコ節」(小林旭)
「銀座の恋の物語」(石原裕次郎・牧村旬子)
「スーダラ節」(植木等)
「上を向いて歩こう」(坂本九)
「東京ドドンパ娘」(渡辺マリ)
「いつでも夢を」(橋幸夫・吉永小百合)
「遠くへ行きたい」(ジェリー藤尾)
「こんにちは赤ちゃん」(梓みちよ)
「高校三年生」(舟木一夫)
「恋のバカンス」(ザ・ピーナッツ)
「明日があるさ」(坂本九)
「アンコ椿は恋の花」(都はるみ)
「愛して愛して愛しちゃったのよ」(和田弘とマヒナスターズ&田代美代子)
「君といつまでも」(加山雄三)
「ヨイトマケの唄」(丸山明宏)
「お嫁においで」(加山雄三)
「いい湯だな」(デューク・エイセス他)
「こまっちゃうナ」(山本リンダ)
「帰って来たヨッパライ」(ザ・フォーク・クルセダーズ)
「真っ赤な太陽」(美空ひばり)
「ブルー・シャトー」(ジャッキー吉川とブルーコメッツ)
ちなみに海外ではエルビス・プレスリーやボブ・デュラン、
ザ・ビートルズ、ローリング・ストーンズなどが活躍していた時代ですので
「若い頃は洋楽にどっぷり」という高齢者も多いかもしれません。
では音楽レクではこれらの曲を使えばいいのか?
「単に、歌って盛り上がる」だけならともかく、介護事業所の音楽レクには、
「楽しい」「盛り上がる」以外に、
1.歌に合わせて身体を動かして身体機能を維持・回復する、
2.歌や歌手、時代などを話題にしたコミュニケーション活性化(場合によっては回想療法)、
なども求められます。この観点からの曲選びが重要です。
1. で言えば、思わず手拍子をしたくなるリズミカルな曲が適しています。
例えば「アキラのズンドコ節」「スーダラ節」「上を向いて歩こう」
「東京ドドンパ娘」「恋のバカンス」「明日があるさ」あたりでしょうか。
2.では、参加者全員が共通する思い出を持つ曲が適しています。
例えば、地方の介護事業所では「東京だョおっ母さん」に合わせて、
参加者の「初めて東京に行った時の思い出」を聞き出すと会話が盛り上がるでしょう。
「高校三年生」は学生時代の、「こんにちは赤ちゃん」では出産の話題が膨らみます。
もっとも参加者の中には「貧しくて学校に行けなかった」「死産や流産の経験がある」など、
マイナスの思い出を持つ人もいるかもしれませんから、注意も必要ですが。
「銀座の恋の物語」などのデュエット・デュオ曲では、参加者を2つに分け、
1番と2番で歌うパートを入れ替えればゲーム性が増します。
「いい湯だな」「愛して愛して愛しちゃったのよ」など合いの手が入る曲は、
歌が苦手でも参加しやすく、一体感が得られます。
「一体感」を考えるなら、平成生まれの若いスタッフも一緒に盛り上がれる曲もお勧めです。
「明日がある」などはカバーもされており、若い人も普通に歌えるでしょう。