高齢者の病気・疾患

要介護になる原因の1位 男性は「脳血管疾患」 病気になる理由は?どうやったら防げる?

男性は4人に1人が脳血管疾患で要介護に

「介護は誰の身の上にも起こり得る問題――」と、よく言われます。

しかし、厚生労働省が発表した「令和3年度高齢社会白書」によると、2018年度時点で要介護・要支援認定を受けている高齢者の数は約645万人であり、高齢者全体に占める割合は20%以下です。

75歳以上の後期高齢者に限定しても、要介護認定を受けている人の割合は23.0%です(もちろん、介護が必要な状態であっても要介護認定を受けていない高齢者がいることは考えられます)。

これからもわかるように、高齢者の多くは亡くなる直前など一部の時期を除いて介護を必要とせずに一生を終えています。

そして本人も、家族も、介護が必要な状況になることを望んではいないと思います。要介護状態にならないためには、「要介護になる原因」を正しく知り、予防策など立てられる対策を前もって立てておくことが重要になります。

2019年の「国民生活基礎調査」によると、介護が必要になった主な要因は1位が「認知症」の18.1%、以下「脳血管疾患(脳卒中)」「高齢による衰弱」「骨折・転倒」「関節疾患」と続きます。

ただし、これらは男女の差が大きく、男性は「脳血管疾患」が1位となり、その割合は女性の約2.5倍の24.5%にもなります。一方で、女性は「骨折・転倒」「関節疾患」の割合が男性の約3倍となっています。

したがって「こうした病気にならないこと・ケガをしないこと」が介護予防の第一歩と言えます。そこで、今回は「脳血管疾患」とは何か、について詳しく見てみましょう。

喫煙・食事・運動などの生活習慣が原因

脳血管疾患は生活習慣病の一つで、特に「喫煙」「塩分や脂質・コレステロールの多い食事」「過度の飲酒」「ストレス」「睡眠不足」「運動不足」などが原因になると言われています。

男性に多いのは、女性に比べて喫煙率が高いこと、飲酒を伴う外食の機会が多いことなど、生活習慣の違いが大きいと考えられます。したがって「喫煙」「食生活の改善」「適度な運動」など生活習慣を変えることが予防につながります。

また、動脈硬化、高血圧、脂質異常、高血糖、不整脈などは脳血管疾患を引きおこす危険因子といわれています。健康診断や検査などでこれらが確認された場合には、速やかに適切な治療を行うとともに、生活習慣の見直しを図りましょう。

65~74歳で運動習慣(1回30分以上の運動を週2回以上・1年間継続)がある人は男性で38.0%、女性で31.1%。75歳以上では男性46.9%、女性37.8%となっており、いずれも男性の方が高くなっています(いずれも2019年度)。

ただし、近年は65~74歳で運動習慣がある人の割合は男女とも減少傾向にあります。
特にここ2年程は、新型コロナの影響で高齢者が外出・運動をする機会が大きく減少しています。
運動不足が原因でのフレイルや生活習慣病を予防するためにも、ぜひ自宅での運動を習慣づけるようにしましょう。
自治体などが制作した体操動画が地元ケーブルテレビやYouTubeなどで多数配信されていますので、上手に活用しましょう。

脳血管疾患での死者数は年々減少

脳血管疾患は、悪性新生物(がん)、心疾患とならび日本人の3大死亡原因と言われてきました(65歳以上の場合)。

しかし、脳血管疾患が死亡者数に占める割合は1970年をピークに年々低下しており、2017年度以降は老衰を下回り4番目となっています。この理由には、喫煙率の低下などの生活習慣の変化や、医療の進歩などが考えられます。
脳血管疾患は、私たち自身の手で防ぐことができる病気です。

要介護状態にならないためにも、介護をはじめとする日本の社会保障制度を持続可能なものにするためにも、一人ひとりが意識づけをしていきましょう。

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この記事を書いたコラムニスト

西岡 一紀 (ニシオカ カズノリ)

なにわ最速ライター

介護・不動産・旅行

介護系業界紙を中心に21年間新聞記者をつとめ、現在はフリーランスです。
立ち位置としてじ手は最もキャリアが長い介護系が中心で、企業のホームページ等に掲載する各種コラム、社長や社員インタビューのほか、企業のリリース作成代行、社内報の作成支援などを行っています。

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